白狼天狗敗れる
ふむ、勝手にスキマ妖怪が俺の名前を言ったみたいだな。まあいい。どうせ知られるからいいけどな」
確か、ここからだと天狗の領域だからな~。あんまり時間はくいたくないし、よし!
「結界『透明結界』」
これだとバレずに済む。なぜなら、透明になったからだ。
「!?き、消えた!?どうやって!?」
なぜだ。領域前にいた者をちゃんと監視してたはず…しかも、あの八雲紫でも注意しろと言ってた者だ。ちゃんと監視してた。おかしい。おかし過ぎる。
「椛?どうしました?」
「あ、ああ。文様、先ほど、あの八雲紫が注意しろと言われてる者を監視してたのですが…」
「突然消えた…と。そうですね?」
「はい。しかも我々の任務のことも知ってるようです。だったら、突然消えたりなんかしません」
「確かに…そうですね。情報ありがとうね。椛」
「いえ、これぐらいしか役に立てなくてすみません。文様」
「大丈夫ですよ。私も八雲紫から、あの者の情報を集めてくれと頼まれましたので」
「それほどまでに…あの者は何者ですか?」
「私もまだ…しかし八雲紫から、あの者を『化け物』と言ってました」
私は本当に驚愕した。
「…本当ですか?」
「疑いたくなるのもわかりますが、本当です」
「…我々も気を付けましょう。太刀打ちできないかもしれないですが」
「そうですね。それじゃ、引き続き情報収集してきます。椛も気を付けてくださいね?」
「はい。わかってます」
文様がそう言って去った後、
「君が犬走椛…かな?」
なぜ!?さっきまで後ろには気配がなかったはず!
「あなたは何者ですか?」
「俺は守矢神社にいる軍神と戦いたいと思ってたんだよ。でも、君は邪魔だから消えててほしいんだよ」
「だから、あなたは何者ですか!?それと、ここは天狗の領域です!立ち退いてください!」
「やっぱりな~、けど気絶はさせるね」
言うやいなや、腹に今までに体験したことのない痛みが広がり、意識は途切れた。