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狂い人の始まり
「何で、こうなっちまうんだよ!誰一人助けれねえのかよ…」
一人の男がそう叫んだ。叫んだ声は虚しく空に響こうとするが、雨音がそれを遮った。
「はは、ハハハハハハハハハハハハ!…だったらもう、いいや。誰かを傷つけていこう。それが、俺が俺でいるために…」
男はそう言って、周りにいる、『人間のようなもの』に手を掲げ、
「命よ、吹き返れ!」
男がそう叫んだら、周りにあった『人間のようなもの』が動きだし、
「あれ…俺ら生きている…?」
それがそうしゃべった。それに男は、
「それじゃ、早速、死んで」
それらはしゃべるまもなく血を吹き出し崩れた。
「やっぱ脆いな~、に ん げ ん は」
男が笑いながらそう言った。
「もういいや、一人で生きていこう。それが運命だ」
男は、誰かに言ってるようにしゃべって、一人消えた。