相談
宿に戻ったアルは「俺を冒険者にしろ!」とオウンゴールに詰め寄った!
いきなりの要求だった為、オウンゴールは訳も分からず「はい?」と生返事するだけだ。
アルから話を聞いて漸く理解したオウンゴールは…………
「その様な内容で今までの御無礼をお許し頂けるのでしょうか?」と困惑しつつ尋ねる。
「俺は、お前達人族と敵対する気はない。」とアルは簡潔に述べると、
今度はナシガミに向き直り、「この町に俺達が住めるデカイ家はあるか?」と質問した。
「ありませんが、町を救って頂いたお礼として急いでご用意致します。」とナシガミは請け負った。
巧く事が運んだため「ありがとう。」とアルは初めて笑顔で二人にお礼を言うと、
「カミラーデはアルベルト様一向を歓迎致します。」とナシガミが安堵して言い、続けてオウンゴールも「ギルドもアルベルト様一向を歓迎致します。」と言うのだった。
こうして、アルとカミラーデとの仲が改善されたかに思えたが、三日後には「いい加減にしろ!」と町長ナシガミの家で怒鳴っているアルがいた。
「いきなり何の事でしょうか?」とナシガミは怒鳴られる理由が分からず聞いている。
「毎日、宿に町民が〈奴隷にしてください!〉と来るんだぞ!?ナシガミの指示なんだろ?」
「ほぅ~!只で奴隷が手に入るとは羨ましい!」と羨ましそうだ。
「必要ないのに向こうから押し掛けて来られても困る!」
「噂によると、三食昼寝付きで奴隷を募集されたと窺っておりますが…………」とナシガミは応えた。
「募集なんて掛けてない!何故そんな噂が流れてるんだ?」
「騎士団との会話で俺の奴隷は三食昼寝付きと仰有られていたと窺っておりますが?」
とナシガミ夫人がナシガミの後ろからヒョッコリ現れ答えた。
「言ったけど、募集ではない」
「ミエール1人に10億リルを掛けて捜索依頼を出されたともオウンゴールから聞いておりますぞ!」とさらにナシガミが奴隷志願がやって来る根拠をあげてきた。
「そんなに大きな額では無い筈だ!」とアルは自己弁護?した。
10億リルはシュタイン王国内では一人が普通の生活を出来る程度だったからだ。
「いや、そちらではどうか知らないが此処ではかなりの額だぞ。」とナシガミは真剣に答える。
「悪い話では無く得になる話なのに断るのは辛いんだよ!!」と苦しそうに言うアルを見兼ねた夫人は「貴方、どうにかしてあげてあげられませんか?」とナシガミにお願いしてくれた。
「町人の多くがアルベルト様の奴隷になってしまっても困るし、やがて町を出ていく事を考えると人口流出にも繋がってしまうな……」とナシガミは独り言を呟いていた。
「良し!分かった。こういうのはどうだろうか?」とナシガミはアルに閃いた考えを伝えていった。




