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ディリオン群雄伝~王国の興亡~ (修正版)  作者: Rima
第一部 第一章『崩壊』
7/46

『相剋の王都』

 フィステルスでの敗北の報を受けたブルメウスは王都ユニオンでの篭城を決意し、準備を進めた。


 周辺地域から食糧を徴発し、河川港から物資を運び入れ、守備兵を増強して防備に当たらせた。


 ◇ ◇


 ハルト地方は王国の中枢部でその発展度合いも他の地域に比べて高く、都市や街道は整備されており、軍隊の移動や展開も容易であった。


 その中心地が同時にディリオン王国の中心たる王都ユニオンである。


 交通の要所であり、さらに整備された街道の結節点でもあるユニオンは政治経済における最大の中心地として君臨し、奴隷も含め三十万の民衆が住まう大陸最大級の都市の一つとなった。

 高さ十メートル・厚さ四メートルの城壁は外周十五キロメートルに及び、三百を越す防御塔、六つの城門、一部水濠となっている深さ五メートルの濠を備えていた。

 市の中央には旧市街を元とする宮殿地区(アッレア・パトリキ)が存在する。宮殿地区は高さ五メートルの内城壁に取り囲まれており、王族や大貴族など上流階級だけが立ち入りを許されている。宮殿地区に隣接して諸神殿がある神殿地区(アッレア・サクラ)が位置し、両地区が王都の枢要部を構成していた。

 枢要部の外は雑然とした新市街が広がっていた。人口過密の住宅地、落ちぶれた市民や労働奴隷の住む貧民窟、物と人の溢れる市場や娼館。これらが無秩序に混在する市街は衛生環境も悪く、治安も決して良いとは言えなかった。

 また市内には名前の元となったユニア川が流れている。ユニア川は市外の河川港大埠頭(ポルトゥス)を通って最終的にはトバーク海に達し、巨大な都市を支える補給線として重用されている。


 ◇ ◇


 ユニオン市には防衛・治安維持の為に専用の駐留部隊が配置されていた。


 ひとつは近衛兵(プラエトリア)と呼ばれ、王族の護衛や宮殿の警備を担当する。兵は全て貴族の子弟から構成され、王家の係累や譜代家臣が指揮官に任命された。


 もうひとつは王都守備隊プラエシディウム・ウルバナエで王都全域の治安維持と防衛を担っている。ユニオンが都市国家であった時代の防衛部隊を前身としていた。

 都市民からの志願兵が大部分であり、かつては精強で士気も高かったが、現在の質や錬度は警察力としては十分だが軍事力としては頼りなかった。


 近衛兵も王都守備隊も贈賄や汚職が横行しており、その腐敗は末端の兵士まで達していた。

 ブルメウス王とハウゼン公は両組織にも容赦なく改革を断行していた。数人の指揮官を見せしめとして処刑し、兵には定期的な訓練を義務付け、抜き打ちの視察を行い綱紀の引き締めを行った。


 そして、不正は減り、王に忠実な組織へと再編されていた―――筈であった。



 そして、王とはそれそのものが大いなる財物である。王の近衛でさえもその魅力と価値には抗うことは出来なかった―――






◆ ◆ ◆


【新暦658年7月 王都ユニオン 近衛兵長ジョアン】



 ジョアンは夜の宮殿を出来るだけ音を立てない様に歩いていた。


 鎧兜を着こみ、腰には剣を佩いている。戦いを目前に控え、宮殿の守護を担う近衛兵(プラエトリア)としては、夜間であろうと決して誤った出で立ちではない。

 だが、後ろに同様の完全武装の兵士を十人も連れていては話は別である。何か目的あってのことと思われていても已む無き事であった。


 もし一体の何の目的かと聞いた者がいたとしたら、刃の答えが返ってくるであろうことは疑いない。


 何故なら近衛兵長ジョアンの目的は―――国王の弑逆だからである。


 ラントン家のジョアンが近衛兵長となったのはブルメウス王の治世においてである。

 なれば、王には恩義が在るのではないかと言えば、そうではなかった。


 ジョアンが兵長となれたのは彼の誠実さと能力故ではなく、その不誠実ぶりを隠す力に長けていたからであった。

 ブルメウスとハウゼン主導で近衛兵(プラエトリア)の大掃除が行われた際、汚職と不正で得た金を見事に隠匿し、その弁舌を持って王や宰相を騙し通したのであった。

 その後、他の近衛兵指揮官が処刑された為、結局彼に兵長職が回ってきたのであった。


 そしてジョアンは迫る諸侯同盟軍を前にして、自らの保身とこれを機とした立身を狙って王の弑逆を謀ったのだった。

 つまり、王の首を土産にユニオンの統治権を諸侯同盟に強請ろうというのである。


 彼は弑逆の準備として隠匿していた不正資金と持ち前の雄弁の才を用いて協力者を集めていた。近衛兵の半数がこの企てに加わり、さらに王都守備隊の指揮官オタールも加わえることが出来た。


 そして今夜、ついに決行日を向かえたジョアンは買収した王都守備隊に市内の要所を制圧させると、近衛兵を率い夜闇に紛れて王の寝室へ向かった。

 警備の配置も既にガラ空きにさせており、近衛兵長たるジョアンを誰何する者がいるとは思えないが、念の為の隠密行動であった。


 その甲斐あってかは分からないが、王の寝室までは誰にも見つかること無く辿り着いた。


 寝室の扉を通して中の音が聞こえる。



 ジョアンは腰の剣を引き抜くと、扉を開けた。部屋を入っても此方に気付く気配もない。


 更に近づいていく。僅かな足音も寝台からの音で隠れてしまう。


 ブルメウス王の背後に立ったジョアンは、抜身の剣をその背中に突き立てた。

 血の気はあっという間に引いていき、ジョアンを見つめて非難とも命乞いともつかない呻き声を上げて動かなくなった。


 ――奴の贈り名は決まりだ。ブルメウス"不様王"だ――


 ジョアンは部下から新しい剣を受け取ると、王の死体の脇に屈みこむとその首を取った。


 ――これが欲しかったのだ、これが――


 首と剣を部下に渡すと、流石に呆然と見つめる彼らを叱咤し新たな命令を下した。

 

「仕事はまだ完了していない。ブリアン、ミーリア、ファリアを捕らえるのだ。行けっ!」


 部下の近衛兵達はハッとして、部屋の外へ駆けて行った。急ぐのも当然だ。王の弑逆に加担した以上、もう奴らも反乱を成功させるしか未来は無いのだから。


 だが何にしても王を殺すことは出来た。王子と王女は直ぐに捕まるだろう。市内にも守備兵を置いてある。逃げられるわけはない。後は放っておいても事は達せられるだろう。


 ◇ ◇


 ジョアンが王子、王女はおろか王妃まで取り逃がしたと知ったのは翌日の昼になってからだった。

 連絡を受けたのではなく、渋る部下を問い詰めた結果漸く知らされたのだった。


 どうやら近衛兵の一部が直前になって裏切り、脱出を手引きしたらしい。

 弑逆の動きを察知した廷臣や買収出来なかった近衛兵がこれに加わり、取り逃がしてしまったということだ。

 脱出を手引した近衛兵連中は囮となって、伝説の英雄もかくやという程の奮戦を見せて脱出の時間を稼いだらしい。


 市内の制圧を担当していたオタールを取り逃がした件で詰問しても、"この重要事に貴様は何をしていたのか"、と問い返される始末だった。

 痛いところを突かれ、結局オタールとは怒鳴り合いに終始してしまった。


 とは言え、取り敢えず(ドミヌス)の首は手に入った。これを元手に諸侯同盟(アリストクラティオン)と交渉しよう。

 奴らもこの土産を見れば喜ぶ筈だ。



◆ ◆ ◆





 国王弑逆後、ジョアンは宮殿内の制圧と王妃や王子らの捕縛に向かった。ところがジョアンは計略の成功を確信しており、陣頭指揮を執らずに配下に任せてしまっていた。それは能力よりも人格の問題であった。

 その為に配下達は十分な協調が取れないままに捕縛に向かう事になった。


 この頃になると王都での政変に気付いた国王派の廷臣や近衛兵が素早く王子らを確保し市外への脱出を手引きしていた。

 国王派の廷臣は多くが忠誠心に溢れており、数は少ないながらもジョアン一派よりも遥かに行動力と協調性があった。


 そして、王子を確保しようとするジョアン一派と王子を逃がそうと囮になった忠実な国王派の間で短いながらも激しい戦いが展開された。特に国王派の兵の奮戦ぶりはその名に恥じず、中には首を刎ねられても剣を振るい続けた者がいた、という目撃さえもあった。

 囮達は全員玉砕したがその忠誠心と勇名は長く語り継がれる事になった。


 国王派の奮戦とジョアンの失態に助けられ王子らは王都からの脱出に成功した。

 ユニオンから脱出したのは王妃ファリア、ブルメウスの唯一の男児で後継者であった王子ブリアン、王女ミーリアらの王族とアッシュ家の当主ロンドリク、カスタン家のブルーノ、ウッド家のパウルスら少数の廷臣達であった。

 彼らは反乱者からの追跡を避ける為に街道からそれて山林を進み、国王派の中で現在唯一纏まった武力を保持しているジュエスの元へ逃げ延びた。


 生き残りの王族達が反乱者の手を逃れ、ジュエスと合流できた事は後々の歴史にとって大きな転換点となった。


 ◇ ◇


挿絵(By みてみん)


 ジュエスはコーア軍の敗残兵やハルト兵の生き残りを含む国王軍(ドミニオン)2万5千を率い、敵軍の追撃をかわしながら王都ユニオンへ向けて後退していった。

 ただ撤退するだけではなく時折反転して敵軍に急襲を仕掛けその前進を鈍らせていた。プロキオン家の家臣であるセルギリウスやコンスタンスらの活躍で諸侯同盟(アリストクラティオン)軍に強かに被害を与えていた。


 しかし撤退戦の最中、ブルメウス王の死と王都が反乱者の手に落ちたことを知ると王都を避けて自身の領土のある北へ向けての撤退を決めた。王都を奪還に向かうよりも自軍の安全を優先したからだった。

 幸か不幸か、反乱者の手を逃れたブリアン王子ら王族がジュエスと合流し、行動を共にすることとなった。この出来事はジュエスに一定の政治的位置に立つことを強制した。王族を懐に入れた事で彼らを守り戦う立場にいることを決めさせられてしまった。



 そして、行動を共にした流浪者達は捲土重来を期して戦い続ける事を決めた。若き貴族は何よりも自らの命の為に彼らを率いるのだった―――

 




 ◆ ◆ ◆


【新暦658年7月 ハルト地方北部の宿営地 貴族ジュエス】



 天幕が立ち並び、周囲を防柵が囲む宿営地。造りは単純だが、無駄を省いた機能的な施設である。

 その中央にある司令官用の大天幕の中に十人余りの人間が集まっていた。


 ジュエスは麾下の幕僚達、王都から逃げ延びてきたブリアン王子、ファリア王妃、そして今も王家に従う少数の廷臣と共に今後の方策を協議していた。方策といっても彼らの前にはそう多くの選択肢が用意されている訳ではなかった。


「では王都を、玉座を裏切り者どもから奪い返さないと言うのかっ!?」


 ブリアンが激昂して立ち上がる。余りに急に立ち上がったので衝撃でカップが倒れ、中身が地面に零れ落ちた。


 ブリアンは未だ十六歳の少年だが、その背は成人と比しても遜色無く、十分に威圧感があった。漆黒の髪は怒りで逆立ちそうになっている。その姿は父ブルメウスにそっくりであった。


「で、殿下、どうかお気をお静めください」


 ユニオンから逃げ出してきた廷臣の一人ブルーノが王子の怒りを宥めようとした。

 ブルーノは頭のすっかり禿げ上がった老人で、枯れ枝の様な体は今にも吹飛ばされそうに頼りなかった。


「殿下では無い! 陛下だ! 父亡き今、後継者たる私が王だ!」


「も、申し訳御座いません。陛下……ですが、ジュエス殿にも何か考えあっ

てのことで御座いましょう。どうか落ち着かれますよう」


「考え!? 考えだと、一体どんな考えがあると言うのだ。玉座を王の元に取り返す事以外に考えるべきことがあるというのかっ!」


 ブリアン"陛下"の怒声を浴びせられたブルーノは、祖父程も歳の離れた男であるのにすっかり萎縮してしまっていた。

 

「王都を奪還しないとは申してはおりません、陛下。ただ今は不可能だと申しあげているだけです」


 フィステルスから後退してきた軍勢――国王軍(ドミニオン)、国王派の事実上全軍――を指揮するジュエスはそう応えた。現状を鑑みればこれ以外の回答は無い。


「何故不可能なのだ!? ここには三万人もの軍勢がいるではないか!」 


 先程からブリアン"陛下"は王都の奪還を声高に命じている。


 ――何故不可能かだと? きっと"陛下"には下々の考えなど理解できないのだろう。こんな事にも一々説明を要するとは、面倒な事だ――


 ジュエスは蔑んだ。

 王族なのだから政治にしても軍事にしてもそれなりの教育は受けている筈なのだが、一向にブリアンからはその煌めきを感じない。声と態度の大きさは別だ。


 ――十六年間の教育が無駄になったのか、それとも発声練習くらいしか興味が無かったのか、分かりかねるね――


「三万人もの、ではありません。たった三万人しかいないのです、陛下。それも負傷し戦い疲れた者ばかりです。さらに、現在我が軍は物資の補給も困難な状況です。王都の奪還など無理なのです」

「あの裏切り者のジョアンは一万人で王都を占領したぞ。傷を負っていようが数はこちらが多いではないか」


 どさっと音を立てて乱暴に椅子に再びブリアンが座った。額には青筋が浮かんだままだ。


 ――近衛兵長殿が少数で制圧に成功したのは壁の内側だったからだ。守備隊の買収も済ませてあったのだ。我々とは条件が違う――


「それに物資など、王が進軍すれば民衆が提供してくる」


 流石にジュエスは失笑しそうになった。危うい所で無理矢理顔を引き締められたのは幸運だった。


 ――"羊飼いラカナス"ではあるまいし、そんなに慕われてるなら最初から反乱だって起こりはしないだろう――


 "羊飼いラカナス"は伝説の人物で、どんな悪逆な王をも見逃さず討ち滅ぼすという徳の高い逸話で知られている。その進軍の時には誰もが自発的に従い、羊の様に導かれていくと言われていた。


 それに物資はブルメウスが王都に掻き集めて仕舞いこんでしまっている。まだ残ってた物資は進軍中に殆ど集めてしまった。民衆に王家を敬愛する余裕があったとしても、提供するだけの物資の余裕はないだろう。


「王都周辺には提供するだけの物資は今はもう残っていませんし、三万人足らずでは王都の包囲は出来ません。あの長大な城壁を囲むことすら難しいし、五千人の兵士でも城壁の上にいれば攻略は至難の業となります。せいぜい城壁外に陣取って見張るくらいしか出来ません」


 王都は要害堅固の大城塞としても高名だ。ジュエスも実態を目の当たりにしているから、過小評価は出来なかった。


 ――実際はもう少し上手い事やれるかもしれないが、その場合も僕の兵に大きな被害が出るだろう。そんなのは御免被る――


「そして早晩、諸侯同盟》軍が王都にやって来ます。敵軍の兵力は未だに六万人は下らないでしょう。ユニオンの取り合いになるでしょうが、その前に城壁の内側に入れない限りは勝ち目はありません」

 

 そこまで説明した時、廷臣の一人ロンドリクが発言した。


「ジュエス殿、その若さで今まで一人で戦ってきた事は称すべきことだ。だが今はもう君は一人ではない。私にも指揮に関して協力させてもらおう」


 アッシュ家のロンドリク。弟のロムに戦争を任せて王都に引き篭もっていた豚野郎だ。

 戦場に出れないのはぶよぶよの体形を見ればよく分かる。ここまで良く逃げてこれたとむしろ感心するくらいだ。


 ロンドリクは到着早々から指揮権を奪おうと画策していた。自分が兵達に王の一番の廷臣だと触れ周り、ブリアンにも老練な自分に指揮を委ねるよう言っていたらしい。

 ブリアンはあの通りの性格だから、耳を貸しかねない。


 コンスタンスなどは早くもこいつの事を"餌をねだってブーブー鳴いてる豚"と呼んで馬鹿にし、セルギリウスは"乞食"とだけ呼んでそれ以降一瞥もくれない。


 この発言も間違いなく指揮権を奪うのが目的だ。僕の様な若造に命令されるのはきっと許せないのだろう。

 幸い軍はプロキオン家の兵が主力を占めているし、コーア兵の連中も撤退中に手懐けたから今の所は大丈夫とは思う。幕僚の人選も廷臣共を圧倒できるように選んだ。


 とは言えブリアン達が来てから最初の会議だし、今回で主導権を握っておいた方がいいだろう、とジュエスは思った。


「諸侯同盟軍に王都を攻撃させて消耗させるというのはどうかな、ジュエス殿。毒を以って毒を制するのだ」


 ロンドリクはその巨体を揺らしつつ言葉を続けた。名案でも言ったかの様に自慢げな表情だ。


「方法の一つとしてそれもあるでしょう。ですがその後どうするのです。今よりも大軍の防備するユニオンを攻めるのですか? それで勝てるのは神々くらいのものですよ」

「だが兵力だけでなく、諸侯同盟軍の物資も消耗するだろう。その後、包囲すれば兵糧攻めも出来るのでは? 城攻めは出来なくても王都から出られないようにする事くらいは出来るだろう」

「諸侯同盟軍は後方の自領から物資の補給を受けています。だからまだ進軍してこられるんです。その気になれば王都の倉庫が空になっても彼らは戦い続けられますよ。それに兵糧攻めといいますが、先程も言った様に我々は現在の補給すらままならない状況です。こっちが先に飢えきってしまう」


 ジュエスはロンドリクだけでなく、場にいる皆に視線を向けながら話した。


「補給が滞るのは指揮官の責任ではないのかね。ハルト以外からも物資の供出を要請すればよろしい。例えば、コーアはこちら側だろう」

「コーアにも既に使者は派遣しました。ケイズ公の死によって分裂しているようで協力は得られませんでしたがね。送ってくれたのは使者の首だけでしたよ。我が領地リンガルから補給するにも、コーア地方を通過しない事にはどうする事も出来ません」

「ならクラウリム公に援助の要請をしてみてはどうか?」


 ロンドリクは話しながら、顎か肉か分からない顔の輪郭を撫でている。


「我々が敗れる前から兵も物資も提供しなかったハウゼン公が、状況の悪化した我が軍に援助をするとは思えません。当てにして活動するのは危険です」


 まあ、実際のところは既にクラウリムに支援を要請する手紙を送ってはいたのだが、何の反応も無かった。

 使者の首でもいいから返してくれれば意図が分かるというのに。


「八方塞りか。ではどうするのか。王都へは行かないと明言した位なのだから君には妙案の一つでもあるのだろう?」

「妙案も何も、我々が採れる選択は限られています。まずは拠点と補給を確保しなくてはなりません。私の領地があるリンガルが唯一拠点になりうる場所ですが、差し当たりそこまで辿りつく必要が有ります。その為に直ぐにでも北上してコーアに入ります」

「コーアは敵対していると言ったではないか。戦いになるぞ」


 一々ロンドリクが口を挟んでくる。


 戦いになるなんて事は分かっているが他に方法が無い。

 それに今だって国中を相手に戦っている最中なのだから、今更大した違いは無い。


「十中八九戦いにはなります。が、コーアは今分裂していますから、全体で攻めてくることは有りません。オリュトスとグラスローで争っていますし、小領主同士でもそれぞれ争いあっています。間隙を突くには十分です。それに、今の軍勢でも分裂したコーア人と戦うには大軍と言えるでしょう」


「だがコーアは味方なのだぞ。国王に忠実だった。この軍の中にもコーア人はいる。同胞と戦えと命令するのか?」


「コーア兵に関しては心は痛みますが仕方有りません。それに、今も王家に忠実なら使者を首だけにしてしまうことは無いでしょう。それともロンドリク殿には何か案がお有りなのですか?」


 思わず最後の言葉に嘲りの色を混ぜてしまった。幕僚や廷臣達のちらちらとした視線が集まるのが分かった。


「いや……だが……もっといい方法が……」


 ロンドリクが呻くように抵抗を続ける。


 ――別に僕は名将でも何でもないし、戦の経験も少ない。そんな小僧一人に言い負かされる程度の力量しかこの豚には無いのだからもう黙っていて欲しいものだ――


「もう良い! 貴様は黙っておれ!」


 耐えかねたブリアンが叱責する。今までで一番の大声だ。耳にキンキン響く。


 ロンドリクはそれ以上は何も言えず憮然として黙りこんでしまった。顔はどす黒くなっている。まるで焼きすぎた丸焼き豚の皮みたいな色だ。


 ――ロンドリクのやつめ。自分で言うのもなんだがこんな餓鬼どもに言い様にされてやがるとは無様なことだ――


 ブリアンが苛立ち、肘掛を叩く音だけが伝わってくる。誰も発言する事無く、時間が過ぎていく。



「……私はジュエス殿を信頼して任せたいと思います。陛下の為に今まで戦い続けてこられたのですから。これからも王家に尽くしてくれると信じています」


 数分の沈黙を破ったのはファリア王妃だった。王妃が発言した事にブリアンは驚いた様子だった。


 ファリア王妃は三十代も半ばの年増だが十分美女として見れる。

 腰まである長い黒髪、目は切れ長で瞳は青。

 体付きは豊かで男好きする胸と尻をしている。少なくとも服の上から見る限りは、だが。

 良くも悪くも強い意志力とは無縁な風貌でその点については息子と全く似ていない。娘のミーリア王女とは名乗られなくても親子だと分かるくらいなのにだ。


 ――僕に対する彼女からの視線には初めて会った時から信用とか信頼とかだけではない、誘うような混じり気がある……まあ利用できるものは利用させてもらおう――


 王妃の言葉を受けて決心したのかこちらをキッと見据えながらブリアンが口を開く。尊敬に値するとはいい難いが、気概と胆力はあるようだ。


「ジュエス。お前を正式に国王軍(ドミニオン)の司令官に任命する。以後の軍事行動について任せる。王家の為に尽力せよ」


 ――"国王軍(ドミニオン)の"司令官ね。こういう風にここぞという時に出し惜しむのも父親そっくりだな――



 ジュエスはブリアンから謹んで拝命し、議題は具体的な戦略へと移った。

 今度はセルギリウスやコンスタンスなどプロキオン家の幕僚達が議論の中心を占めた。


 会議が終わり、ブリアンは大きく足音をたてながら天幕を出て、ロンドリクは四つんばいになるのかと思うくらいに露骨に肩を落として立ち去った。

 ブルーノは一礼するとその枯れ枝の様な体をよろめかせ彼らの後に続いた。パウルスは何時の間にか居なくなっていた。


 ファリア王妃は去り際にジュエスの手に触れ、ちらりと意味ありげな視線を向け帰っていった。


 皆がそれぞれの天幕に戻った後もしばらくジュエスは大天幕に残っていた。


 主導権争いで勝利はしたが、主導権を取ったこの先が大変なのだ。


 僕は本当はフィステルスで温存した兵力を後ろ盾にしてリンガルで事態を見守るつもりだった。誰が勝っても軽視出来ない程度の勢力は保てる筈だった。


 だが、ブリアンが来てしまった。王妃も姫も連れて。


 実に面倒な事だが、家臣の支持を考えると追い返す訳にはいかない。

 今率いているのもコーア兵やハルト兵の残党もいる国王軍(ドミニオン)である以上、王子を見殺しには出来なかった。

 王妃や姫はもっと慎重に扱わなければならなかった。か弱い乙女達を守らないのは一番まずい。


 我がプロキオン家の兵が精強なのは僕が作り上げてきた鉄の忠誠心によるのだ。

 彼らには"偉大で誠実な君主ジュエス様"という幻想を見続けさせなくてはならない。


 だが王族が合流している以上、諸侯同盟(アリストクラティオン)とは仇敵で居続けることになる。


 単独で戦う事は出来ない。他に味方は作れないものか。

 国王派を謳っている筈のフェルリアのサレンからは何の連絡もないが、伝わっている話では周辺地域に攻め込んで大暴れしているらしい。

 ただ、サレンに関しては家臣の大半が非難しているし、協同するのは避けるべきだろう。

 モアやアイセンの状況は全くもって不明だ。


 南は敵ばかり。西のクラウリムもむしろ諸侯同盟側に近い。北にいるのはサイスの蛮族。東は―――


「メール地方か……」


 ジュエスは独り呟いた。


 山脈の向こうだから余り情報は伝わっていないが、確か王に忠誠を誓う領主がいた筈だ。辺境過ぎて忘れていた。まあ交渉だけでもしてみるか。


 百人でも兵士を連れてきてくれれば多少は楽になる。それにお願いするだけなら損にはならない。


 方針を決めたジュエスはひっそりとした大天幕から出る為に椅子から立ち上がった。


 ――そうそう、折角だし後で王妃の天幕にお伺いさせて頂くとしよう……――


 ◆ ◆ ◆




 ジュエス麾下の国王軍(ドミニオン)はリンガル地方への到達を目指し、間に立ちふさがるコーア地方へ進軍した。


 "(プリンケプス)"死後のコーア地方は統一を失って分裂しており、無数の中小勢力が互いに争っていた。蛮族の末裔らしい尚武の気風と勇猛さが逆に働き、誰もが戦乱に生きる事を選んでしまっていた。

 その中でも特筆すべきは肝心要のマールーン家で、新たな"(プリンケプス)"を称したケイトセンとそれに反発する家臣団の敵対であった。コーア地方全体として誰に味方をするのか、何の為に戦うのかが決まらなくなってしまったのだ。

 ケイトセンは公都オリュトスを勢力圏とし、反対派はグラスローを拠点としていた。


 内部分裂し互いに争っている状況下では、消耗しているとは言え二万強の国王軍は強大な戦力だった。

 ジュエスは先ずグラスローを包囲し、これを陥落させた。グラスローのコーア家臣団には寛大な条件で降伏を許し、配下に取り込むことに成功した。異郷の地で戦う以上、現地人の味方は必要不可欠だった。

 本拠リンガルまでの連絡線を確保したジュエスはコーア東部の平定に取り組んだ。王家の権威と国王軍の武力を駆使して勢力圏を広げて行き、ついに公都オリュトスまで到達した。


 ジュエスは反撃に出てきたケイトセンの軍勢を撃破するとオリュトスを包囲した。オリュトスはコーア地方で最大の城塞都市であるが、傘下に加えたコーア人の協力もあって包囲戦は順調に進んでいた。

 これに対しケイトセンは最早単独でのコーア維持は不可能だと考え、密かに隣国のクラウリムに援軍を要請していた。ハウゼンへの従属と領地割譲という事実上の属国化を条件に救援を求めていた。


 ジュエスはクラウリムの動向には以前から注意を払っていた。ハウゼンが今動くことはないとは考えていたがもしもの事態には備えていた。

 密偵を放ち、斥候を巡回させてクラウリム軍の活動にも対処する準備は行っていた。


 しかし大方の予想を裏切り、それまで沈黙を保っていたクラウリム公ハウゼンは要請を承諾しオリュトス解囲の為に軍の派遣を決定した。

 ハウゼンは自らクラウリム軍を率いてコーア地方に向け進軍を開始していた。


 ジュエスたち国王軍(ドミニオン)は再び危機に直面しようとしていた。



 ◇ ◇ 



 反乱と王の弑逆に成功し、一夜にして王都の支配者となった近衛兵長ジョアンだったがその天下は長くは続かなかった。


 彼と同じ事を考えない者が出ない訳も無く、それまでジョアン一派であったオタールが"王殺し"の首を土産に諸侯同盟(アリストクラティオン)に降伏しようとしたのだった。

 オタールの造反を察知したジョアンは自身の身を守る為に隠匿資金の大半を放出して王都守備隊プラエシディウム・ウルバナエの買収に奔走した。この期に及んでも金の魅力は大きく、一千人程の守備隊兵を味方に付ける事が出来た。


 一方、ジョアンの動きを見たオタールはこれ以上買収される前に実力行使に出て事を決してしまおうと考えた。オタールは残りの守備隊兵を率いてジョアンの居座る宮殿へ攻め込んだ。

 宮殿では醜悪な同士討ちが発生した。味方か敵かの区別も付かないほど混乱した戦いで宮殿は流血で染まった。

 両陣営の戦いは宮殿の中で収まらず、市街地へも広がっていった。近衛兵や王都守備隊同士が相打つ中で逼迫させられていた市民が暴動を起し、市内の混乱は燃え広がる火のように拡大の一途を辿り、最早手の付けられないものとなっていった。

 混乱の責任者たるジョアンもオタールも激しい戦いの中で行方不明となっていた。彼らのその後の行方はがんとして知れず、死体も見つかることは無かった。



 新暦658年9月、フィステルスの戦いから3ヶ月後、王都が収拾の付かない混乱に包まれる中、諸侯同盟(アリストクラティオン)軍は漸くユニオンに到達した。

 進軍が遅れたのはブルメウス王が王都周辺の食糧を掻き集めてしまっていた為に食糧の補給を後方からの輸送に頼らざるを得ず、更にジュエス率いる国王軍(ドミニオン)による遊撃で度々足止めされていたからであった。結局ブリアンら王族を取り逃がし、国王派の追撃にも失敗してしまった。


 諸侯同盟軍が到着した時にはユニオンは荒れ放題で、市の内外に関わらず暴徒や脱走兵が暴れまわっていた。諸侯同盟軍は直ちに鎮圧と平定を開始した。

 しかし、人口三十万の巨大都市の暴動を治めるのは困難で、さらに多くの時を費やす事になった。



 そして、血に塗れた王都は人の如何なる感情も露わにさせる。無力な平民ならば尚更その魔力には逆らうことは出来ない―――




 ◆ ◆ ◆


【新暦658年9月 王都ユニオン 兵卒ロック】



 眼前に控える巨大な城壁は地平線一杯に連なり、聳え立つ塔は雲を突かんばかりに天高い。門の付近は一際重厚で、そこだけで一つの城と言える程だ。


 何もかもが桁違いの規模だった。

 街の大きさも、壁の長さも、塔の高さも――そして漂う死臭と悲鳴も。


 ロックはディリオン王国の中心、王都ユニオンを目の前にしていた。

 


 フィステルスの戦いではロックは後列に配置されたお陰で、味方に挟まれもみくちゃにされている間に戦闘は終了していた。

 負傷することも、死の恐怖を味わうことも、失禁して逃げ出す事も無く生き延びた。


 その時は幸運だと思った。だが、必ずしもそうとは言えないと後になって分かった。


 王都の城攻めはフィステルスで損害を受けなかった部隊が優先して投入されることになったからだ。

 幾らロックでも城攻めはただの戦いの何倍も危険だと知っていた。

 それに村の老人や、最近仲良くなった古参兵――名をヨドといった――から城攻めの経験を聞いていた。

 ちょっとした砦を攻め落とすだけでも多くの怪我人と死者が出たという。

 ユニオンは王国で最大の街だ。一体どれほど危険なのか想像もつかなかった。


 古参兵のヨドは幾つもの戦闘に参加して、褒賞や略奪でそれなりの財産を持っていた。

 武装も持参していて、兜、胸を覆う革鎧、鉄製の剣を持っていた。

 彼からは色々な話を聞くことが出来た。


 戦争で一番美味しいのは城攻めの後だ、とヨドは言っていた。

 街にしても城にしても、金目の物や女をたっぷり抱え込んでいる、それをドサクサ紛れに頂くのだ、と。

 そういうご褒美がなけりゃ戦争なんかやってられるか、とも言っていた。

 ヨドは文字通り涎を垂らしながら様々な"ご褒美"の事を語っていた。



 実際、王都に来てみると壁を乗り越えなきゃならない事態は起きなかった。

 どうやら王都で何か事件が起きたらしく、暴動で大混乱に陥っているらしい。

 今から市内に突入する、秩序を回復せよ、と司令官のヒュノ―将軍が全部隊に向けて命令した。

 勿論、ロックのいる部隊も最初に突入することになっている。


 壁を攻撃しなくて済んだのはよかったが、行ったこともない街の中で住民相手に戦わなくてはならないのだから、やはり危険であることに間違いはなかった。



 壁にも門にも守備兵はいなかった。この時は矢の一本も飛んでくることは無かった。

 だが門を数人掛かりで押し開け、市内に強引に押し入ると、城門付近にはもう暴徒たちが詰め寄せていた。

 中には鎧を着込み剣を構えた兵士の姿も見えたが、殆どは棍棒か包丁を先に括りつけた手製の槍を持っているだけだった。

 彼らは急いで建物の残骸を集めて、道を塞ごうとしていた。


 突撃の命令が下る。角笛が高らかに鳴り響き、騎馬に乗った勇士(ミリテス)を先頭に部隊は前進した。

 暴徒の作業は間に合わず、騎兵の攻撃であっという間に追い散らされた。

 騎兵の恐ろしさはよく知っている。あの時の事を思い出し、少し漏らしてしまった。 


 だが直ぐに、追い散らされた暴徒達が再び戻ってきた。大通りの先からは数百人の人が、路地裏からも何人も這い出してきた。

 皆、手に武器を持っている。


 突撃して先行し過ぎた騎兵は暴徒に囲まれ、馬から引きずり降ろされた。悲鳴は聞こえてこなかったが、その騎兵は二度と姿を現さなかった。


 ロックの属する歩兵部隊も囲まれ、暴徒に攻められていた。

 ロックの隣の兵士が暴徒の一人に槌で頭をかち割られた。その暴徒が今度は此方に向かってきた。

 心臓が早鐘を打ち、手が震える。無我夢中で盾と槍を構える。体のあらゆる所が冷や汗で濡れている。

 暴徒が槌を振り下ろした。間一髪、構え直した盾で防ぐことが出来た。盾がバキバキと音を立てて砕け、槌が板にめり込んだ。

 暴徒はめり込んだ槌を引き抜こうとしていた。

 ロックは盾を放り捨て、両手で槍を握り思い切りつきこんだ。


 手に嫌な感触が伝わる。豚を捌いた時とは訳が違う、もっともっとこわい肉の感触だ。

 

 暴徒は口から血とうめき声を吐き出して倒れ、直ぐに動かなくなった。

 

 殺したんだ。俺が殺したんだ。なんて簡単に死ぬんだ。


 暴徒の死体を見て、そう実感した。

 だが、ボーマンもこんな簡単に死んだのか?と思うと不思議と手の震えは止まり、心臓も鼓動がゆっくりに戻っていった。


 それからも必死ではあったが、落ち着いて何人もの暴徒を突き殺した。


 後方からの増援もあって暴徒達はまた追い散らされていった。ロック達は再び前進した。



 今度の前進は慎重で、守りを固めて一区画ずつ丹念に攻め落としていった。ヒュノー将軍も重要地点を把握しているようで、一つ要所を占拠すると暴徒の勢力は目に見えて減っていき、一戦ごとに戦いは楽になっていった。


 そして、八回目の戦いを終えて、部隊は焼け落ちた住居の跡地で一休止していた。何人かを歩哨に立て守りを固めながらだ。


 ロックも体を休めていた。心はまだ大丈夫だったが、手は返り血だらけで、槍を振るい過ぎて擦りむけてしまった。

 恐怖ではなく、疲れで震えている。

 こんなこともあるのか、とロックは人事の様に思った。


 唐突に後ろから話しかけられた。敵か、と思って驚いて振り向くと、ヨドだった。彼も血塗れだった。

 剣は失ったようで、どこで拾ったのか刃に欠けの在る斧を持っていた。

 彼も疲れきっているようだったが、ただ顔にはイヤらしいニヤついた笑みが浮かんでいた。


「いいモノを見せてやる、ついてこい」


 とヨドは言った。

 ロックはまだ戦闘中だし断ろうと思ったが、ヨドのような古参兵の言うことは聞いておいた方が良いだろうと思い付いて行った。


 路地を抜け、ボロボロの住居の一室に連れて行かれた。

 中には居たのは若い女だった。

 手を縛られ、顔には打ち据えられた傷跡が在る。目は真っ赤で、泣き腫れていた。


 ロックはただ立ち竦んでいた。止めるべきだと思ったが、言葉は口から出てこなかった。

 女は余り綺麗ではなかったが、ヨドには十分のようだった。ただロックにもその気持ちはよく分かった。


「どうするんだ、お前」


 ヨドは聞いてきた。


「嫌なら構わないが他は自分で見つけろよ」


 とヨドは言った。


 

 暫く二人を眺めて、ロックは近付いた。女にロックはなんとなくピラの顔が重なったように感じた。


 ◆ ◆ ◆




 市内の各所で諸侯同盟(アリストクラティオン)軍の兵士と暴徒が衝突し、その余波は逃げ惑っているだけの一般市民にも容赦無く波及した。


 特に近衛兵(プラエトリア)王都守備隊プラエシディウム・ウルバナエの生き残りは降伏も許されないと悟り、激しく抵抗した。

 諸侯同盟側も彼らにはより苛烈に対する事を決め、王都守備隊の宿舎に押し込めると火を掛けてそのまま焼き殺してしまった。

 宮殿も王都守備隊に占拠されていたが奪還し、王殺し達には慈悲も掛けられず皆殺しとなった。


 暴徒や脱走兵は悉く処断され、流血を以って鎮圧された。城壁上には無数の晒し首が並び、残りの部分は一纏めにして市外に掘られた穴へ投棄された。


 最終的にこの暴動と鎮圧でユニオン市の市民は五万人以上もがその命を失い、それ以上の人間が負傷した。

 不運にも擾乱に巻き込まれた男は殺され、女は老若関わらず強姦された。


 諸侯同盟軍も武装していたにも関わらず、多数の勇士(ミリテス)を含む兵士二千人を失っていた。


 王都の平定には地理に明るいヒュノー将軍の部隊が特に活躍した。またバレッタ勇士はハルト人に対する容赦は持たず、復讐戦の延長として暴徒を皆殺しにした。

 しかし、この活躍が災いし、ヒュノーはユニオン市民からは冷酷な背信者と記憶されることになった。


 王都を制圧した諸侯同盟(アリストクラティオン)軍は市内各所の倉庫を接収し大量の物資を手に入れ補給に関して一息付いた。

 暴動の中で少なくない量が失われたとは言え物資は膨大な量で、数万袋の小麦や大麦、山積みの麦餅(パン)、数百頭分の豚や鶏の燻製肉、果実、干魚、その他諸々の保存食、何千樽も積み上げられた葡萄酒や麦酒が手に入った。

 そして、黄金と女もまた諸侯同盟軍は"補給"することが出来た。勿論、こちらは公式に接収していない部分が殆どであった。


 ベンテスは接収した物資の幾分かを市民に放出し、捕らえた反乱者たちを広場で公開処刑に処し、市民から少なからぬ支持を得ていた。


 ブルメウスの殺害から始まる王都ユニオンの混乱も、諸侯同盟軍によって一応の収束を見せた。



 王都制圧から数日すると諸侯同盟(アリストクラティオン)の首脳達は早くも制圧した国王領や手に入れた財貨の分け前について協議し合っていた。



 そして、戦は剣から言葉を用いた戦いへと移る。その戦場では敵も味方も関係無い。諸侯の一人は勝利を掴もうと足掻いていた―――




 ◆ ◆ ◆


【新暦658年9月 王都ユニオン レグニット公ガムラン】



 暴徒を一掃して奪い返した宮殿の一角。

 小議の間と呼ばれた部屋に三人の男が揃っていた。


 ライトリム公ベンテス、レグニット公ガムラン、ヒュノー将軍である。


 現在王都を支配する諸侯同盟(アリストクラティオン)の指導者達だ。


 小議の間が合議の場所として選ばれたのは、玉座の間や執務室は未だ血に塗れており、とても話し合いなど出来る状態ではなかったからだった。


 ユニオン市内に充満する殺戮と暴力の痕跡は宮殿の中にも流れ込んできていた。

 開け放った窓から吹き込む風と共に侵入する血と臓物と煙の不快な臭いが鼻腔を刺激する。


 会議が始まる前から既にガムランは憂鬱だった。


 この街を覆う死者の臭いもさることながら、ここに到るまでの過程全てが心を陰鬱とさせる原因だった。


 ガムランはこんな事態になるとは予想していなかった。

 反乱こそ起こしはしたが、王を死に追い込むつもりなど無かった。


 王にはハルト地方に引っ込んでいてくれればそれで十分だった。後は上手くいけばブルメウスを退位させ、我々に都合の良い王を即位させる事ぐらいは出来るかも知れないとは思っていた。


 無論、兵を率いて前進している以上、王の軍勢と戦になる事は覚悟していた。ガムランも戦士の端くれではあるのだから戦いを厭う訳では無い。

 だからフィステルスでの戦い自体は構わなかった。


 ――しかし、あの小僧――いや、もう小僧などと呼ぶ気は起きない。奴、プロキオン家のジュエスにあそこまでしてやられるとは……私より二周りも年下の若造に負けてしまった――


 認めるのは業腹だがベンテスが敵の中央軍を打ち破って撤退に追い込まなければ、ガムランも討ち取られていたかもしれない。

 ジュエスは疑いなく傑物だ。だが、レグニット軍にも問題はあった。


 独立都市の連中め。あいつ等が命令に正しく従っていれば、あんな醜態を晒さずに済んだのだ。フィステルスの戦いでもそうだが、その後ユニオンに辿りつくまでの戦いでもそうだ。


 ――いつもいつも私に逆らいおって!何百年も前の栄光をいつまで追い続けていれば気が済むのだ!――


 そもそも、奴らはレグニット公の権力に伏しているべきなのだ。独立都市などと謳っていることすら間違っている。



 そして、ユニオン――王都の市民を剣に掛ける羽目になり、これほどの流血沙汰になるとは。何万人死んだか分かったものではない。

 兵達もこの惨事には戦以上に辟易していた。


 尤もユニオンに関してはガムランよりもヒュノー将軍の方が鬱々としているだろう。


 ヒュノー将軍は軍を合流させた時から渋面を顔にへばり付けていたが、今に比べればその時の方がまだ涼やかな顔付きだった。

 ヒュノー将軍は王都の擾乱を治めるのに最も功があったのに王都の住民からは恨まれてしまっているからだ。


 そして一番不愉快なのは、これほど不本意な努力をせざるを得なくなった挙句がベンテス一人を利する結果になりつつあるという事だった。


 フィステルスの勝利という果実をもぎ取ったのも奴だった。ユニオン市民の支持を得たのも奴だ。

 このままいけば占領した国王領の分割でもライトリム公の主張に異論を唱えるのは難しくなるのは疑いなかった。


 当のライトリム公ベンテスは机の最上座に当然の如く座っている。

 "帯剣せし樽"の渾名に相応しい体形で、身に纏う長外衣もその下に身に付ける短衣も腹に押し上げられて、今にもはち切れんばかりだ。

 これで今尚戦士としては捨てたものでは無いというのだから信じ難い。


 ガムランは鬱蒼とした頬髭により若干太くは見えるが痩身・小柄で、二人が並ぶとガムランの迫力の無さが悪目立ちしてしまう。


 漂う異臭に顔をしかめながらベンテスは窓の外を見やった。


「罪人共め、生きていようが死んでいようが関係無く煩わせてくれる」


 絶える事無く入り込む市内の異臭は日に日に強くなっていく。

 ベンテスが壁の上に晒させた首や回収出来ずに打ち捨てられた貧民街の死体が夏の陽光で腐っているのだ。

 城壁の首はもう人の頭には見えず、腐った緑色の粘着物が付いた塊と化している。


 窓から他の二人に目を戻したベンテスは話し始めた。


「諸君、我々は勝利した。暴君は消え、王国に真の平和が戻りつつある」


 我々というだけの自制はまだ効くのだな、とガムランは思った。


「そして我らにはこの王土の平和を確かなものとする義務がある」


 "帯剣せし樽"は声を部屋中に響かせながら先を続けた。


「先ずは空席にある玉座の処遇をどうするか決めなくてはならない」


「継承順から言えば、ブリアン王子が次の(ドミヌス)という事になるが」


 それを受けて応えたのはヒュノーだった。


「ブリアンを推戴するのか?」


 ベンテスは既に王子とすら呼ばなくなっている。王位継承支持するつもりは僅かばかりも無いのだろう。


「王位を継承させてやったとしても戻ってきた途端、我々を処刑しようとするだろう。城壁の連中の仲間入りするのはぞっとしないな。それに、せっかく手に入れた王国を手渡してやる事はない」


 ヒュノー将軍は"手に入れた王国"という今の物言いが気に食わないらしい。ベンテスを睨め付けている。


「ヒュノー将軍はブリアンを支持するのかね? 私も彼を支持しないが」


 ただし今の所は、と思いながらガムランは尋ねた。


「いや、支持はしない。ブリアン王子はブルメウス王と同様、下手をすればより性質の悪い政治信条の持ち主だった。王国の平和を思えば他の者を支持するべきだろう」


 ヒュノーが答えた。


「よろしい。そうなると次に継承順が優先されるのはリメリオ殿だな。幸いリメリオ殿は以前から我がライトリムの元におり、その識見は玉座に座るのに十分だ」


 リメリオはブルメウスの従弟で、ブルメウスの王位継承に反発し、ライトリム公の下に庇護を求めて逃げ込んでいた人物だ。

 その器量にも才覚にも話題となる点は何一つとしてない。傀儡にするには最適と言える。

 しかしこの男を傀儡としてもやはり最大の利益を得られるのはベンテスだ。


 リメリオの他に数人の候補に関して議論が交わされたが、結局はベンテスの意見が採用される事になった。

 ベンテスはリメリオを押し、ヒュノーもそれに多くの異論は唱えなかった。


 スレイン公からは王位継承どころか一切の要求が無かった。同盟結成時の盟約でさえモア・アイセンの攻撃以外には何も言わなかった。

 彼はユニオンに使者の一人も送って来ないのだ。


 ベンテスなどは"あの寝取られ男がモアとアイセンを滅ぼす事以外に興味を示すものか。こちらで決めたことに一々文句は言うまい"と言いスレイン公フレデールに意見を求める事もしなかった。


「よろしい。この件に関しては同意を得られた訳だ。ではリメリオ殿を(ドミヌス)とし、その下で国土を治めていくとしよう」


 気づけばベンテスは我々、と言わなくなっていた。"自身の"勝利を確信しているのだろう。

 ベンテスは余裕のある態度で言葉を続ける。


「次に王国の平定についてだが、ブリアンを王位継承から外すと決めた以上、当面の敵としてフィステルスから後退した軍の残党がいる。北へ逃げたプロキオン家の小僧はブリアンを支持し、コーアに進軍している」


「その……プロキオン家のジュエスの事だが味方に付けられないのか? まだ若いし、辺境の領主なのだから中央の領地の幾らかでもくれてやれば我らに組するのではないか」


 特にライトリムに併合されるかも知れない土地をくれてやりたいものだな、とつい口から出そうになった。


 ガムランの提案に ベンテスは不愉快そうに眉を顰めた。このままジュエス率いるブリアン派を撃破し、コーア・リンガルも手に入れようとでも思っていたのだろう。


「無理だろう。ジュエス殿はこの窮地に於いてすらブリアン王子を支持したのだ。判断の是非は兎も角としてその勇気と忠義心に疑いの余地は無い。降伏する事はあっても寝返る事はあるまい」


 ヒュノー将軍が渋面を崩さずに口を開いた。ジュエスの事を小僧と呼ばないのはヒュノー将軍も同じようだった。だが、彼の人格を賞賛し名誉を守ってやるのは今は止めて欲しかった。


「ヒュノー将軍がそう言われるのなら、小僧を引き込むのは無理なのだろうな、ガムラン公? 遠征の準備が整い次第、奴らを撃退する為に北へ向かおう」


「コーアは味方につけられないのか? コーア人は攻撃を受けている以上、ブリアン王子らと敵対していると思うが」


 ヒュノー将軍が尋ねる。


「コーア人は同盟を拒否している。奴らだけでどうするつもりなのか、連中に他に味方が居るとも思えないがな」


 ベンテスはコーア人の動向はあまり気にかけていない様子だった。

 まあコーア人は元々蛮族との混血だ。これを機に独立でもしたいのだろう。


「いずれにしても同盟を拒否したと言うのであれば是非も無い。ブリアン一派と共に打ち払うしかあるまい」


 ベンテスが決定を纏め、議題は次へ移った。



「北の問題はそれで良いとして、フェルリアのサレンに関しても対応が必要だ。まさかブルメウス王のように奴を認めるということは無いだろうな」


 ガムランが発言する。


「無論だ。サレンは国王への忠誠を謳って、周辺を攻撃している我がライトリムもバレッタも奴に攻撃を受けている。大規模な攻撃では無いにしても、鬱陶しい事この上ない。サレンに屈せず戦い続けている現地の心ある貴族から救援の要請も来ている事だし、サレンは必ず討伐する」


「あの無法者は許せん。サレンは私が討伐しよう」


 と、ベンテスの言を遮らんばかりの勢いでヒュノー将軍が主張した。


 実際のところ、サレンとヒュノー将軍の行いには大した違いは無い。どちらも公を殺害し、領地を占領しているのだから。

 強いて言うならばヒュノー将軍の方が不満が出ない形で上手くやっているだけだ。


 とは言えベンテスもガムランもヒュノーが害獣駆除をしてくれるというのならば否やを言う必要もなく、受け入れられた。


「南といえばメガリスの連中はどうなっている?」


 ガムランは質問を続ける。メガリスはディリオン王国と長い間戦争を続けている最大の敵だ。近年、彼らの動きが鈍り、この内戦の間も大きな動きが無いとは言え警戒が必要な相手だった。


「メガリスは南方の蛮族退治に懸かりきりだ。よしんば軍を起したとしても、サレンと潰し合うだろう。その後、消耗した両軍を押し流してしまえばよい」


 ヒュノー将軍が応えた。


「サレンがメガリスに乗り換える可能性は?」


「もし、そうなれば、サレンはフェルリアのあらゆる人間から反抗されるだろう。反乱を起しただけでなく、あまつさえ国を売った奴に従う人間などおらぬ」


 ヒュノーは侮蔑したような声で言い放った。


「南の問題はそれでよい、残るモアとアイセンはスレイン公に任せよう」


 とベンテスは言葉を継いだ。


「モアとアイセンへの攻撃は結構だが、やり過ぎてしまっては困る。レグニットには重要な交易先だ」


 ガムランは反論した。両地域との交易はレグニットの重要な財源となっている。


「それはモアやアイセンの連中に言って貰わねば困るな。抵抗せずフレデール公を逆撫でしないようにと教えてやれ」


 現にフレデールはモアを文字通り破壊して回っている。占領した都市は略奪と虐殺の嵐に見舞われている。

 その余りの暴虐さにモア人・アイセン人は徹底抗戦を決意し、スレイン公と敵対している。


 尤も、そのこと自体はガムランにもどうでもいいことではあった。ガムランの関心事はモアの生産物のことだけだ。


 ベンテスも興味無さげにスレイン公の話を打ち切ると、より関心の抱ける話題へと話を移した。


「クラウリム公は未だに全く動きを見せん。兵の召集はしているようだが、同盟の申し出にも何の返答も無い」


 クラウリム軍はディリオン王国内で未だに無傷の軍勢で、彼らを率いるハウゼン公はその武勇と知略を良く知られている。

 下手に動かれるよりは中立を保ち続けて貰えるなら、そちらの方がよい。


「ハウゼン公の動向は不安では有るが、差し当たり動かないというのであればそれで構うまい」


 窓からは夕日が差し込んできている。暫くの休憩を終えた三者は再び協議を始めた。この合議の本題である。


「さて、それでは最後に平定した国王領と接収した財物の配分に関して決めようでは無いか」




 数刻後、合議は終わった。ガムランは憮然として小議の間を出て行くしかなかった。


 結局、領土の配分も財貨の分配もベンテスが全ての要求を通してしまった。

 何とかレグニット海軍の力を背景にストラスト港は手に入れたが、ユニオンも王もハルトの大部分もライトリム公の管轄下となった。


 ヒュノー将軍は領地の取り分に関しては殆ど何も言わなかった。ただバレッタ・ハルト間の係争地を管轄下に収めただけだ。


 自分一人ではベンテスの強権に対抗しえなかった。

 ただ一人"帯剣せし樽"だけが、この戦争の勝利者になりつつある。


 ガムランはベンテスへの怒りを心中に抑えておくのを止めた。


 ベンテスめ、今に見ておれよ。王を排除し、王国を奪っていい気になっていられるのも今の内だけだ。

 貴様が中央に居るというのならば、次は貴様が包囲網の中心になるだけのことだ。


 スレイン公、ヒュノー将軍を同盟に引き込んで貴様を叩き潰してやる! サレンやブリアン、ジュエスと手を組んででも構わん! ライトリム公と戦う為ならば独立諸都市の連中も逆らうまい。


 後はクラウリム公の動向が気になるが、きっとベンテスを倒すのに協力してくれるだろう……



 ◆ ◆ ◆





 諸侯は占領した国王領を分割した。

 王都ユニオンを含むハルト地方の大部分は最大の諸侯であるライトリム公が手中に収めた。

 ユニオンから接収した財貨も公式に分配した分も、非公式に掻き集めた分も含めてやはりライトリム公が多くを手に入れた。その額は金貨二十万枚、銀貨五百二十万枚に及んでいた。

 さらにライトリム公ベンテスは宰相プレフェクトス・スペリオルとなり、新(ドミヌス)リメリオの名の下に命令を下し始めた。


 レグニット公ガムランは自らの保有する艦隊を有言無言の圧力として港湾都市ストラスト一帯を獲得した。

 フィステルスでの苦戦とその後の醜態によりガムランには要求を叶えるだけの勲功が上げられなかった為の強引な獲得であった。


 ヒュノーはバレッタ地方とハルト地方の境界地域を獲得しただけであった。

 これらの地域は両地方の貴族達や勇士(ミリテス)の間での係争地となっており、これをバレッタ側に有利な形で裁定することで出兵に協力したバレッタ人に報いた。

 だが、この件はハルト人のヒュノーに対する背信の疑念を増させる結果になった。


 ライトリム公ベンテスが内戦に於いて最大の利益を獲得した。

 しかし、その強引な方法にレグニット公ガムランは予てからの反感を一層強め、それまで国王に対し結成されていた諸侯同盟(アリストクラティオン)を、構成員を代えライトリム公に対抗する同盟に再結成しようと画策した。


 ベンテスはこのガムランの動き自体を察知した訳ではないが、ガムランが離反しようとしていると疑心を抱き、レグニット軍をライトリム・ハルトから追い出そうと図った。


 ガムランとしても先ずはベンテスの勢力圏から逃れようとし、威圧と脅迫で道を切り開きながら決して平和的と言えない方法で港湾都市ストラストから海路でレグニットに離脱した。

 この時点ではライトリム軍とレグニット軍との間ではまだ戦闘は発生していなかったが、それも時間の問題であった。


 ベンテスの疑心はヒュノーに対しても抱かれた。

 ベンテスはヒュノーがサレンと戦う為にバレッタへ帰還する際に、ヒュノーと共に従軍していたハルト出身の勇士(ミリテス)に金貨を積んで引き抜いた。離反者を出させる事でヒュノー陣営に対し亀裂を生じさせようとしたのだった。

 この時点では目立った影響は出なかったが、後々にヒュノーに重く圧し掛かっていく。



 新暦658年の末には事実上、諸侯同盟(アリストクラティオン)は分裂し、新たな内戦へと突入していった。

 お読み下さり本当に有難う御座います。

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