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ディリオン群雄伝~王国の興亡~ (修正版)  作者: Rima
第一部 第三章『愛憎』
33/46

『誰が為の戦い・四』

 新暦666年8月、王都攻防戦で辛うじてミーリア派軍が勝利した後、戦いは暫く膠着状態で経過していた。両陣営共に疲れ果て、何よりも休息と再編を必要としていたのだ。

 ただ止まっているのはユニオンの周りだけであり、その間にも他の地域では事態は激動を続け、次から次へと情報が舞い込んできていた。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


 北からはオーレン戦死の報が届いた。北部では両陣営共にまだ万単位の兵が戦闘力を維持していたが、ブリアン派最強の将の一人であるオーレンの戦死は致命的だった。


 西からは軍港ストラストにセルギリウスが戻って来たとの知らせがあった。王都の窮地を見て強引に兵を引き抜いて戻ってきたのだった。

 セルギリウスはリンガル兵1千に加えて水兵、ストラスト守備隊も動員して総勢4千人を率いて王都に向け西進、カルボニアへまで迫っていた。


 東からはバレッタ軍が近付いていた。一隊でガラップを包囲しつつ、ローウェン家のフライス率いる主力部隊4千人がハルト地方に到達していた。


 北のヨーグ城はジュエス隊の一部が囲んでおり、バーグホルドもで奪還されてしまっていた。





 ブリアン派軍は今や一転して窮地に陥りつつあった。

 元より利害関係で繋がっているだけの集団である。危機への対応で諸将が紛糾するのも当然と言えた。


 ブリアン派の対応は統一されたものとはならなかった。

 ブリアンは撤退を受け入れられず、包囲継続に固執した。


 テオバリドは既に撤退準備に取り掛かっていた。再編さえ出来ればブリアン派軍は大局的には優勢を維持できると考えていた。

 北部軍、レグニット勢はまだ十分な兵力を維持しており、ライトリムでも新たに兵を集める事も可能だった。対するミーリア派は勝利こそ掴んだが多数の精兵を失いった。

 ネービアンらメール兵は元上官のテオバリドに従い、トラードやフィステルス市軍も行動を共にした。


 彼らはそれでも戦い続けるという点では意見を一致させていた。だが他の将はそうではなかった。


 膠着の続く夜、ブリアンとパウルスに突然兵が攻撃を掛けた。アイアスらマーサイド家軍、ガイオスらグラニア家軍、ギーサリオン亡き後のメイルーン家軍が攻めたのだ。

 彼らはもう抗戦には意味が無く、降伏の手土産に首領のブリアンとパウルスの首を持っていこうと図ったのだった。

 背信に激怒しながらパウルスはブリアンを救い2千人の兵とテオバリドの陣営へ逃げ込み、パーレルは1千人の兵を伴い拠点ウラタイアのある北東へと退いた。

 ブリアンらを受け入れたテオバリドは直ちに撤収を始めた。




 夜が開けた頃にはテオバリドらは完全に撤収を完了しており、壁の外からはブリアン派の勢力は消え去った。

 一夜にして王都の包囲は解かれ、後には陣地の残骸、兵士の死体、そして背信者の群れが残った。

 アイアスら背信者達は降伏の使者をたて、戦いの流血は一旦終わりを告げることとなった。



 ◆ ◆ ◆


【新暦666年8月 王都ユニオン (プリンケプス)フレオン】



 ブリアン派を裏切った反乱者は降伏の為、王都へ入城した。主導者のアイアスとガイオスは兵から引き離されて、二人だけ市内への立ち入りが認められた。だが足を踏み入れらたのはそこまでで、宮殿地区の門は閉ざされたままだった。閉ざされた門前でランバルトらは待ち受けており、未だ戦いの傷跡残る街路に建てられた仮設の謁見場で合間見える事となった。

 当然だが女王ミーリアは臨席していない。


 ――降伏は敗者の武器だが時機と手土産が肝要だ。まあ、どんなものにも限界はあるがな――


「閣下。私、マーサイド家のアイアスは改めて真の玉座の主に忠誠を誓います」

「私ガイオスも忠誠を誓います」


 アイアスとガイオスは跪いて誓いの言葉を並べる。


「陛下と我らに刃を向けておきながら忠誠を誓い直すというのか?」

「お言葉ながら誓い直すのではありません。始めから私共は女王(ドミナ)陛下と閣下にのみ忠誠を誓っておりました。ブリアンとパウルスめに騙され脅されていたのです、閣下」


 恥ずかしげもなく卑劣な言葉を口から垂れ流すアイアス。


 ――恭順の宣誓としては有りがちで凡庸だ。通常の降伏ならそれでも良かろうが、今この場ではいかんな――


「ブリアンと共にあったのは已む無くだったというのだな?」

「はい、閣下。その証拠に真の大義の為に反乱者と先頃戦いました」

「ほう、では反乱者ブリアンの首は何処か。パウルスの首でも構わんぞ」

「申し訳御座いません。討ち取る事は叶いませんでした。後は陛下の御慈悲に縋るのみで御座います」


 アイアス達は頭を垂れている。勿論、全ては見せ掛けだ。彼らは許されると思っているのだ。


 ――縋る相手はそれだけでいいのか?――


 ランバルトはゆっくりと二人に近付いた。


「女王陛下は寛大で慈悲深い。きっと諸君らを許すだろう」

「はっ」


 アイアスは頭を上げる。ランバルトは背を向けた。


「だが……」


 そして、くるりと振り向く。その瞬間、ランバルトは振り向き様に腰から剣を引き抜いて白刃を煌めかせた。

 一閃の鈍い光が通り過ぎると、アイアスの首がごとりと地面に転がり落ちた。


「私は許さん」


 僚友の処刑を目の前にしたガイオスは顔を蒼白にさせている。


 ――慈悲を乞う相手を間違えたな――


「ガイオス。貴様には自裁を申し付ける」

「そ、そんな、閣下! どうかお許しを! フ、フレオン殿! フレオン殿も何とか言ってくれ!」


 衛兵に取り押されられ、ガイオスは泡を飛ばしながら叫んだ。

 フレオンは態とらしくかぶりを振った。


「沙汰を下ったろう、ガイオス殿。それが全てだ」

「今降伏すれば助かると言ったのはフレオン殿ではないか!」

「そうだな。助かるかも、と言った。かも、でない方になってしまっただけの事だ。気の毒だがね」


 引き摺られて連行されるガイオスは聞き取れない言葉を喚いていたが衛兵に殴られて気を失った。

 次に目覚める時は死ぬ時だろう。


「フレオン、貴様の献策通りだったな。騒乱が起きたときは流石に罠かと思ったが、のこのこ首を差し出しに来るとは愚かな」

「愚か者の考えは読むのも操るのも簡単ですからな」


 フレオンはブリアン派軍に調略を仕掛けていた。戦いに敗北し敵に囲まれて不利になりつつある状況は調略を仕掛けるには最適なのだ。調略対象としてはランバルトを良く知るテオバリドではなく軸のぶれやすいアイアスらハルト諸侯を選んだ。

  フレオンはランバルトに側近いという自身の立ち位置を此処でも活用し、アイアスらに降伏しさえすれば全て許されると信じ込ませた。アイアス達は拍子抜けするほど簡単にフレオンの甘言に乗った。余りに簡単に事が進んだので逆にランバルトが罠かと疑ったくらいであった。

 だがよくよく考えてみればブリアン派など利害関係の結果寄り集まった集団に過ぎないのだから、離反にも裏切るにもさして抵抗は無いのだろう。


「アレサンドロ。市外の兵を武装解除して拘禁……」

「待って下さい。降伏した兵はそのまま受け入れるべきです」


 ランバルトの言葉をジュエスが遮った。ジュエスの声は決して暖かいものではない。

 独裁者ランバルトの言葉を皆の面前で遮り、あまつさえ異論を唱えることがどういう事を意味するのか分からない人間はこの場にはいない。

 一挙に空気が張り詰める。諸将の額には冷や汗が浮かび、アレサンドロでさえ口を引き締めている。


 ――やった。やってくれたな、ジュエスよ――


「我々には兵力が無い。彼らの戦力は貴重だ。それに温情無き手法が今回の様な……」

「ジュエス、お前には聞いていない」


 今度はランバルトが遮った。驚く程に冷たい声で。

 青い瞳は一層冷たく澄んでいく。

 ジュエスは目を背けもせず、真正面からランバルトの視線を受け止めた。今のジュエスの瞳には彼の特徴でもあった皮肉げな印象は一切無い。


「聞かれなければ話してはならない法でもあるのですか」

「いいや。まだ(・・)ない」


 ランバルトは言い放つと剣に付いた血を拭って鞘に納めた。ジュエスもそれ以上は痛撃を与えはしなかった。

 二人の間には目に見えないがはっきりとした亀裂があるようだ。


 ――良いぞ。極めて良い――


 戦場よりも張りつめた空気を変えようとでもしたのかアレサンドロが声を発した。


「閣下。降伏した兵は如何なさいましょうか」

「……アレサンドロ、親衛隊(ヒュパスピスタイ)から何人か士官を連れていき再編の準備を整えろ。フレオン、お前も同行しろ」

「宜しいのですか?」

「私が命令しているのだ。行け」


 これまでランバルトはフレオンを軍略面に関わらせる事は無かった。ランバルトが言うところの住み分けだ。

 だが、もうフレオンの居場所を"向こう側"だけでは済ませなくするようだ。


「御命令のままに」


 フレオンは頭を垂れた。浮かびそうになる笑みを隠すためだ。


 ――敵意が渦巻いている。全くここまで上手く行くと笑いそうになってくる――


 フレオンの思惑はこの時点まで極めて順調だった。

 この大乱を利用することにも成功し、自身の道を何歩も進むことが出来た。


 フレオンは両陣営を偽り騙していたが天秤に掛けていた訳ではない。あくまでもランバルトの勝利に向けて動いていた。

 だが彼の真の目的の為にはただ勝たせるだけでは駄目だった。ランバルトには際どい所で勝利を手にさせる必要があった。


 ――崖際での出来事である程、心には強く刻まれる。良いことも悪いこともだ――


 ランバルトが弱ってから勝たせたかったが、それも達成した。他人の助けを必要とし、他人の助けで勝ったと認めざるを得ない様な状況も作り出せた。

 彼の心に穴を穿たせられたのだ。自身の力だけでは限界があると、己の理想をただただ進むにも無理があるのだと刻み込ませた。

 そして、寄り添う者が必要だとするなら誰を側近くに置くのかをもう一度考えねばならなくさせた。


 ――彼らは互いに互いを良く理解している。だが、だからこそ、恐れ憎むのだ――


 ランバルトとジュエス。

 政治的に大いなる協力者であり、婚姻を通じても結び付いた同盟者。

 常人には計り知れない精神を互いに理解しあい、天性の才覚を認める二人。

 これまで共に道を歩んでいた二人の英雄は互いを道に立ちはだかる敵として認識しつつある。


 ――どんな強固な岩にもひびはあるものだ――


 フレオンは計略がより意味のある新たな段階に進んでいる事を確信し、心がざわつくのを強く感じていた。

 そして、そのざわつきが表へでないよう努めて平静を保った。


 ◆ ◆ ◆


 とは言え、降伏くらいではランバルトの怒気を防ぐ事は出来ず、首謀者達は命と落とす事になった。アイアスは処刑され、ガイオスは自裁を要求された。マーサイド家・メイルーン家・グラニア家の領地は全て召し上げとする決定も下された。

 だが沙汰はそれだけだった。家は改易とはならず、一族郎党へ処分が拡大することもなかった。土地も大幅に減らされはするものの、ハルト地方から離れたら辺境に新たに割り当てられるとされた。特に兵士達は罪を問われる事もなく、そのままミーリア派軍に編入された。

 これまでのランバルトからすると極めて寛大な対処だった。虐殺も取り潰しも無く、王家への反乱者への態度を加味すると、穏当とすら言えたかもしれない。


 覇者ランバルトは厳しい戦いをくぐり抜けて玉座へ近付いていたが、果たして独裁者たる彼の望む統治に辿り着くのかは寧ろ暗闇の中へ潜りつつあった。






 王都やクラウリムの戦いは死闘の場であったが、他の地域に於いても戦いは起きていた。


 ◇ ◇


挿絵(By みてみん)


 モア・アイセン地方では陸海各地で激戦が繰り広げられていた。特にクィンティリス・カエピオ率いるアイセン艦隊との戦いは激しく、テレックらディリオン艦隊は常に遅れを取った。

 苦戦の中、王都救援の為にセルギリウスが兵を引き抜いた事で戦況は一層苦しくなっていた。


 ◇ ◇


 もう一つ語るべき戦場はフェルリア地方である。


挿絵(By みてみん)


 ミーリア派勢力であるが当初から確保していた拠点や地域は意外にも広かった。

 公都ウォルマーはノゴール家のアールバルが管理し、北の要衝サルジェンはトーラルサ家のトレアードが、東の港湾都市ソロスゴルはマシュ家のアルメックがそれぞれ周囲の広大な領地と共に保有していた。

 大都市シェイディンやフェルリア最大の港バシレイアも反乱軍には与しなかった。

 国境沿いの城塞テュリオイには戦争経験豊富なアルサ家臣ガウェンド家のロジャーズが守備を担っていた。

 他には南の地方都市トリッサがあった。支配者はトリッソン家のネアルコスと言う男で、サレン支配時代に取り立てられた生まれも定かならない傭兵崩れの僭主である。意外にも善政で知られていたが、根は暴虐なならず者だと見られていた。


 更にバレッタからキンメル家のレオザイン率いる兵8千人が増援として送り込まれていた。

 メール重装歩兵(ホプリタイ)や"中央軍(スコラエ)"の様な主力部隊は公都ウォルマーや最前線などに集中的に配備されていた。



挿絵(By みてみん)


 ブリアン派の掌握する戦略的拠点は限られ、重用な拠点はリカンタ、ケファロニア、アンドロス港だけだった。

 リカンタ市はシェイディンと同様にユカール家の傘下にあったが、ユカール家の御家騒動に巻き込まれて反乱側へと走った。

 ケファロニアはマギナス家のサギュントが領地としていた。当主サギュントは非常に強欲かつ野心的な人物で、あっさりと反乱への加担を決めていた。

 アンドロスはバシレイアの南にある港湾都市で、元傭兵の僭主ドルクル家のドルクロスが支配しており、近隣の富と権益を常々狙っていた。

 


 その他にもどちらに付くでもない賊徒が溢れており、これら独立勢力の討伐・懐柔を両陣営共に平行して進めていた。


 ◇ ◇



 新暦666年5月、フェルリアの戦いは各地で744444799無く発生した。賊退治に毛が生えた程度の数十人の小競り合いから千人単位の大規模な軍事行動まで様々で、この統一の無さがフェルリアの戦いの特徴と言えた。



 中でも特筆に値するのはリカンタのユカール分家軍によるシェイディン攻撃、アンドロスのドルクル家軍とケファロニアのマギナス家軍による襲撃行である。


 リカンタ勢とシェイディン勢は野戦でぶつかりあったが、特段見所のない平凡な展開の後にリカンタ勢が制し、勝利で軍勢を増してシェイディン包囲へと取り掛かった。


 ドルクル家はバシレイア一帯を、マギナス家はサルジェンやソロスゴル一帯を襲撃した。襲撃行は彼らならず者の傭兵が得意とする戦術で、極めて手際よくかつ徹底的で容赦無い襲撃を行い、次々と焦土を残していった。

 ミーリア派は迎撃の軍勢を送るが、ドルクロスやサギュントは戦いを避け、ひたすら土地を荒らす事に専念した。


 公都ウォルマーのアールバルは兵力を集結・再編成し、シェイディン解囲を初めとした反撃に移ろうと図った。

 しかし、トレアードやアルメックは防衛を理由に大して兵を送らなった。苦戦は事実だったが、自尊心の強い彼らはアールバルの指示に従う事を嫌ったのだ。

 任命したランバルトとしてはアールバルは自身の側近なのだから最上位で当然と思ったのかもしれないが、そんな事はランバルトの事情であってフェルリア駐留軍には関係無いのだ。


 件のアールバルだが、彼は生真面目で、ある意味誠実な男だった。つまり、アルメック達の言い訳を信じてしまったのだ。そういった慈悲深さは本来ならば賞賛すべき性質かもしれないが、今は発揮するべきではなかった。

 寧ろ防衛の兵力が足りないと判断したアールバルは到着したバレッタ兵などを各地に振り分けてしまった。


 テュリオイのロジャーズはアールバルの指揮を受け入れたのか、メール重装歩兵(ホプリタイ)5百人を率いて北上していた。


 6月、ハルト地方での反乱軍決起の報が伝わった。ミーリア派の諸将は警戒を強めはしたが全ては作戦通りと特に行動変える様な事はなかった。

 ロジャーズ隊と合流したアールバル兵4千人を率いてシェイディン解囲へと向かった。反乱軍は5千人近い兵を集めてシェイディンを囲んでいた。

 数は少なくても精鋭のメール兵を中核としたミーリア派軍は忽ちの内にシェイディンを解放した。

 アールバルらは追撃を図ったが食糧不足から進軍を停止し、シェイディンとウォルマーに兵を分散配置せざるを得なかった。


 7月、フェルリアのミーリア派に激震が走る。

 ライトリム公テオバリドの離反が判明したのだ。王都の危機は勿論問題だか、より目前の問題としてライトリム地方からブリアン派の軍勢6千人が東進しており、リカンタ勢と合流した。

 アールバルはシェイディンに再度軍の集結を図った。だがその時、迫るブリアン派軍に呼応してロジャーズ麾下のメール兵5百名が突然アールバルらに襲い掛かった。


 アールバルは劣勢に陥り、後退を強いられた。野戦軍を打ち払ったブリアン派軍はシェイディンを再度包囲した。


 バシレイアやケファロニアでもミーリア派軍は翻弄され、更に南ではシェイディン方面に匹敵する様な事件が起きていた。召集命令を受けた"中央軍(スコラエ)"一千人がテュリオイから北上していたのだが、途上のトリッサが裏切り支配者ネアルコスが軍を率いて襲い掛かったのだ。

 ネアルコスが率いていたのは軽装の投槍兵(ペルタスタイ)8百人で無謀な戦いだと思われたが、それも実際に敵の投槍が放たれる迄の話だった。投槍兵(ペルタスタイ)は特殊な投槍器を用いて遊撃戦法を繰り返した。追い付こうとすれば隊列が崩れ、何とか追い付いたとしても個人戦に向かない"中央軍(スコラエ)"兵はネアルコス麾下の狂暴な兵士に勝てなかった。

 ランバルトはメール式密集戦術の弱点を理解しており、本隊には軽装部隊の援護を付けていたが、簡略部隊である"中央軍(スコラエ)"にはその様な工夫は施していなかった。

 "中央軍(スコラエ)"は数で劣るネアルコスの投槍兵(ペルタスタイ)に一方的な敗北を喫し、テュリオイへと逃げ込む羽目になった。


 テオバリドの離反は明らかな戦況の転機となり、ブリアン派は勢力を広げていった。混沌とした状態がフェルリアを覆い尽くした。

 同じく内乱の渦中にあるメガリス王国が前回の様に攻め込んで来なかったのは全く幸運であった。



挿絵(By みてみん)


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