前世からの想いを継ぎ
……なんか、転生したら邪神の眷属になってました!?に近くなるような気がする作品です。それでも、温かく見守って頂けたらと思います。はい。
ちなみに、ジャンルは自分でもよくわからなかったのでその他にしています。途中決まるかもしれないし、決まらないかもしれませんので、そこは御了承くださいませ。
……一体、何がどうなっているんだ。
俺は如月愁星。どうやらおかしな異世界に転生してしまったらしい。
我ながら虚しい前世だったと思う。二歳の時に親に捨てられ、施設では同年代の子供たちに遠巻きにされ、学校ではのけ者扱い。挙げ句の果てに自殺志願者の道連れで僅か十七年で生涯を閉じた。
病院で息絶える寸前、俺は願った。まだ生きていたいと。そして、それが叶わないというのならせめて来世では普通の人生を歩みたい……と
視界がぼやけていくなか、前者の願いは叶いそうにないなと思うと同時に後者の願いは叶ってほしいと願いながら静かに息を引き取った。
……その結果がこれだ
頬を風が撫でるのを感じて目を覚ますと、そこには一点の曇りもない大空が広がっていた。
驚いて起きあがると同時に自分が横たわっていたこと、そして自分以外に八人いることを知った。
……正確にいうと八人というのは誤りだ。なぜなら、彼らは額からそれぞれ違った角を生やしている鬼……だったのだから。
いや、確かに鬼は鬼なのだが普通の鬼ではない。なぜ知っているのかというと、自分のなかに彼らについての知識があるからだ。
彼ら、というのは少々語弊を生むかもしれない。愁星も彼らと同じ鬼神と呼ばれる存在だったのだから。
━━━━九鬼
それが、愁星を含む彼らの総称だった。人界とも天界とも別の世界に産まれた九柱の鬼神。人界では崇められ、天界では高位の神格をもつ神とされている。
それぞれ違った魅力の美貌と、高い矜持をもつ鬼の姿をした神。それが、九鬼と呼ばれる鬼神だ。
九鬼が産まれたこの異界には、九鬼しかいなかった。延々と続く野原、雲のひとつもない青空。こんな広い世界にたった九柱の同胞しかいないなど、ひとの感覚であれば淋しさを感じていただろう。しかし、愁星は不思議となんとも思わなかった。
愁星は、同胞たる九鬼の顔をゆっくりと見回して頭のなかに入っている名前と照らし合わせていた。
━━━愁星の九鬼に関する脳内メモ
琅鬼……男神
腰まである長髪を首の後ろで一括りに束ねた、白髪金眼の穏やかで優しげな風貌の持ち主。額の真ん中から一本の短い角が生えており、外見の年齢は三十前後
大地を司る九鬼で、一人称は『わたし』
九鬼を統べる鬼神で、五番目に強い力をもつ
叡鬼……男神
漆黒の短髪と瑠璃色の瞳をした、無表情でしっとりとした風貌の美青年。額から二本の長い角が生えており、外見の年齢は二十二くらい
闇を司る九鬼で、一人称は『我』
九鬼のなかで三番目に強い
斂鬼……男神
緋色の短髪と紅色の瞳をもつ、精悍で野性味を帯びた風貌の美青年。額から三本の角が生えており、両端の角が長く真ん中の角が短い。外見の年齢は二十五くらい
炎を司る九鬼で、一人称は『おれ』
九鬼最強の力をもつ
穂鬼……女神
蒼色の長髪と紫色の瞳をもつ、優しげな美貌と儚い風貌の持ち主。額から二本の短い角が生えており、外見の年齢は二十一くらい。
水を司る九鬼で、一人称は『わたくし』
九鬼のなかで最も力が弱い
燵鬼……女神
栗色の髪を耳の下でふたつにゆっており、翠色の瞳をもっている。表情豊かであどけない顔立ちをしており、こめかみの近くから左右一本ずつ生えている角は短い。外見の年齢は十六くらい
植物を司る九鬼で、一人称は『あたし』
九鬼のなかでも八番目に強い
淤鬼……男神
藍色の髪をサイドポニーにしており、密色の瞳をもっている。クセのある美貌の持ち主で、額から四本の角が生えている。角は両端の角が短く、真ん中の二本が長い。外見の年齢は十九くらい
風を司る九鬼で、一人称は『僕』
九鬼のなかで七番目に強い
霰鬼……男神
青紫の髪を頭のてっぺんで結わえて右肩に流している。瞳の色は藍色で、生真面目な性格だからか、いつも不機嫌そうな面持ちをしている。こめかみの近くから左右一本ずつ生えており、角の長さは長い。外見の年齢は二十くらい
光を司る九鬼で、一人称は『こなた』
九鬼のなかでも四番目に強い
稜鬼……女神
みかん色の髪を上の方でふたつに結んでいる。碧空色の瞳をもち、静かで大人びた顔立ちをしている。額から三本の角が生えており、両端の角が短く真ん中の角が長い。
外見の年齢は十七くらい
氷を司る九鬼で、一人称は『妾』
九鬼のなかでも六番目に強い
……ちなみに、俺は月鬼。桔梗色の長髪をハーフアップに結わえている。銀色の瞳をもっていて、額から四本の角が生えている。両端の角が長く真ん中の二本が短い。外見の年齢は十八くらい。雷を司り、九鬼のなかでも二番目に強い……らしい。
元から頭のなかに入っていた知識をそのまま言ってはみたが、あり得ないにもほどがあるだろ。一般高校生が転生したらカミサマになりました。しかも、同胞のなかでも2番目に強いです……なんて
ひとり悶々としていると、同胞のひとりが、いや、ひと柱が……面倒くさい。以下ひとりが俺のところへやってきた。
(確か……琅鬼、だったな)
それは九鬼を統べる鬼神、琅鬼だった。琅鬼は、愁星もとい月鬼に近づいて来たかと思うと、不意に手を差しのべてきた。
「そんなところに座ってないで、みなのところへ来ないかい?一応、自己紹介をしようと思っているのだが」
ふれあうことで分かることがあると思うからと、穏やかに微笑みながら月鬼の手を取って立ち上がらせた。そして、同胞たちのもとへ連れだって歩いていった。
ありがとうございました。
誤字脱字等があれば、ご指摘のほど宜しくお願い致しますm(__)m