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Artificial Magi  作者: 津賀
第1章 目覚め
9/34

現代2

誤字脱字等ありましたら指摘していただけると喜びます。


7/29 改稿しました。

朝、僕は興奮や緊張からか早く目が覚めてしまった。

起き上がってテントから出ると先客がいた。

「あれ?カイルさん?」

「おや、カムイ。起きるの早いね」

「カイルさんこそ早いじゃないですか」

「いや、僕は見張りで3時間くらい前から起きてるよ」

「見張り、ですか」

「そうそう、今ここはマナが薄いから魔獣が少ないんだけど、出てこないというわけでもないんだ」

「なるほど・・・」

(そうか、普通に魔獣が出てくるのか・・・)


迷惑かな?と思いつつ、昨日から気になっていることをカイルさんに尋ねる。

「あの、カイルさん」

「なに?」

「このへんってなにもないですよね?300年経って風化するのは分かるんですけれど、この辺には建物の残骸が少なすぎませんか?研究所の周りには割とそのままの形で建物が残っていたのに・・・」

「あー、それはね。この地域はマナが濃くてね、魔獣が生み出されやすい所なんだ。で、街が棄てられてちょっと経ってから、そこから出てきた魔獣を倒そうと人間が攻め込んだんだけど結局攻めきれずに退却しちゃったんだ。だから研究所の周りには建物がまだ残ってて、戦いの場になってたこの辺くらいまでは建物が殆ど無いんだよ」

「そうなんですか」

「まぁ、酒場のおじさんに聞いた話だけどね」

一気に胡散臭さが増したぞ、オイ!


カイルさんと喋ってると他の皆さんも起きてきた。イヨがちょっと寝坊して、あわててテントから出てきた。

「お、おはようございましゅ」

あ、噛んだ。


全員揃ったところでご飯を食べ、出発準備を整えた。

「今日は車で移動する。日が落ちたらキャンプを張る。明日には街に着くはずだ」

明日にはとうとう街が見れるのか!

「帰りもカイル、運転するか?」

「するする!」


全員車に乗り込んだことを確認し、サトシさんが出発の号令をかける。

「よし、じゃあ出発だ」

3列のSUVで僕はイヨと2列目に座っている。ちなみにサトシさんは助手席、アニータさんは3列目だ。


------------------------------------------------


割と揺れる車内で僕はイヨにまたもや色々と教えてもらっていた。


「そういえば、これから行く街の名前ってなんていうの?」

「都市国家ムサシのトウキョウっていう街だよ」

「・・・ムサシ?都市国家?もしかして統治の仕組みが変わったのか?」

どうやら僕がいた時代とは大分変わってそうだ。


「昔の政治はあんまりわからないから、今どんな感じかっていう説明でいい?」

「頼む」

「今は世界中に都市国家っていうのが点在してるんだよ。それぞれの都市国家が独自に法律とかを決めてるんだけど、どの都市国家の法律も大体似たような感じかなぁ?で、都市国家の中にはいくつかの街があって、これから行くトウキョウはムサシの首都みたいな感じだよ」

ちっさい国みたいのものか。統治の面積を狭くして脅威に対処しやすいようになったのか。

地方自治の行き着く先な感じがするな。


「都市国家ってのはどれくらいの規模なんだ?」

「多いところで人口20万人くらいだよー。広さは1日かけたら車で端っこから端っこまでいけるくらいかな?」

「なるほど・・・」

どうやら幾つかの県を合わせたくらいの規模のようだ。

人口が減ったからそっちのほうが効率がいいってことになったのかな。


「あ、それと都市国家の情報をまとめてる組織もあるんだよ。正式名称は忘れちゃった」

「都市国家間情報統合組織だ。俺達は単に組織と呼んでる」

前からサトシさんの援護が入る。

「そうそうそれですっ」

「どんな事をやってるんだ?」

「魔獣の襲撃があって戦力が必要な都市国家に冒険者を送ったり、他の都市国家で起こった出来事とかを他の都市国家にも教えてあげたりしてるよ」

「ふむふむ」

この時代だと特に魔獣襲撃の知らせが遅れたらシャレにならないだろうしなぁ。

「ちなみに、組織の日本支部が昔日本だったところの情報を管理してるぞ」

サトシさんが補足してくれる。


そういえば聞きそびれてたけど、イヨって学生だったんだよな。

今の学校ってどんな感じなんだろ。

「なぁ、イヨって学生だって言ってたよな」

「うん、そうだけど?」

「トウキョウの学校に通ってるのか?」

「そうだよー。つい1ヶ月前くらいに転校してきたんだけどねっ」

「今の学校ではどんなことを教えてくれるんだ?」

「教科はえーと・・・多分どこでも数学、物理、化学、歴史、魔法学、言語、体育かな?あとは選択で剣術・体術か実戦魔術だね。転校するまえの学校でもだいだい同じだったよっ」

うん?教科自体は世界の状況が僕の頃からは一変してるのに魔法学と選択の剣術・体術、実戦魔術以外は変わらないんだな。

「言語ってなにを教えてくれるんだ?」

「共通言語だねっ」

「共通言語?」

「うん。どこへ行っても通じる言語だよ。って今も喋ってるよ?」

「そうだったのか・・・」

全く意識してなかったな。


「え?どういうこと?」

「僕は【翻訳】を自分に掛けてるから言葉がわかるんだ。日本語しか喋れないし」

「日本語はもう使われてないしねー・・・って【翻訳】!?」

「うん?そうだけど?」

「そんな魔術聞いたこと無いよ」

「そうなのか?まぁ、僕が動けない時に作った魔術だし、今の世界だと必要ないんじゃない?」

「それもそうだね」

言語は統一されたのかぁ。世界中どこに行っても言葉が通じるのは便利だな。

「それにしても、実戦と言語以外の教科は僕の居た時代とあんまり変わらないんだなぁ」

「中身もあんまりかわってなかったりしてね」

さすがにそれはないと思うんだけど・・・

「それは確かめてみたいかも、街に着いたら教科書見せてもらってもいい?」

「うん、いいよっ」


でも、科学は進んでないような気がするんだよなぁ。代わりに魔法学がすごい進歩してそうだ。

「そろそろ昼飯食うぞ、カムイにはこれをやる」

僕はサトシさんにもらった保存食をかじりながらやっぱ色々違うなぁと考えていた。


----------------------------------------------------------


昼食を車内で済ませて、ちょっとのんびりしていたら

「そうだ、カムイ」

後ろのアニータさんから声をかけられたため、アニータさんの方を振り返りながら答える。

「なんでしょうか?」

「アンタ、丸腰だったね。このナイフを貸しとくから、もし魔獣が出たらそれを振り回してアタシらが助けるまで逃げとくれ」

「ありがとうございます!」

アニータさんの心遣いが嬉しい。

受け取ったナイフは刃渡り20cmくらいで、表面に何か刻まれていた。


「あの、この刻んであるのって銘か何かですか?」

「それはルーンだよ。魔力を通すとナイフに炎をまとわせることができる」

「あの、これっていいものでは」

よくわからないけど、職人が一手間加えてるんだったらなんとなく高そうな気がしてつい聞いてしまった。

「ナイフ自体は安物だし、ルーンは知り合いが実験で付けたものだからそんなに高いもんじゃないよ。気にしないでおくれ」

「すいません、ありがたく使わせて頂きます」

生まれてはじめて持ったナイフは、周りの明かりを反射して鈍い銀色の光を放っていた。


ナイフを受け取るときに値段を意識したからか、お金も変わっているのでは?という疑問が浮かんだ。

ということで早速イヨ先生に質問する。

「イヨ先生」

「なになに?」

「今のお金の単位って、何?」

「お金の単位はM(えむ)だよ」

うん、単位だけ聞いても物価が全くわからん。

「ごめん、物価についても教えてもらっていい?例えばそうだな・・・昨日食べたスープに入ってた玉ねぎと卵ってそれぞれいくら位?」

「質にもよるんだけど、玉ねぎはだいたい3玉で100M~200Mで、人参は1本30M~40Mくらいが相場かなぁ」

なんと!これはほとんど日本円と変わらないじゃないか!


「どうしたの?そんなにびっくりした顔して」

「い、いや、僕の時代の日本の物価とほとんど同じで驚いてる」

「そうなの?それだったらお金のことは大丈夫そうだねっ」

「あぁ、単位をMにするだけでいいからな」

この偶然には素直に感謝しておこう。


「ここらへんで一回休憩するぞ。」

お金の単位で安心していた所でサトシさんがそう提案し、しばし休憩することになった。


-------------------------------------------------


休憩中、僕はイヨに【身体強化】のやり方について聞いていた。

「【身体強化】は使うだけなら簡単な魔術だよっ。自分の持ってるオドを活性化して全身に行き渡らせるイメージで発動するだけなの」

「そんなもんなのか?」

「うん。細かくオドを使う量を調節して発動したり、【部分強化】をするのはそれなり難しいけどねっ」

んー、思ったより簡単そうだ。オドの使用量を調整するのは【探索】のおかげでかなり細かくできるようになったしな。


「じゃあちょっとやってみるよ・・・【身体強化】」

全身にオドを行き渡らせ、そのオドによって全身の筋肉を強化するようにイメージをして、【身体強化】を発動する。

魔術を発動した瞬間、全身に溢れんばかりの力が満ちるのを感じた。

僕は魔術の効果を確認するためにまっすぐ駆け出す。すると、一瞬で信じられないスピードに到達した


(うおおおおおお!超速えええええ!しかも全く疲れを感じないぞおおおおお!)

ついテンションが上がって周囲を走り回ってしまった。

我に返って皆のところに戻ってくると、なぜか皆驚いたような顔をしていた。

「どうかしたんです?」

「今のって、足の【部分強化】?」

「いや、全身を強化したはずだよ」

どういうことなんだろ?

「つまり、普通の【身体強化】であの速さだって?獣人の【部分強化】を遙かに上回ってるぞ」

僕とイヨの話を聞いていたサトシさんが真剣な顔をして話しかけてくる。

イヨがこそっと、【部分強化】は体の一部に魔力を集中して行う【身体強化】だと教えてくれた。


「獣人は魔力は少ないが、身体能力が高い。【身体強化】をしたヒューマンと生身の身体能力が同じくらいだ。で、お前が【身体強化】した後の身体能力は【部分強化】した獣人の身体能力を超えてる。お前、一体何者だ?」

「何者といわれましても・・・。ヒューマンのはずですが・・・」

「ちょうどいい、今ここで聞いておこう。」

「なんでしょうか」

「お前、研究施設周辺のマナが突然消えたことについてなにか心当たりがあるか?」

(マナが突然消えた・・・?そういえば最初に【サーチ:ボディ】を使った時に身体の最適化に環境の魔力を使うってあったな。もしかして、あれか?)


「多分、僕が動けるようになる時に大量のマナを使ったからだと思います」

「どういうことだ?」

「僕が目覚めても体はしばらく動きませんでした。僕の細胞は全部魔化細胞らしく、その魔化細胞がちゃんと機能する状態じゃなかったみたいで・・・。そこで体を動かせるようになるために、マナを大量に使ったっぽいんです」

「全身が魔化細胞だって!?」

アニータさんが驚いている。

やっぱり全身魔化細胞ってのはおかしいことだったのね。

「はい。その通りです」

「そいつはまた・・・あの時、部屋に入る時に感じた魔力は集められたマナだったってことか・・・」

「全身が魔化細胞ってことは魔力量も凄まじそうだね」

「今は測定する機材がないけど、たぶんアニータの数百倍はあると思うよ」

カイルさんからびっくりなセリフが飛び出した。

「え、僕そんなに魔力あるんですか?」

「アニータは自分の細胞のうち0.8%が魔化細胞なんだ。んで、魔化細胞を多く持ってるほうが一般的に魔力量も多くなる。そのへんからの推測さ」

カイルさんが説明してくれる。


しばらく何かを考えていたサトシさんだったが、どうやら何かを決めたようだ。

「研究施設の地下にはお前以外証拠になりそうなものはなかったからな。確認のつもりだったんだが、まさかだな。街についたら一緒に冒険者ギルドに来てもらうぞ」

「えっ?」

「まぁ、そう心配することはない。俺たちが言われたのはあくまでマナがなんで消えたか調べてこいってことだけだったからな。罪になるとかは無いだろう」

「そういうことでしたら」

つまり、一応証拠として僕を見せるってことね。


「よし、休憩はここまでだ。そろそろ出発するぞ。」

そうして僕たちはトウキョウへ向かって更に歩みを進める。


カムイくんのチートっぷりが一部公開されました。

冒険者ギルドについたら詳細な魔力量がわかります。


次話で冒険者の戦闘を書くつもりです。

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