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Artificial Magi  作者: 津賀
第1章 目覚め
8/34

現代1

誤字脱字等ありましたら指摘していただけると喜びます。

用語解説その1です。チュートリアル的なものです。


7/29 改稿しました。

車に戻るまでの道中では、サトシさん・カイルさん・アニータさんが周囲を警戒してくれていた。

僕はといえば、色々気になることがあったため、イヨさんに質問しまくっていた。


「ごめん、失礼なこと聞くけど、イヨさんって何歳くらい?」

「いえいえ、ぜんぜん大丈夫ですよっ。17歳です」

「おお、事故に遭う前の僕と同い年だ!これからはお互いに敬語は使わないことにしない?」

「オッケーだよっ。・・・って事故?」

「うん。ちょっと携帯電話の方に気を取られていたら突っ込んできた車にはねられちゃってね」

「・・・うわぁ、それは」

「で、起きたら300年も経ってて混乱してる」

「その割には落ち着いてるね?」

「うーん・・・自分でもびっくりしてる、もっと取り乱してもおかしくないと思うんだけど・・・」

確かに、今の僕は混乱しながらもなぜか冷静に今の状況を理解しようとしてる。

体が動かない時に色々と考えて精神的に構えることができたからかな?


「おーい、そろそろ着くぞ」

「あ、はい」

とはいっても、このへんに何かあるのか?

辺りを見てもちょっとした岩しかないし・・・


「ここだね」

ここだって?なにもないと思うんだけど・・・

「え?ここに車があるんですか?」

「うん、【隠蔽】を使って隠してるんだよっ」

「魔術、ですか」

「見たほうがはやいな。アニータ、【隠蔽】を解いてくれ」

「はいよ、【解除】」

アニータさんが【解除】を行ったら、目の前に突然黒い車が現れた!

「驚きました・・・」

「これ、びっくりするよねっ。わたしも【隠蔽】をかけた時に目の前から一瞬で消えたように錯覚したもん」

こんな魔術もあるんだなぁ・・・。

「さぁ、驚くのはここまでにしとけ。今日はもう時間も遅いからここでキャンプをするぞ」


そう言ってサトシさん達はいそいそとキャンプの準備を始めた。

「カイル、車からコンロと食材を持ってきてくれ。アニータ、メシの準備を頼む。俺は周囲の状況を確認してくる。イヨとカムイ、みんなの邪魔はするなよ?」

「じゃちょっと車いってきますか」

「今日のメニューは何にしようかねぇ」

「「は~い」」


そうするとちょっと暇だな。そうだ、イヨにわからないことを聞こう!

「イヨ先生!」

「えっ?な、なに?」

「ずっと気になってたんですがっ!サトシさんやカイルさんの耳や尻尾ってどうなってるんですか!」

「あ・・・そういえばカムイくんは300年前の人だっけ。サトシさんとカイルさんは獣人って呼ばれてる人たちだよ」

「獣人?」

「うん」

イヨによると、200年くらい前、街が魔獣に壊されて山に逃げ延びた人たちの中に魔素の影響で獣のような身体能力を発揮できる人が現れたそうで、この人達が獣人の始まりとのこと。

ちなみに、アニータさんみたいな人はエルフと呼ばれる人達だそうだ。エルフは魔素の影響を受けて魔力を多く取り込めるようになった人とのこと。ファンタジーでよく見る感じで、耳が尖ってるのも特徴らしい。なお、不老ではないとのこと。

そんでもって、イヨみたいな普通の人はヒューマンと呼ばれているとのこと。全てにおいて平均的な能力らしい。


「獣人にエルフか・・・。ファンタジーだな」

「ファンタジーじゃないよ。あと、サトシさんは熊の獣人でカイルさんは虎の獣人だねっ」

「それと、魔獣って何?」

「それには俺が答えよう」

そう言いながらサトシさんは周囲の哨戒から帰ってきた。改めて見るとデカイ・・・


「魔獣ってのは魔力をもつ凶暴な獣のことだな。こいつらも魔素の影響を受けて暴れまわってるって話だ。さらに魔獣の強さはその魔獣が持つ魔力の大きさで決まる。それと魔獣と区別されるんだが、ある水準以上の魔力を持つ奴のことを幻獣って呼ばれてる」

「幻獣?」

「あぁ、こいつは理性を持ってて人間に好意的なのも居るんだが、ひたすら暴れる幻獣が目撃されたこともある。それに神出鬼没だ。出会ったら逃げるしか無いな。強すぎる」

「そんな奴まで居るんですか・・・」

「幻獣には出会わないように祈っとけ。あと、魔獣の厄介なところはちょっとでも魔力を込めて攻撃をしないとダメージが薄いってことだな」

「どういうことです?」

「魔獣にただの鉄の塊をぶつけても怯むくらいだが、魔石を砕いて混ぜた鉄の塊をぶつけたら魔獣を倒すことができるってことだ。この特性を見つけるまでに人類はかなり減っちまった」

「今、世界人口ってどれくらいなんです?」

「10億人だよ」

と、今まで聞きに徹していたイヨが教えてくれる。


「なっ・・・!?そこまで減ってるのか!?」

「カムイくんの時代は何人だったの?」

「85億人だ」

「多っ」

「つまり300年間で8分の1になっちまったわけか・・・」


そういえば、僕がいた時代には魔獣なんていなかった。いつ頃出始めたんだろう?

「魔獣って、いつ頃から居るんですか?」

「最初に魔獣が確認されたのは2035年あたりだな。その時にお前が居た研究施設を含めて魔獣に襲撃されたそうだ。んで、2050年には世界各地で大規模な魔物の討伐作戦が行われている」

え?僕の住んでいた街で最初に魔獣が見つかったって?

「その頃にはまだ人類は魔獣に効く攻撃方法を見つけて間もない頃だったから、ちゃんとした武器も少なかったんだって」

「そうなのか・・・。で、イヨはなんで伝聞形が多いんだ?」

「最近、教科書で読んだんだよ!」

「イヨは学生なのか?」

「うんっ」

「さぁ、メシができたよ!冷めないうちに食いな!」

「とりあえず飯を食うか」

「「はーい」」




夕食のメニューはパンとスープだった。

「アニータさん、これってどんな料理なんですか?」

「これは、塩漬けの肉とキノコからダシをとって玉ねぎとかの野菜を煮込んで最後に卵を加えたスープだよ。アタイは単にスープって呼んでるけどね」

「ほうほう」

「早く食べようよー」

「カイルはちょっと黙っとけ。よし、全員に行き渡ったな。じゃあ、いただきます」

「いただきます」


スープを数口飲んだところで思わず声を出してしまった。

「おお、このスープ美味い!」

「気に入ってくれて嬉しいよ。さぁ、どんどん食べてくれ」

塩漬けの肉から塩が溶け出してスープ全体に薄く塩味が付いている。その塩加減が絶妙で野菜の甘味を引き立てている。さらに卵が全体的に薄くなりがちな味にコクをプラス!


しかし、結構量が多かったためスープとパンを食べたあたりでお腹がいっぱいになってしまった。満足して正面を見ると

「もぐもぐもぐ・・・さすがアニータさん、今日のごはんも美味しいです・・・もぐもぐ。あ、スープのおかわりください」

なんかイヨがすごい勢いで食べていた。あれ見てたら胸焼けしそうだ・・・。


ご飯を食べ終わると、僕は気になっていることをサトシさん達に尋ねた。

「2つほど質問してもいいですか?」

「何でも聞きな。答えられることなら答えるよ」

「まず1つ目ですが、冒険者ってどんなものなのですか?」

「冒険者は都市やそこの住人の依頼を受けて魔獣を討伐したり、雑用をやったりする人達のことだ。通常は冒険者ギルドに入っている奴らのことを言うけどな」

「冒険者ギルド?」

「あぁ、冒険者たちの組合みたいなもんで依頼の斡旋とか素材の買取、冒険者のランク付けとかをしているんだよ」

「ランクとかについても聞く?」

「お願いします」

「冒険者にはE, D, C, B, A, Sという6つのランクがあってね、Cまでは各ランクで魔獣討伐依頼を含む、10個の依頼を達成したら次のランクに上がるよ」

「Cランク以降はどうやれば上がるんですか?」

「Cランクの人やパーティーが倒せない魔獣討伐依頼とギルドからの依頼を達成したら上がるよ」

「なるほど・・・。みなさんはどのランクなんですか?」

「俺たちは個人ではBランク、パーティーではAランクだ」

え、それってかなり高ランクじゃ・・・?


「すごいですね・・・」

「まぁ、俺達のことは置いといてだ、なにか質問はあるか?」

「素材って何を買い取ってくれるんですか?」

「主に魔獣の爪、角、薬草、鉱石だな」

「ふむふむ」

「他にも何かあるか?」

「いえ、無いです。続いてなんですけど、今の魔術について教えてもらってもいいですか」


僕がいた時代からどこまで魔術は変わったんだろ。

「わたしが説明しましょうっ」

「じゃあ、俺たちは明日からの行動についてのミーティングしてくる」

「「はい」」


「じゃあまず、基礎からの確認からするよー。マナとオドは知ってる?」

「いや、ゴメン。知らない」

いきなり知らない単語が出てきたぞ・・・


「マナは、その辺に漂ってる魔力の事で、オドっていうのは自分自身が体内に持ってる魔力の事だよ」

なんというアバウトさ。

「ざっくりしてるな・・・。オドは使えるからわかるけど、マナってのは何かに使えるのか?」

「マナが多いところでは放出するタイプの魔術の作用が強くなったりするよ。例えば火の魔術で爆発を起こそうとしたらマナが多い所ではすっごく強い爆発が起こせるよっ」

なるほど、空気中に漂うガソリンみたいなもんか


「マナとオドについてはだいたいイメージが出来た」

「よーしよしよし。どんどんいくよー、想起魔術と刻印魔術って聞いたことある?」

「知らないなぁ」

「想起魔術は、一般的な魔術だね。魔術の名前を言ってイメージを固めて発動させるから想起って名前がつけられたんだよ」

ふむふむ、いつも自分が使ってたのは想起魔術ということか。

「刻印魔術は紙とかに魔力を込めながら文字や図形を書くことで魔術を封じたものだねっ。魔力を通すだけで発動できるから便利便利」

「刻印魔術って、何を書いたらいいのかってあるの?」

「ごめん、わたしはルーンが力を持つって事以外知らないんだ・・・。街には売ってるんだけどね」

「そうかぁ、使える人は多くないの?」

「職人さんとかじゃない一般人だと、多くはないと思うよー?」

誰か知ってる人を見つけたら教えてもらおう。


「魔術の種類についてはここまでっ。次っ、魔術の属性については知ってる?」

「あぁ、それならわかる。火、水、風、雷、土だろ?」

「うーん、ちょっと少ないね。今は無、火、水、風、雷、土、光、闇があるんだよ」

なんと、3属性も増えてるのか・・・


「でも、使われてるのが多いのは無属性の【身体強化】とか光属性の【シャイン】かなぁ」

「どういう効果なんだ?」

「【身体強化】は名前の通り体の機能を底上げする魔術で、【シャイン】はあたりを明るく照らす魔術だよ」

「【身体強化】は欲しいなぁ・・・また教えてくれ」

風のように走ってみたいからねッ!


「うんっ。じゃあ次だねっ、固有魔術については知ってる?」

「【解析】とかのこと?」

「そうそう、そんなの。その人の特殊能力みたいなもので、使えない人はどうがんばっても使えるようにならない魔術ね。同じ能力が別の人に出ることもあるんだけど・・・」

「僕の【硬化】も固有魔術なのかな?」

「【硬化】・・・?どんな魔術なの?」

「全身だったり体の一部をものすごく硬くすることができるんだ」

「うーん・・・そんな魔術聞いたこと無いし、きっと固有魔術だと思うよ」

怪しい反応だけど、多分固有魔術ということでいいだろう。普通の魔術を使う時とは感覚が違う感じがするし。


「魔術についてはこんな感じかなぁ」

「おーい、夜も遅いからそろそろ寝るぞ!カムイも気になることがあったらまた明日聞いてくれ!」

魔術についての講義が終わったら、タイミングを見計らったかのようにサトシさんから声がかかった。

「じゃあ、寝ますか」

「そうだねっ」

「「おやすみー」」


(色々なことがあったけど、今日はひとまず休もう・・・)

こうして僕の意識は睡魔に襲われ、沈んでいった。


次話までチュートリアルは続きます。

まさか1話で収まらないとは・・・


イヨさんの口調を安定させたい

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