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Artificial Magi  作者: 津賀
第1章 目覚め
5/34

浮上

誤字脱字等ありましたら指摘していただけると喜びます。

5/15 タイトルを変更しました。


7/26 改稿しました。

『意識』と『最適化』を1つに話にまとめて、タイトルを『浮上』と改めました。

ぼんやりと、寝不足の朝のような感覚を覚えながら僕の意識は覚醒した。

(僕は、どうなったんだ)

今自分がどうなっているのかが全くわからなかった。

(生きてるの、か?)

(だめだ、眠すぎて、意識を保て、な、い)


彼の脳にある魔化細胞はまだ最適化が終わっていない。

そのため、意識が覚醒したとしても短時間しか起きていることができないという状態だった。


---------------------------------------------------------------------


そうして眠気と戦うこと数日、彼は数時間程度なら起きていられるまでになった。


(今日はどれくらい起きていられるかな)

(でもまだ目も開けれないんだよなぁ・・・)


あくまで脳しかまだ最適化が進んでいないため、体を動かせるようになるのはもう少し先のことだ。


(まぁ、なぜか溢れるような魔力を感じるし、しばらくは新しい魔術でも考えながら暇をつぶそうかな)

起きてはいるものの体も動かすことができないため、非常に暇だったのだ。

そこでカムイは時間を潰すためにあふれる魔力を利用して便利そうな魔術を開発している。


(そうだ、探索魔術とか作れば外の様子がわかるかも!)

そうとなれば善は急げだ。早速、探索魔術の開発にとりかかるとしよう。


(うーん、ここの魔力操作をもっと細かくしないと・・・)

そうして彼は

(うおっ、これじゃただの攻撃魔術だ!)

様々な困難を乗り越えて

(あと一歩、何かが足りないッ!)

ついに

(できたーーー!)

周辺を探る魔術【探索】を作り上げた。


これで外の様子がわかるぞっ。

テストも兼ねてまずは最高解像度でその辺を調べてみることにしよう。

(う~ん?真っ暗だな・・・)

(こんな事もあろうかとっ、暗視モードだっ)

(お、予想以上にくっきり見えるな)

(何やらよくわからない機械がたくさんあるな)

【探索】の範囲を広げて、外を調べてみるとしよう。

しかし、なんでこんな所にいるのか本格的にわからなくなってきたぞ。


ちょっと範囲を広げただけで、空間はなくなり、代わりに大量の土を検出した。

(え?土?ここって地下なのか?)

ここが地下だとしたら地上の様子も知りたいな。

とりあえず球形に【探索】を展開して、地表を見つけれたらそこを重点的に調べよう。

(う~ん、ここは結構深いところにあるみたいだな)

色々頑張って調べようと思ったところで猛烈な眠気が襲ってきた。

(もうちょっと調べたいけど、眠くなってきたからここまでにしとくか・・・)


なお、カムイはまだ魔化細胞の最適化が終わっていないため、自分の意志で使うことのできる魔力は身体の持つ本来の魔力量に比べると多くない。

とはいえ、今の段階でも普通の人よりもはるかに多くの魔力を使うことができるのだが。


(さ~て、今日も【探索】で遊ぼう)

昨日、球形に展開してちょっと調べたところで眠気が来ちゃったから、今日ははじめに天井を確認して、そっちに向かって糸みたいに細く魔術を展開してみよう。

そうしたらきっと外にたどり着けるはずだ。

【探索】を発動して天井の位置を確認する。

しばらく魔力の糸を伸ばし続けるが、一向に外に出る様子がない。

(おーおー、本当に深いんだなぁ)

などと思っていると、魔力糸が光を捉えた。

(やった、外に出たっぽいぞ!)

(明るい、と言うことは今は昼間か)

(よし、周辺を探ってみよう)


【探索】を展開し、周囲の状況を調べ始めたところで、僕は頭を抱えたくなった。

(なんだよ、これ)

(何があったらこんなことになるんだよ・・・)


そこには崩れて風化した建物、周囲に生い茂る木や草花しかなく、人が住んでいる様子はなかった。

そして何より、崩れてしまった建物たちに見覚えがありすぎる。

道路標識、信号、そして住所がまだ記されている電柱。

それは、彼が生まれてから17年の時を過ごした小さな街を成していた建物たちだった。


しばらく、カムイは地上の様子を探ることに力を注ぐことにした。


---------------------------------------------------------------------


意識が覚醒した直後のまどろみの感覚を楽しんでいると、だんだんと目が覚めてきた。

さて、今日も1日がんばりますか。

いつもの様に僕は【探索】を展開して周囲の様子を探る。


今日も含めてあれから10日間、地上の様子をひたすら【探索】で調べていて、色々わかったことがある。

まず、今いる場所は地下だということ。そして出口はどこにあるのかはまだわからないということ。

次に、地上の様子がガラリとかわってしまっていた、ということ。少なくとも周辺1kmには人が済んでる気配はない。もっと言えば、人そのものを見つけれなかった。

そして、相当な年月が経過しているのではないかということ。これは建物の風化の度合いからなんとなく思ったことだ。

あとはやたら凶暴な感じの獣がちょくちょくいたな。

このへんの話をまとめると、今のままだと何もわからないということだけがわかった。

本格的な調査は動けるようになったら自分で歩きまわるしかないかなぁ。


この10日間で探索魔術の使い方がすごくうまくなった気がする。

そういえば、相当な年月がたってる可能性があるんだったら、もし人が居た場合、言葉も変わってる可能性があるな。

(ということで、翻訳魔術を作ろう!)

~~~中略~~~

(できたっ!多分!)

体が動かないから発声もできないし、自分に掛けるだけ掛けて放置かな。


そういえば、自分の体が動かない理由とかって、【探索】の応用でわからないかな?【探索】のあの辺とイメージをちょっと変えて・・・。


(【サーチ:ボディ】、対象:上城カムイ)

魔術を発動すると脳裏に文字が浮かんできた


『名前:上城カムイ

 年齢:17


 全身に異常確認。下記の事項を確認してください。

 身体:10%の人工魔化細胞の最適化が完了。魔力が足りません。

  脳:99%の人工魔化細胞の最適化が完了。残り5時間で完了します。

 脳の最適化が終了次第、身体の最適化を脳のサポートと環境の魔力を利用して実行します。

 安全のため全ての最適化が終了しないと体を動かすことは出来ません。』


薄々感じていたことだが、やはり僕の今の体は前の体とは違うものらしい。

この数日間、色々考えている中で僕の今の魔力量はやっぱりおかしいということを感じていた。

人の魔力量が増えるなんて話はあんまり聞いたことがないし、僕はかなりの勢いの車に撥ねられたはず。

体が動かないのはそのせいかなと思ったけど、そうしたら体から感じる莫大な魔力の説明がつかない。

そして、何よりも父さんと母さんが万能タイプの人工魔化細胞を完成させたと嬉しそうに話していたことが決め手となった。僕なりに父さんと母さんが作ったものに興味があったからいろいろ調べてみて、人体まるごと作れそうだなと考えていたところだったのだ。

でもすること無いから考えていたこんな馬鹿げた話がまさかのアタリだったなんて・・・


でもまぁ、この考えが浮かんだ時から僕は僕として生きていこうと考えていた。

はっきり事実を突きつけられるとちょっとショックだけどね。

今日はもう疲れたから、一眠りしよう。起きた時には体が動くといいなぁ。


彼が寝てしばらくした後、カムイの身体では以下のような処理が行われていた。


『脳の最適化、終了。

 続いて身体の最適化を行います。

 環境魔力の濃度が非常に高いため、環境魔力と脳の能力を使って身体の最適化を行います。

 環境魔力取り込み中・・・・・・・・・・・・・・・・・完了

 最適化を実行します。』


この時、周囲に満ちていたはずの環境魔力が消失した。


カムイくん、まだ動けません

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