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Artificial Magi  作者: 津賀
第2章 トウキョウ
19/34

お買い物

誤字脱字等ありましたら連絡していただけると喜びます

6/17 ヤシロとヤマトを混同してました。

翌日はすっきりと目覚めることができた。

ちょっと体を動かしてみるが特に問題はない。

どうやら魔力を使い切った影響は殆ど残っていないようだ。そのことを良かったなぁと思いつつ下の階へ降りる。いつも通り顔を洗ってから居間へ行くとアザミさんがご飯の準備をしていた。ヤマトさんは今日も朝の鍛錬だろうか?

「おはようございます」

「あら、おはよう」

「ヤマトさんは鍛錬ですか?」

「そうなのよ。昨日の防衛戦闘でも遊撃として出てたのに・・・もう若い頃のようには行かないんだからおとなしくしててもらいたいわ」

「あの戦いの中にヤマトさんもいたんですか・・・」

「えぇ、まだBランクくらいの魔獣となら1人でも戦えると喜んでいたわ」

「しかもソロだったんですね・・・」

ヤマトさんは見かけによらずバトルジャンキーなのかな。

そうだ、体術をちょっとヤマトさんに教えてもらおうかな。

「ヤマトさんって庭に居ますか?」

「えぇ、居るはずよ」

「ではちょっとヤマトさんの様子を見てきますね」

「もう少ししたらご飯だから早めに戻って来なさいね」

「はい」

庭に出ると目を閉じたヤマトさんが剣を持って静止していた。

そのままちょっと見ていると目を開けたヤマトさんが剣を振り始める。

上段からの振り下ろし、中段の横薙ぎ、下段からの振り上げそれぞれの動作を踏み込みとともに流れるように連続して行う。しばらくその流れるような動作を眺めていると、最後に一閃、剣を突き出しヤマトさんは大きく息を吐いた。今の動作は一呼吸でやってたのか・・・

「どうした?カムイ」

剣をしまいながらヤマトさんが僕に質問をする。

「邪魔してすいません。折り入って頼みがあります」

「なんだい?」

「実は体術を教えてほしいんです。昨日のオーガとの戦いでもっとうまく動けたら、と思ったもので・・・」

実は剣術を教えてもらいたかったのだが、とりあえず基礎である体術が必要だろうということで体術を教えてくれないかお願いする。

「お前ほどの魔力を持っていながら慢心していないとは感心だよ。僕には体術は基礎しか教えれないけど、それでもいいかい?」

「もちろんです!」

「時間はそうだな・・・僕の鍛錬の時間で君に体術を教えようか」

「え、でもそのお時間をもらうのは・・・」

「僕にとってもちょうどいい基礎の反復だし、全然問題ないよ」

「そうですか・・・。ではお願いします!」

鍛錬は明日からということでひとまずご飯を食べに家の中に入る。


「おはようございます」

「おはよう、ユウナ」

居間に入ったらもうご飯の準備は終わっていたため、席に着く。

「じゃあ、いただきます」

今日のご飯はパン、サラダ、目玉焼き、スープという軽めの洋食だった。

なんでも

「昨日冒険者ギルドで山ほど食べたんでしょう?今朝はちょっと辛いかなとおもって」

ということらしい。実はちょっともたれていたため、アザミさんの心遣いに感謝だ。


パンは今朝近所のパン屋から買ってきたものらしい。朝で焼きたてなのだろう、まだ中が少し暖かく、バターの香りが良い感じだった。

ご飯を食べ終わると、今日は1日ゆっくりしようということでユウナと街へ買い物に出かけようという話になった。僕としては服とか武器を買おうと思っている。今武器はナイフ1本だし、服はヤマトさんの借りてるし・・・

それに今どんな品が売っているか気になるし、できればちまちまとホムンクルスの材料も集めたい。

買い物に行こうと告げた時、ユウナはすごい勢いで賛成してくれた。

自分の準備を整え、玄関でちょっと待っているとユウナが階段から降りてきた。

「すいません、遅くなってしまいました」

ユウナは白いワンピースを着ていた。ユウナは清楚な雰囲気があるため、非常に似合っている。

「いや、ほとんど待ってないよ。うん、そのワンピース似合ってるね」

「ふぇ!?あ、ありがとうございます」

なんか急にユウナが取り乱した。褒められ慣れてないのかも

「で、では出ましょう!」

「そうだね」

「お昼ごはんまでには戻って来なさいねー」

「「はーい」」


------------------------------------


外に出た僕たちはとりあえず冒険者ギルドに行ってお金を下ろす。僕も昨日かなりの収入があったから懐はあったかい感じだ。お金を下ろしたところで、冒険者ギルドから一番近い武具屋に来た。中に入ると意外と広い。

「いらっしゃい」

若干怖い顔のおじさんが出迎えてくれる。

「お兄様、とりあえずナイフの手入れを頼んでから武器を見るというのはどうでしょう?

そういえば手入れのやり方をしないから拭くくらいしかしてなかったっけ・・・

「そうだね、そうしよう」

ユウナの案を採用し、おじさんのところへ歩いて行く。

「すいません、このナイフの手入れをお願いします」

「わかった。ちょっと見せてみな」

おじさんにナイフを渡す。

「これは・・・刻印入りか・・・。しかし刻印はすげぇのに元のナイフがしょぼいな。こんなナイフ使って戦闘してたらすぐに壊れるぞ」

「そうなんですか?」

「市販の安いナイフにどっかのいい腕を持った刻印師が実験かなんかで刻印を入れたんじゃねぇか?」

確かアニータさんは知り合いって言ってたけど、詳しくは知らないな・・・

「すいません、詳しくはわかりません」

「まぁいい。こいつの手入れだな?刻印が入ってるから少し高めの3000Mになるけどいいか?」

「お願いします」

手入れをお願いするとおじさんはカウンター横のスペースで作業をし始めた。


おじさんが作業している間に僕とユウナは武器を見て回る。

「お兄様はどのような武器が欲しいのですか?」

今の武器はナイフ1本、更にはあんまり長く持たないそうだし・・・ダガーよりはちょっと刃渡りの長い剣を買ってそれをメイン武器にしようかな。剣を右手に、ダガーを左手にして2刀流とかもできるかも。

あとは草刈りとか獣の解体用に頑丈なナイフも1本欲しい。

「んー、剣とナイフが欲しいな。ナイフは武器としてじゃなくて採集とかのために使いから頑丈なのを探そうと思ってる。剣は刃渡り40cmくらいかな」

「短めの剣とナイフですね。剣には刻印が入っている方がいいですか?」

「そうだね・・・とりあえず値段見て決めるよ」

「では私はよさそうな剣を探しておきますね」

二人で刃物が陳列されている棚を見る。


「便利用ナイフはこれがよさそうだ」

僕は刃が厚く、刃渡り15cmほどのナイフを選ぶ。便利用とか書かれてたしね

「剣はこれなんてどうでしょうか?」

ユウナが持ってきたのはちょっと高めの剣だった。

「これは?」

「雷のルーンが刻まれた剣ですわ。魔力を与えると電気を帯びるようです」

「1本10万Mか・・・」

ちなみに便利用のナイフは5000Mだった。高いけど、これくらいなら出そうかな

「じゃあそれにしようかな」

買うものを決めたら早速おじさんのところに向かう。


「すいません、この2本ください」

「おう、ちょうどいい所に来たな。ついさっきナイフの手入れが終わったぞ。」

おじさんからナイフを受け取って確認する。すごい、ピカピカになってる

「すごい綺麗になってる・・・」

「だいぶ汚れてたからな。その剣、刻印の発動確認も兼ねて試し切りするか?」

「いいんですか?」

「あぁ、試し切りはこっちだ」

おじさんについて試し切りのできる部屋に入る。いつの間にかユウナも部屋にいる。

とりあえず刻印の発動ができるか確認するため刻印に向かって魔力を注ぐ。

すると、刻印から激しい稲光のようなものが放出される。

「おお」「きれい・・・」

その美しい稲光につい僕とユウナは感嘆の声を上げてしまった

「お前、刻印にどんだけ魔力あげるつもりなんだ・・・?」

おじさんには呆れられてしまった。

「これくらいはいつも普通に入れてるんですが・・・」

「普通は少し光るくらいにしかならないんだけどな。まぁいい、次はいつも魔獣を切るようにあの藁束を切ってみろ」

「はい」

一応いつも通り【魔力付加】を剣にかけてから切ろう。

「【魔力付加】」

「なっ!?」

【魔力付加】を剣にかけると同時に藁束に向かって剣を振り下ろす。

結果、見事藁束を縦に真っ二つに切ることができた。

おじさんが驚いて固まってしまっている。

「あの・・・どうしましたか?」

「お兄様、【魔力付加】は上級魔術ですよ?普段魔獣と戦うときに使う魔術ではないです」

ユウナにたしなめられてしまった。

「一応普段から使ってるから、ついそのノリで」

「おめぇ、もしかして単独でオーガを倒したっていう冒険者か?」

「えぇ、昨日頑張りました」

「なるほどな、道理でいろいろデタラメなわけだ」

おじさんが1人で納得してしまった。

「で、その剣でいいか?」

「はい、この剣をください」

「んじゃナイフの手入れも含めて10万8000Mだが、10万5000Mにしといてやるよ。面白いもんを見せてもらった礼だ」

「ありがとうございます!」

僕はお金を払いユウナとともに外に出る。


武具屋を出た後は近くにあった服屋に入り、自分好みの服とユウナが選んでくれた服を何着かサクッと買う。

そのあと市場を二人で巡る。食べ物や雑貨、それに薬を売っている人達が多いようだ。

ホムンクルスに必要な材料は・・・全部買えそうだ。

ということでホムンクルスを作るために必要な材料を揃える。

色々買っているとユウナに怪訝な顔をされてる。そりゃそうか、アンモニアの瓶とか硝石とか買う人って滅多に居ないだろうしな・・・


一通り買い物を終えた帰り道、案の定ユウナに買ったものの用途を聞かれた。

「お兄様、そろそろ教えて下さい。その材料は一体何に使うんですか?」

「ちょっとホムンクルスを作れないかなと思ってね」

「ホムンクルス、ですか?」

「うーん・・・知性を持ったゴーレムみたいなもんかな?」

「でもゴーレムは全身土や金属ですわ」

「うん、ホムンクルスはヒトみたいな外見なんだ。この材料はヒトの組成と同じだしね」

「ヒトのような姿をしたゴーレム、ですか」

「そんな感じ。イメージは足りないけど魔力を数万つぎ込めば作れるかもしれない」

「ゴーレムではだめだったのですか?」

「ゴーレムは細かいギミックが全く想像できなかったんだ・・・」

「なにはともあれ、またとんでもないことをしようとしているのはわかりましたわ」

「なんかひどい言い草だな・・・」

ユウナには軽くあしらわれてしまった感じだ。

まぁいいや、午後からはホムンクルス作りに当てよう。


-------------------------------------------


ちょうどご飯時に家に帰ってきた僕たちはアザミさんが用意してくれたお昼ごはんを食べる。ご飯を食べ終わると午後からは皆思い思いのことをやり始めた。

ユウナは友達のところへ行くらしく、アザミさんは冒険者ギルドへ昔の仲間に会いに行くと言っていた。ということで僕は午後からは【個人空間】に篭ることにする。

(まずはオーガ戦の反省も兼ねて広域殲滅魔術の改良だ、グングニルはちょっと範囲を狭くして密度を上げるか閃光を太くしないと討ち漏らしが多い)

(まぁ、これはイメージ次第で変更可能にするのが一番いいかな)

(ここにはマナがないから威力の調整は外に出て試し撃ちしないとダメかな?)

などという感じで今までに作った魔術を発動しながら見直していく。


全体的な見直しは終わったが、ちょっと魔力が減ったため【個人空間】の外に出て回復がてらホムンクルス生成の魔術について考える。

(核に魔石を置いて、材料に僕の髪の毛を混ぜよう。僕の髪の毛から魔力を取って魔石から全身に魔力を行き渡らせて身体を維持する感じの構成で作ってみよう)

(母さんのレポートによると人工魔素細胞には形状の記憶能力があるはずだから僕の体の一部を与えることで人型を取らせることに関しては楽にできる、はず)

(性別はどうしよう・・・まぁ、ここはあえてイメージせずに作ってみよう)

(後は主従契約が必要だな。常識レベルの知識継承もする必要があるな)

しばらくホムンクルスについて考え事をしていたらどうやら夜になっていたらしい、ドアの外からご飯を告げるユウナの声が聞こえる。

「お兄様、ごはんですよ」

「わかった、今行く」

部屋の外に出、ユウナと共に居間へ向かう。


ご飯を食べて風呂に入り、部屋へと帰ってくる。

(寝る前に一度ホムンクルス生成の魔術を試してみよう)

そう思い、【個人空間】に入って材料を置く。

(最後に髪の毛を切って、と)

ちょうど伸びて来ていたため、ぼさっとしている部分を切って材料に混ぜる。

(後は魔力を開放してホムンクルス生成の魔術を使うだけか)

緊張してきた僕は深呼吸を何度か繰り返す。

(よし、やろう)

自分の持つ魔力のうち5万ほどを解放する。最近魔術を使う中で自分の残り魔力が何となく分かるようになっていた。オーガ戦の時は自分の体の維持に魔力が必要ってのを知らなかったため魔力を使い切る気持ちで戦ってたんだよなぁ。

「新たな生命よ・・・【ホムンクルス生成】!」

魔術を発動すると材料が光り始めた。

しばらくその様子を見つめていると、光が小さめの人型になってきた。

さらにもうちょっと見ていたところで光が消え

「女の子・・・!?」

横たわった小柄な女の子が残されていた。

「成功か!?」

と思ったが動く気配がない。ということは失敗か?

いや、まて僕の魔素細胞って最適化が必要じゃなかったっけか?

明日まで待って目を覚まさなかったらもう一度ホムンクルス生成の魔術をかけよう。生命が無ければ魔術がかかるはずだ。

それにしても、これは目のやり場に困る・・・

僕はとりあえず女の子に布をかけ、起きた時のためにそばに僕の服を置いてから【個人空間】を出る。


(今日はもう寝て、明日の朝起きたら【個人空間】に行こう)

そう思いながら僕は眠りについた。


ホムンクルスさんは女の子で行こうと思います

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