魔術あれこれ
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初めてクエストを達成してから数日間、昼間は雑用系の依頼をちょこちょここなしてクエスト達成数を増やし、夜はユウナに魔術学の基礎の部分を教えてもらっていた。
ユウナ曰く
「少なくとも常識とされている事は知っておいたほうがいいですわ」
ということらしい。なぜか授業の時間になるとユウナはやたら張り切ってるような感じがする・・・。教えるのが好きなのかな
昼間、依頼がないときはイヨに頼んで今使われている魔術を教えてもらっている。
なぜかこのときユウナはいつも席を外している。二人に色々教えてくれないかとお願いした時になんか話し合ってたみたいだけど・・・
いろいろな魔術を教えてもらったところ、しっかり組み立てられた魔術が多いなぁという印象を受けた。きっと1日に何回も発動させる必要があったりして、魔力消費量を極力抑えれるような感じになったんだろう。
想像できればどんな魔術も自分で作ることはできるけど、消費魔力とか考えたら体系化された魔術を使ったほうがいいってことなのかな。新しい魔術を開発してる人たちもいるけど、実用化できるようなものは少ないらしい。
僕が細かいことを考えずに作った【探索】なんて魔力1500くらい消費するみたいだし。
あと、図書館とかで調べた結果、僕が使った他の対象への【硬化】は【外装】といい、別の固有魔術らしい。改めて【外装】として魔術を発動したら鎧みたいなものを生成することができた。一点突破の上級魔術以外だとほとんどの攻撃を防御できそう感じだった。
ちなみに、固有魔術は一般的な魔術とは違い、これを使いたいと思うだけで発動させることができ、使用魔力量も圧倒的に少ない。非常に優秀な魔術だが使える人は多くない、とのこと。
そんなこんなで僕は今、冒険者ギルドの訓練場でイヨに上級魔術を教えてもらっている。
「わたし、自分が得意な属性の上級魔術しか使えないよ?」
「イヨは確か風と水が得意なんだっけ?」
「そうだよー。だから風と水以外の上級魔術はユウナちゃんに教えてもらってね」
「わかった。で、風と水の上級魔術ってどんな感じなんだ?」
「風で有名な上級魔術といえば【トルネード】とか【ウィンドアシスト】があるね。水だと【オール・ヒール】とか【ヒール・ウィンド】かな」
【トルネード】とか【オール・ヒール】はなんとなくイメージがつくな
「【トルネード】は竜巻発生させて【オール・ヒール】はすごい回復魔術?」
「そんな感じだよ。あと、【ウィンドアシスト】は味方の動きを速くする補助魔術で、【ヒール・ウィンド】は何人かを同時に回復する魔術だね」
回復魔術ってのはどうにも苦手だなぁ、なんかどうやって傷を塞げばいいのかイメージがつかない。
「風とか水はこんな感じで上級でも補助も多い属性なんだよ。で、火とか雷が攻撃重視の属性。土は色々例外で上級魔術になると土から金属を練成したり、練成した金属から武器をつくったりもできる属性なの」
「土属性って、いわゆる錬金術みたいなことができるのか・・・」
「土が得意な人は鍛冶職人になることも多いね。土の上級魔術だとゴーレムとかの生成もできちゃうって話だけど、今のところ見たことはないかな」
「ゴーレムって言うと動く土人形みたいなやつ?」
「そうだよー」
そういうのも便利そうでいいな。後でゴーレム生成の魔術を作ってみよう。
それから数時間、僕は風と水の上級魔術について実践を交えて教えてもらった。
イメージしにくい部分は魔力を大く注ぎ込んでゴリ押しで発動するという荒業だったけど・・・
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イヨの魔術講座が終わってから帰宅し、夕食を食べたあと居間でお茶を飲んでいると
「お兄様、今日も魔術学の勉強です」
とユウナが声をかけてきた。
「あぁ、わかった。じゃあノートとかを持ってくる」
「はい、では部屋でお待ちしていますね」
魔術学の勉強会はユウナの部屋で開かれている。ユウナがいうには、「すぐに資料を取り出せるではありませんか」との事。
ユウナの部屋に入る前にノックをする
「はい、開いてますわ」
「お邪魔します」
部屋に入り、いつものように机のそばに腰を下ろす。
「今日はどんなことをやるんだ?」
「今日は魔剣についてですわ」
「お願いします」
僕はノートとペンを準備して話を聞く体制に入る。
「コホン、それでは・・・」
魔剣にはどうやら2種類あるらしい。1つは大量の魔素を含んだ希少金属「ミスリル」や幻獣の体の一部を使ったりして鍛えあげられ、それ自体に何か現象を起こす能力がある武器。上級魔術以上の効果を発動できるものは珍しいとのこと。もう1つは長い年月をかけて徐々に魔素を取り込んで特殊な能力を持った武器のことらしい。こちらはいわゆる付喪神みたいなもので自我を持つものも確認されているとのことだ。
自我を持つのもあるのかぁ・・・面白いな
「魔剣についてはこんなところですわ」
「魔剣ってどれくらいあるものなんだ?」
「そうですわね・・・強いものですと各都市に1本くらいですわね」
「やっぱり少ないんだな」
「えぇ、それに魔剣とは言いますが剣以外の槍などの武器もあるんですよ」
「1回見てみたいなぁ・・・」
「では今日の授業はここまでですわ」
「ありがとうございました」
「これで一通り必要そうなところは終えましたわ。お疲れ様です」
「ユウナもお疲れ様」
授業が終わったあとはユウナとちょっと喋ってから自分の部屋に帰ってきた。
「今日は色々と参考になる話が聞けたな。特にゴーレム生成は面白そうだ」
そうひとりごとを言いながら僕は日課である自分用の魔術の開発を始めた。
「もう広域殲滅用の魔術は十分かな。今日からは補助とかゴーレム生成について考えていこう」
大量の魔物が襲撃してきた時に備えて広域殲滅用の魔術と広域防御用の魔術を優先的に完成させた。無属性魔術で自分専用の空間を作り、その中で試し撃ちしたから効果は実証済みだ。
「補助についてはそうだな・・・雷属性の魔術を使って知覚を速くできたりしないかな?」
ということで早速実験してみる。名前は【知覚加速】でいいや。
脳とかの信号伝達を雷属性の魔術で置き換えるような感じだな
「やってみるか・・・【知覚加速】」
魔術を発動させ、窓から外を見る。すると世界がスローモーションで動いてるかのような錯覚を受けた。
「成功かな」
魔術が成功したことを確認し、【知覚加速】を解除すると、同時にスローモーションも解除される。
「【身体強化】とあわせて使ったらだいぶ使えそうだな」
新しく作った魔術に手応えを感じつつ次の作業にとりかかる。
「次はゴーレムだな。ゴーレムを作るにはその前段階として錬金も覚えておかないといけないとな。明日は図書館に行ってくるかな」
そう考え、僕は寝ることにした。
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翌日、僕は本を返さなきゃいけないというユウナと共に学園の中にある図書館を訪れた。
「では私は本を返してきますね」
ちなみにユウナは制服だ。学園の中にある図書館ということで着てきたようだ。新鮮で可愛い。
「じゃあ僕は魔術関連のところにいるよ」
「はい、わかりました」
さて、確か魔術関連の書籍はあっちだったな。
本を探すこと数分。『上級魔術~土属性編~』という目的に合いそうな本を見つけた。本を書架から取り出し、近くの机に座って読むことにする。
(なるほど、土に含まれている微量の鉄とかを魔力でかき集める感じなのか)
という感じで錬金についてはイメージが付いた。さて、次はゴーレムか・・・どれどれ
(こちらは魔力で土や鉄を集めて作った大量のブロックや部品でカラクリを組み合わせて作るのか・・・こりゃ難しい)
ゴーレムづくりを諦めかけていると、ふいにホムンクルスなら作れないかなという考えが浮かんできた。確かレトロな漫画で読んだのは・・・水25ℓ、炭素20kg、アンモニア4ℓ、石灰1.5kg、リン800g、塩分250g、硝石100g、イオウ80g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、その他少量の15の元素が材料だっけ。あとは魔力のほとんどと僕の血を使って人体をイメージしながら魔力を与えればなんとか生成できそうな気がする。この材料が集まったらやってみよう。
と考えにふけっていると後ろから声がかけられた。
「お兄様、調べ物は進んでいますか?」
「あぁ、ユウナか。うん、大体終わったよ。そっちも終わったんだったら出ようか?」
「はい、わかりました」
僕たちは図書館の外に出る。
外に出たところでピー!ピー!ピー!という音が街全体に響き渡る。
「な、なんだ?」
「これは・・・魔獣の襲撃ですわ!」
「なんだって!?」
「私の【予知】では視えていなかったものですわ・・・」
ユウナが悔しそうに呟いたところで辺りに声が響き渡る
『西門から距離10kmの位置にて狼型をメインとする魔獣の群れがこちらに向かってくるのを確認しました!住民の皆様は速やかに避難をお願いします。Cランク以上の冒険者は前線へ出て迎撃をお願いします。Dランク以下の冒険者は前線への物資補給等の補助をお願いします。』
「ユウナのランクは?」
アナウンスを聞いてる辺りから冷静になった僕はユウナに聞く。
「Dですわ、お兄様」
「じゃあ僕と同じで後方支援だね。じゃあ戦いに出ますか!」
「はい!」
僕達の長い1日が始まった。
ホムンクルスさんはそのうち誕生させる予定
材料は某錬金漫画から