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Artificial Magi  作者: 津賀
第2章 トウキョウ
13/34

カミシロ

誤字脱字等ありましたら指摘していただけると喜びます。

マスターの部屋へ向かう前にカイルさん・アニータさんと合流する必要がある。ということでサトシさんが懐から何かを取り出した

「さて、あいつらを呼び出すか」

「それ、なんです?」

「これか?これは携帯通信機だ。カイルとアニータを同時にコールして、と」

サトシさんが携帯通信機を操作してカイルさんとアニータさんに連絡をとっている。

「あ、ちょっとだけ席外しますねー」

イヨが早歩きへどこかへ行った・・・ってなるほど、トイレですか。


それにしても、通信機だって・・・?確かに、よく見たら四角くてボタンらしきものがあるから携帯電話に見えなくはないかも。

『なにー?サトシ』

『もしかしてマスターが帰ってきたのかい?』

「あぁ、そうだ。マスターの部屋に向かうからすぐにラウンジまで来い」

『はーい』

『あいよ』

言い終わるとサトシさんは携帯通信機を懐へしまった。

「これでもう少ししたらあいつらも来るはずだ」

「その携帯通信機って、どうやって動いているんですか?」

「これは、簡単にいえば通信用とメモリ用の刻印魔術が中に入っている。それで、埋め込まれた魔石から魔力の供給を受けて登録された他の端末に接続してるって感じだったと思うぞ」

「ありがとうございます。車の動力源も確か魔石でしたよね、電気は使っていないんですか?」

「あぁ、殆どのものは魔石から取れる魔力をエネルギーとして刻印魔術や各種ギミックを使って動かしている。雷属性の魔石を使えば電気も取ることはできるが、非効率的だな」

「そうなんですか・・・」

どうも、今の時代は工業の体系が違うっぽい。それなりに便利なものが残ってるだけで十分かな?


「ただいま~」

イヨが帰ってきた。とほぼ同時で

「おまたせ」

「ごめん、ちょっと遅くなっちまった」

カイルさんとアニータさんも合流した。

「んじゃ、マスターの部屋に向かうか」


------------------------------------------------------


そして再びやって来ましたマスターの部屋の前。

サトシさんがノックをして入室する。

「失礼します」

「何度も来てもらって悪いな」

「いえ、そのようなことは・・・。失礼ですが、そちらがクライアントの方ですか?」

「あぁ、そうだ」

サトシさんが疑問に思うのも無理はない。マスターの隣にいたのは僕と同い年くらいの少女だったのだ。少女が口を開く

「皆様、はじめまして。わたくしが今回のクエストを依頼した者ですわ」

「はじめまして。俺がこのパーティーのリーダーをしている、サトシ=ブレンドだ。」

「僕はカイル=ヒギンズと言います」

「アタイはアニータ=ハイラだ」

「わたしはパーティーメンバーじゃないんですけど・・・。イヨ=ヤマガミと言います」

「僕はなんて言えばいいのかな・・・?この人達に拾われたカムイ=カミシロです」

「まぁ!貴方がカムイ様なのですね!」

少女が興奮したように声を上げる。

「あの、僕のことご存知なのですか・・・?」

「まぁ、私としたことが・・・。失礼しましたわ」

なんだか照れてしまった。うん、かわいい

「自己紹介がまだでしたわね。私はユウナ=カミシロと言います」

「「カミシロ!?」」


おお!同じ名字だっ!

「えぇ、貴方様は私から見たら先祖となります」

えっ?僕が彼女の先祖だって?

「僕には兄弟は居なかったはずだけど・・・?」

「貴方様が眠りについた時に、ナギ様のお腹の中に貴方の弟が宿っていたそうです。今残っているカミシロ一族は貴方の弟であるタケル様の子孫となりますわ」

「そうなんですか・・・」

母さん、そんなこと教えてくれなかったんだけどな・・・。

「済まない、俺も質問していいか?」

「ええ、構いません」

僕が混乱していると、サトシさんも気になる事があるようで、ユウナさんに質問をぶつける

「見たところかなり若いようだが、君はその年でギルドマスターに直接クエストを依頼している。君は一体何者なんだ?」

「その質問に対して回答してよいものなのでしょうか・・・」

ユウナさんはそう言い、ギルドマスターの方へ視線を遣る

「彼らなら大丈夫だろう」

マスターからの許可も出たようだ。


「それでは・・・。皆様は『予言の巫女』はご存知でしょうか?」

「予言の巫女?あの魔獣の襲撃を予言することができる人のことか?」

「僕もそれくらいしか知らないかな」

「アタイもだ」

「聞いたことあるよ!なんでもこの街に居るとか居ないとかっ」

「イヨ、それは結局わからないってことじゃないのか?」

イヨの回答に思わずツッコミを入れてしまう。

「てへっ」

「それくらいの認識で構いませんわ。私が今代の『予言の巫女』です」

「「え!?」」

みんなが驚いている。僕はいまいちすごさがわからない・・・

「カミシロ一族の女性は何代かに一人、【予知】という固有魔術を持って生まれます。その魔術で魔獣の襲撃を予知するのが予言の巫女ですわ」

「僕の母さんも【予知】を使えたんだよね・・・」

「【予知】を初めて発現したカミシロの女性はカムイ様のお母様だったのですよ」

「なるほど・・・」

確かに、あの頃はまだ魔術が見つかってそこまで時間がたってなかったからなぁ

ユウナさんが説明を続ける。


「予言の巫女はその【予知】の力を色々な所から狙われる事が多いのです」

「他の都市国家からも、か・・・」

「そこは否定しませんわ。そのため、予言の巫女は居るけれども誰かはわからないといった情報規制をしているのです。私が予言の巫女だから、ギルドマスターに直接クエストを依頼することができるということですわ」

「わかった。この話は誰にもしない」

サトシさんが真剣な顔つきで答える。更に続けて


「このクエストで俺たちがカムイを連れて帰ってくるってのは予知できてたのか?」

「はい。カムイ様が帰って来られることは予知できておりました。ですが、珍しいことに近いうちに戻ってくるのはわかっていたのですが, 日付までは読めなかったため無期限の依頼とさせて頂きましたわ」

「なるほどな、予知ってのは便利な力だな」

「そうでもありません。自分で発動させることができない厄介な魔術ですわ」

「おや、いいのかい?アタイらにそんなこと話しちまって」

「えぇ、マスターが信頼をおいていらしてる方々ですので」

「そんな事言われたら拷問されても他言はできないねぇ」


これ以上の情報はダメということなのかギルドマスターが話を終わらせる。

「さぁ、この話はここまでだ。サトシ、報酬金は受付で受け取ってくれ。なおカムイの処遇は予言の巫女に任せてある。それと、予言の巫女よ余り喋り過ぎぬようにな?」

なにげにユウナさんに釘を打っている。

「はい、わかっておりますわ」

「では俺達は退出します。失礼しました」

「私も失礼致しますわ」

僕達とユウナさんは同時に退出した。


「カムイ様、本日は是非カミシロ家にいらしてください。父母共々歓迎いたしますわ!」

ユウナさんが魅力的な提案をしてくれる。よく考えたら今日泊まる所について何も考えていなかった・・・

「すいません、お邪魔します」

「私に対して敬語は使わなくても結構ですわ!私のことはユウナと呼び捨てにしてください。私は16歳ですので、カムイ様の1つ下ですのよ?」

「え?僕の年齢とし、知ってるの!?」

「えぇ、ナギ様がどんな方だったのか書き遺しておりますので」

「それは・・・ちょっと読みたくないな・・・」

「ふふっ」

母さん、一体どんなこと書き遺しているんだ・・・?

「そうだ!僕からも一つお願い」

「何でしょうか?」

「カムイ『様』って呼ぶのはやめてくれないか?なんか背中が痒くなる」

「そうですわね・・・それではお兄様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」

「ブッ!」

「お兄様~」

僕は吹き出し、イヨが面白半分に反応している。


「いけませんか?」

なぜそこで瞳をうるませるんだ・・・

「・・・あぁ、別に構わないぞ」

「ありがとうございます、お兄様」

「お兄様~お兄様~」

「イヨ、うるさい!」

「あはは~ごめんね~。動揺してるカムイ君が面白くてさっ!」

「ぐぬぬ・・・」

イヨめ、覚えておけよ。


---------------------------------------------------


冒険者ギルドのラウンジまで帰ってきた。

そういえば、僕って冒険者になれたりするんだろうか?

「サトシさん、僕って冒険者になれたりしますか?」

「ん?あぁ、登録は誰でもできるぞ。最初は誰でもEランクだがEランクからの昇級試験で飛び級することもできる。お前の場合さっきとった訓練所でのデータを提示すればBかAランクにはなれるはずだ」

「マジですか・・・。ごめんユウナちょっと待っててもらっていい?」

「えぇ、構わないですよ」


冒険者になる前にアニータさんから借りっぱなしだったナイフを返しておこう。心機一転やっていくためのケジメだ。

「アニータさん、このナイフお返しします」

「別に返さなくていいよ、これから冒険者になろうって奴への選別だ」

「えっ、いいんですか?」

「というよりもアタイよりアンタのほうがそのナイフに刻まれてるルーンをうまく使えそうだしねぇ。というわけで、くれてやるよ」

「ありがとうございます!」

「ほら、さっさと登録してきな」

アニータさんに言われ、受付へと向かう。


受付には綺麗なお姉さんが立っていた。若干緊張しながら話しかける。

「すいません、ギルドへの登録をしたいのですが・・・」

「新規登録の方ですね、こちらの紙にご記入ください」

出された紙に名前などのデータを書き込んでいく。

(得意属性か・・・わからないな・・・)

「すいません、この得意属性というのがわからないんですけれど、何か測る方法ってあるんですか?」

「それでしたらこちらに手を置いてください。得意な属性が表示されますので」

そういわれ、出された板みたいなものの上に手を置く。すると、無、火、水、風、雷、土、光、闇という文字が浮かんできた。

「これは・・・全属性ですね」

「ぽいですね。では全属性、と」

お姉さんがぽかーんとしている。全属性が得意属性って人少ないのかな?少ないんだろうなぁ・・・

「これで書き終わりました」

「では確認します・・・はい、大丈夫です。それではギルドカードを発行しますので少々お待ち下さい」

そう言われ、2~3分待ったところで、カードができたようだ。

「どうぞ、こちらがギルドカードになります。それでは、この魔石に魔力を込めてください」

「これに、ですか?」

「はい。こちらの魔石は白魔石といって、最初に保存した魔力の波長を出し続けるようになる珍しい魔石です。これによって冒険者のデータ登録とギルドカードの偽造を防止しています」

「なるほど・・・」

言いながら僕はカードに魔力を与える。すると白魔石の色が白色から無色透明へと変化した。

「これで冒険者ギルドへの登録は完了です。ようこそ、冒険者ギルドへ!」

「では失礼します」


お姉さんに笑顔で見送られ、戻ってくると

「おめでとう。これからもよろしくな」

「よろしくねー」

「これで同業者だね」

「おめでとっ」

「おめでとうですわ」

皆に祝福され、僕は頬が緩んでしまった。

「ありがとう、みんな!」


-------------------------------------


とりあえず冒険者ギルドを出た僕たちはここで解散することとなった。

「じゃあまた、会えたらどこかで会おう」

「ばいばいー」

「じゃあね」

サトシさん・カイルさん・アニータさんはそう言うとどこかへ行ってしまった。

「イヨはどうするんだ?」

「わたしもここで一旦さよならして家に帰るよー。ユウナさんの家の場所は教えてもらったから今度遊びに行くかもっ」

「そうか。じゃあまたな」

「バイバイー」

イヨも家に帰っていった。


「では私達も行きましょう」

「あぁ」


新ヒロインのユウナが登場.

イヨさんが空気になりそうで怖い...

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