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Artificial Magi  作者: 津賀
第2章 トウキョウ
12/34

冒険者ギルド

誤字脱字等ありましたら指摘していただけると喜びます。


5/26 想起魔術についての補足を追加しました

5/29 魔素細胞となっていたところを魔化細胞に修正しました

飲食店を出てから車に乗り5分ほど走ると、冒険者ギルドに到着した。

サトシさんたちが受付のお姉さんにクエストの報告をしている。僕はと言えば物珍しくてあたりをキョロキョロと見ている。

「マスターから頼まれてたクエストの終了報告をしたいんだが」

「A級パーティー『バジャー』の方々とイヨさんですね。報告は直接マスターへ、と伺っております。どうぞ奥へ」

「ありがとう。おいカムイ、マスターの部屋まで行くからお前もついてこい」

「わかりました」

どうやら移動するらしい。マスターというのはこのギルドのギルドマスターのことかな。


冒険者ギルドの中を歩く。が、やたら広い気がする。一応マスターの部屋は見えてるけどちょっと距離がありそうだし、窓の外を見たら空き地みたいなところもある。サトシさんに聞いてみよう。

「すいません」

「ん?何だ?」

「窓の外に見えるあの空き地みたいなところって何ですか?」

「あぁ、あれは訓練場だ。訓練に使うだけじゃなくて魔術の試し打ちとか魔術の等級を測ったりするのにも使われてる。」

「魔術の等級を測る、ですか?」

「あぁ、測ってほしい魔術が下級・中級・上級どれに当たるかを調べる」

「どうやって測るんですか?」

使う魔力量とかを調べるのかな?

「この等級は威力で分類される。強さが違う3層の対魔術が施されたカカシに向かって魔術を使って、何層まで破壊されてるのかで下級・中級・上級を判断する」

「なんかすごいカカシですね・・・」

「まぁな。埋め込まれた魔石から魔力の供給を受けて障壁を展開するギルド自慢のカカシだ。障壁は数分しか持たないけどな。ちなみに、対魔術を破壊できなかったら下級、1層目まで破壊したら中級、2層目まで破壊したら上級と判定される」

「では、3層の対魔術を貫通した場合はどうなるんですか?」

「そんときは何らかの固有魔術を持ってる事が多いな。たまに固有魔術持ってなくても3層まで破壊できる奴が居るんだが、レアだな」

「なるほど」

サトシさんにあれこれ聞いているうちにどうやらマスターの部屋まで来たようだ。


-コンコン

サトシさんが皆を代表してノックする。

「マスター、パーティー『バジャー』です。クエストの報告に参りました」

「おお、入ってくれ」

部屋の中から声が聞こえ、僕たちは中に入った。


「失礼します。サトシ以下3名、帰還しました」

「ご苦労だった。して、見慣れない奴もおるようじゃが?」

マスターの威圧感ある視線が僕に向けられる。マスターの視線は僕を見極めようとしているように感じる。

「彼は地下施設の奥にいた者です」

「どういうことだ?」

「彼はですね・・・」

サトシさんが僕を見つけた経緯と僕がどうしてここにいるのかということを説明してくれる。

「つまり、彼がマナ枯渇の原因であったと」

「彼がいた事以外特に変わったところはありませんでした。更に彼自身の証言でもあります」

「ほう、それは本当か?」

マスターが僕に尋ねる。

「はい。僕の体が動くようになるためにマナを使用したものと考えられます」

僕は自身の体のことについてマスターに説明する。

「全身魔化細胞、か。お主の名前は?」

「カムイ=カミシロです」

「お主が、カムイか・・・」

マスターが何かをつぶやいている。

「どうしたんですか?マスター」

「いや、儂はこのクエストのクライアントを呼んでくる。すまないが帰ってくるまで冒険者ギルドに居てくれ」

「わかりました。では、失礼します」

僕たちはマスターの部屋を退出し、ギルドのラウンジまで帰ってきた。


「ひまー」

イヨがなんか言ってる。サトシさんは先程から受付の方で何かやってる。カイルさんとアニータさんは気づいたらいなくなってた。ギルド内には居るらしいけど・・・。あ、サトシさんが帰ってきた。

「すまない、待たせたな」

「いえ、それほどでもないです」

「何かするんですかー?」

「あぁ、今のうちにカムイの力を測っておこうと思ってな。魔力測定装置の借受、さらに訓練場とカカシも借りてきた」

「おおっ」

「なんで訓練場まで?」

「お前が使える魔術の等級も測っておこうと思ってな。色々あるんだろ?」

あれ・・・?僕どんな魔術が使えるかとか喋った記憶が無いんですけど・・・

「どうしてそう思ったんですか?」

「【身体強化】の時といい、【魔力付加】の時といい魔力の扱いには慣れていたってのがひとつ。もうひとつは動けなくても周囲の情報を得ていたらしいという事から高度な魔術が使えるんじゃないかと思った」

僕の喋った内容と魔術の使い方だけで見抜かれたのか。

「じゃあ、カカシには遠慮なく魔術をぶっぱなしていいんですか?」

「あぁ、できるなら消滅させてくれてもいいぞ」

「マジですか!」

これは楽しみになってきたぞ


----------------------------------------------


僕はサトシさんたちに案内されて訓練場までやってきた。

「まず、魔力から測るぞ」

「わかりました」

サトシさんが手に持っているものを僕に渡してくれる。

「今渡したものをしばらく抱えてくれてたらいい」

「それだけでいいんですか?」

「あぁ、測定開始はこちらでやる」

こんな便利なものがあるんだなぁ、などと思いながら僕はサトシさんから受け取った球体を抱える。


「じゃあ、測定開始だ」

サトシさんがそう言うと球体の色が青から緑に変化した。

「測定が終わったら赤くなるからそれまで待っててくれ」

なるほど、体温計みたいなものと考えておこう。僕がいた頃では魔力の測定なんて無かったからちょっと楽しみ。

「この道具っていつ頃作られたんですか?」

「確か100年くらい前だな」

「それ以前はどうやって魔力を図っていたんですか?」

「測定希望者の血液を採取して魔化細胞がどれだけ含まれてるかっていうので調べていたらしい。まぁ、今ではそういうのを調べる機材なんてのは一部の研究施設でしかお目にかかれないんだけどな。でも一応1年に1回は採血検査はする。健康診断も兼ねてな」

「なるほど」

-ピピピ

抱えている球体から電子音みたいなものが聞こえてきた。色は・・・うん、赤くなってる


「お、終わったみたいだな。ちょっと測定球を貸してくれ」

アレは測定球というのか・・・。

「どれどれ・・・」

「わたしにも見せてー」

サトシさんが測定球を見ている。イヨはその横から覗き込んでいる。

「これは・・・、予想以上だな・・・」

「すっごーい!!」

サトシさんは呆然としてて、イヨはなぜかはしゃいでいる


「どんな結果が出たんですか?」

「魔力量は10万だ」

基準がわからない・・・

「??それって多いんですか?」

「バケモノだ。はっきり言って」

「わたしは500なんだよー」

え!?イヨ200人分も持ってるのか!?

「ちなみに、イヨもヒューマンの中ではありえないくらい高い。参考までに言っておくと、平均的な魔力量はエルフが400、ヒューマンが200、獣人は100だ」

「なんですと・・・」

なんかのちのち厄介事に巻き込まれそうな予感がしてきた。


「まぁ、自分の魔力のデカさは追々嫌でもわかる」

「じゃあ次だねっ!カカシは用意しといたよっ」

イヨさん仕事早いっす。

「あのカカシに向かって適当な魔術を放ってくれ。魔術で攻撃するものならどんなのでもいいぞ」

「はい」

うーん・・・何やってみようかな・・・探索魔術とか翻訳魔術作るときに調子に乗っていろんな魔術もついでに作ったんだよなぁ・・・。とりあえずオーソドックスに魔力の塊をぶつけてみよう

「じゃあいきます。一応離れておいてください」

(イメージするのは砲弾。自分のオドを凝縮して一気に射出する)

「行けッ!【魔弾】!」

手をかざして魔術を放つとカカシからパンっという乾いた音が聞こえてきた。何層までいけたのかな?

「確認してくる」

サトシさんがそう言い、カカシのチェックをしている。

「カムイ、さっき放ったのはどんな魔術なんだ?」

「オドを凝縮して弾として撃ちだす魔術です」

「【バレット】と同じ原理の魔術か・・・」

なるほど、【バレット】という魔術があるのか

「で、なんでその魔術で2層まで破壊できてるんだ!」

「え?」

サトシさんが声を荒げている。イヨが横からワケを教えてくれる

「【バレット】はね、下級魔術なんだよ。身体強化と同じ頃に習う基礎中の基礎っ!」

「そうだったのか・・・」


「あの【バレット】にはどれくらいの魔力を込めたかわかるか?」

サトシさんがカカシに魔石をはめて対魔術を発動させてから帰ってきた。

「すいません。数字で言うことは出来ません・・・」

「じゃあ、どんなイメージで魔術を発動したんだ?」

「えーと・・・砲弾のイメージで自分のオドを凝縮して、勢い良く発射するイメージです」

「また桁違いの魔力の込め方をしてるな。普通はオドを凝縮するイメージは省く。凝縮してしまうと一気に魔力を持っていかれてエルフでない限り2発目以降撃てなくなっちまう」

「そうだったんですか・・・」

「じゃあ次だ。さっきのは序の口なんだろ?」

サトシさんがにやりとしながら言う。

「もちろんです。次でカカシを吹き飛ばして見せます!」

そう言い放ち僕は魔術を使う準備を始める。

(今の感じだと全力を出したらとんでもないことになりそうだ。あのカカシをピンポイントで燃やし尽くす魔術にしないとな。火柱をカカシの足元から吹き上げさせる魔術にしよう)

(間欠泉のようなイメージで、カカシを閉じ込める形で円柱状に下から火柱を吹き上げさせる。炎は出せるかわからないけど太陽の表面くらいの温度のイメージだ。)

「燃やせ、【炎柱】!」

「うおっ!?」

「きゃっ!」

魔術を発動した瞬間、白い炎がカカシを包んだところまでは見れたが、それ以降はまぶしすぎて目を閉じてしまった。サトシさんとイヨもびっくりしたようだ。ごめんなさい。

ちょっとしてからオドの供給を止ると、発動していた魔術が消えた


「ごめんなさい、ここまで眩しくなるとは思ってなかったです・・・」

「まぁ、とっさに目をつぶったから大丈夫だ」

「眩しかったけど、熱くはなかったよー?なんでだろ?」

確かに、なんで熱くなかったんだろ?カカシを閉じ込めるようなイメージで発動させたからかな

「あのカカシを閉じ込めて燃やし尽くすイメージで発動させたからかも」

「あの魔術は、見たことも聞いたこともないな。カカシも燃え尽きちまったようだし」

サトシさんに言われ、カカシのあった方を見る。すると、その場にカカシはなく地面も1mほど溶けてしまっていた。

「やりすぎた・・・」

「地面まで溶かしちゃってるねー」

「どんな発動のさせ方したんだよ・・・」

「えーと・・・カカシを閉じ込めて、下から炎を吹き上げさせて燃やし尽くす感じです。あ、炎は太陽の表面くらいの温度とイメージしながらやりました」

「太陽ってお前・・・」

「非常識すぎっ」

「想像できる範囲で最高に熱いものでいってみました」

「やりすぎだ、普通火って1400度くらいが最高だぞ。太陽の表面ってことは6000度か?4倍以上差があるじゃねぇか」

ぶっちゃけ、普通の火の温度も知らなかったのでアバウトなイメージでやりました。


ちなみに、想起魔術の発動にはイメージが鍵となっているわけだが、この「イメージ」というのは単にどんな現象を起こしたいかと言うことだけではなく、その現象を起こすためのプロセスもイメージする必要がある。例えば火炎球を飛ばす魔術では、オドを手のひらの上で燃やし、燃やしたオドを球形にまとめ、最後に射出するといった工程のイメージも必要になる、というのが常識だ。とすると、カムイの【炎柱】は現象についてもプロセスについてもちょっとイメージ不足だったということであるが、カムイの保有しているオドが大きすぎるためゴリ押して発動することができた。ここで補足だが、プロセスのイメージが具体的になればなるほど使用するオドを節約できる。先の火炎球を飛ばす魔術では「どう燃やしたオドを球形にまとめるか」ということをイメージすれば使用するオドを減らしつつ、同じ威力の魔術を放つことができる。


みんなで若干呆然としていると後ろから声をかけられた。

「お前たち、これはちょいとやり過ぎじゃないかの?まぁいいわい、クエストのクライアントが儂の部屋で待っておる。お前たち、全員揃えてまた儂の部屋にきてくれ」

「は、はいっ」

サトシさんが驚いた感じで応対している。

「じゃあ部屋で待っておるぞ」

そう言うと、マスターは去っていった。


「じゃあ、ちょっと片付けてからマスターの部屋に行くか」

「「はーい」」

この溶けた地面はどうすればいいんだろう?放置でいいかな?


次話にてニューヒロインの登場(かも)





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