寄り道
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トウキョウにつくとカイルさんの提案でご飯を食べてから冒険者ギルドに行こうという話になった。このまま冒険者ギルドに行くともしかしたら長引いてご飯が食べられないかも知れないとのことだ。ちなみに僕の分はサトシさん達が奢ってくれるらしい。ありがとうございます。
「あの店には確か駐車場はなかったな。車はこの駐車場において、歩いていくぞ」
今トウキョウにはほとんど車は走っていないらしい。でもたまに車で来る人達もいるため、一応狭い駐車場があるとのことだ。
「なんか久しぶりに帰ってきた気分だよー」
「たった数日出てただけじゃないか。何をいってるんだい」
「いやー、なんかすごくつかれちゃいましたー」
イヨが街に帰ってきた安心感からかかなりぐでーっとしている。
「ほら、グダってないでとっとと行くぞ。」
サトシさんに急かされて僕たちは歩き始めた。
しばらく街道を歩いていると見慣れない施設が目に入ってきた。イヨ先生に聞いてみよう。
「イヨ先生、あの周りが柵みたいなものに覆われているのって何?」
「あ、あれねー。あそこは床に転移魔術が刻まれてるんだよ」
「もしかして刻印魔術?」
「そうだよー。トウキョウの転移刻印からだと、世界の都市国家どこへでもいけるんだよっ」
なぜかイヨが胸を張って言う。うん、大きい。
「それってかなり便利じゃないか?」
「その通りっ。トウキョウの転移刻印はすごく便利で、色々な物もたくさん送れるんだよー」
「ふむふむ・・・。ん?トウキョウ以外の転移刻印だとそんなことできないのか?」
「いろいろあってねー。各旧国家だと首都だった都市にはこんな感じで大量に物を送ることができる大規模な転移刻印があってね、他の旧国家にある都市国家から救援要請があった時にこのタイプの転移刻印を通って冒険者とか救援物資が届けられるってことなんだよ」
「つまりこれは防衛の要にもなってる?」
「そうそう、あの周囲の柵には防御の魔術がかかってて、弱い魔獣じゃ束になっても壊せないよっ」
魔術は色々と応用されてるんだなぁ。どんな魔術があるのかってどこで調べればいいんだろう?図書館とか無いのかな。
「そうだ、イヨ」
「ん?」
「図書館ってどっかにあったりする?」
「もちろんあるよっ、街の外れにある学園の図書館が街の図書館の代わりも務めてるよ」
「学園の関係者じゃなくても入れるのか?」
「うん、大丈夫だよー」
よし、知りたいことがあったら学園にある図書館に行けばいいんだな。
更にちょっと歩いていると、盾の前で2本の剣が交差しているマークが描かれた看板を出しているお店らしきものを見かけた。
「なぁ、イヨ。あれってもしかして武器とか売ってる店か?」
「そうだよー。わたしはまだ引っ越してきてあんまり経ってないから行ったことはないけどね」
「そうなのか」
「このお店は、武器だけじゃなくて防具も売ってるって話だよ。武器・防具、両方とも質のいいものが揃ってるって聞いたことあるよ」
何か買いに来るかもしれないし、一応覚えておこう。
飲食店に向かう道中だけでも自分の居た時代と今の時代でちょいちょい違うところがあることに気づいた。
まず、地面は整地されているけどアスファルトで覆われてはいない。まぁ、これは車があんまり使われなくなったから当然かなぁ。
次に、耳が尖った人やもふもふの人が歩いてる。これはエルフやドワーフといった人たちだろう。
んで、普通に露店とかで武器が売られている。一応冒険者カードが無いと購入はできないみたいだけど、なかなか驚いた。
あたりをキョロキョロしながら歩いていると、サトシさんが立ち止まった。
「さぁ、ついたぞ」
どうやらここでごはんを食べるようだ。
「いらっしゃいませー!」
お店の中に入ると店員さんの元気のいい声が掛けられる。
「何名様でしょうか?」
「5人だ」
「5名様ですね、では奥のお席へどうぞ」
そう言い、店員さんは席まで僕達を案内してくれた。
「注文が決まったら呼んでくださいね!ではごゆっくり~」
メニューを広げて何を頼もうか考えていると・・・
「よし、みんな決まったか?」
「決まってるよー」
「アタイも」
「わたしもです」
「え?もしかして決まってないのって僕だけですか?」
「まだ決まってないなら俺と同じメニューにしとくか?」
「じゃあそれでお願いします」
「俺はオススメを頼む予定だが、お前たちは?」
「僕もオススメ」
「アタイもオススメで」
「あ、わたしもです」
なんだ、みんな同じだったのか。
「じゃあ注文するぞ。すいません!」
「はいはーい、注文はお決まりでしょうか?」
「オススメを5つ。以上だ」
「オススメを5つですね。かしこまりました!ちょっとまっててくださいね」
さて、一体どんな料理が出てくるんだろう?
「おまたせしました!本日のオススメ、若鶏の香草焼きのセットです」
おお、これは美味しそうだ。セットの内容はスープとサラダ、それにパンかな。
しばし全員分が揃うまで待つ。イヨがすっごいそわそわしてる・・・
「よし、全員揃ったな。じゃあ食べようか。」
「「いただきます」」
早速僕は若鶏の香草焼きにかぶりつく。ボリュームがあってちょっと大味かなと思ったけど、噛んだ瞬間に若鶏の肉汁とハーブの香りが口の中に広がって非常に美味しい。さらに若鶏の肉は柔らかく歯ざわりもいいため、いくらでも食べれそうな気がしてくる。
ここでパンをちょっとつまんでみた。このパンは自家製なのだろうか、表面はカリッと中はふんわりしていて、香ばしい。スープはコンソメっぽい味がして、どことなく安心できる味だった。サラダの野菜もみずみずしく、野菜の甘味だけでドレッシングを掛けなくても食べれそうだった。
そしてイヨはというと
「もぐもぐもぐ・・・肉汁がたまりません・・・もぐもぐもぐ・・・お野菜もいいですね・・・もぐもぐもぐ」
もはや恒例だった。
「ごちそうさまでした。」
満足満足。
「相変わらずここのご飯は美味しいな」
カイルさんの言葉に全員が首肯する。
「よし、それじゃあ会計済ませて出ようか」
「ありがとうございましたー!」
店員さんの声を背に聞きつつ外に出る。
「あんまり遅くなってもしょうがないから、そろそろ冒険者ギルドに向かうか」
ここから2章開始です。