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神明再就職支援センター ~リストラされた神様たちの、ゆるゆる就活戦記~  作者: 「大和 尚羅夢」小花羅夢一生推し


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終章:瑕疵礼讃、そしてあなたへの招待状

さて、ここまで、この長い物語にお付き合いいただき、ありがとうございました。これは、効率化 と アルゴリズム に覆われつつあった世界の片隅で、完璧とは程遠い神々 と、同じく完璧とは程遠い人々 が、それぞれの「生きづらさ」や「ずれ」や「欠け」——そう、「瑕疵きず」 を抱えながら、それでも前を向いて、ゆっくりと歩み始める物語でした。


神々の物語は、一応の区切りを迎えました。しかし、世界 の物語は、もちろんまだまだ続きます。


あなたは、この物語を、どのように感じられたでしょうか。


「アルゴリズムが支配する完璧な幸福」と、「矛盾だらけで、時に不愉快で、それでもどこか温かい不完全な日常」。


あなたなら、どちらを選びますか?


もしかしたら、あなた自身の日常にも、そんな「小さな不しあわせ」や、説明のつかない「ほっこりする気づき」があるかもしれません。それは、もしかすると、どこかにいる、あなただけの「小さな神様」の、ほんのささやかな仕業かもしれませんね。


この物語を書いたのは、私です。あなたとこの世界の、数多ある「瑕疵」の中にこそ、かけがえのない物語が潜んでいると信じる、一人の語り部です。


私の物語は、いつもこんな風に、完璧ではない誰か が主人公です。時代の流れにうまく乗れない神様 や、数字では測れない何かを追いかける人間、どこかずれた場所に咲く、奇妙で愛おしい絆 について書くことが多いです。


この物語が、あなたの心の片隅に、ほんの少しでも温かな灯りを灯せていたなら、これ以上の喜びはありません。


また、いつか、別の物語でお会いできる日を楽しみにしています。


次の舞台は、もしかしたら…


とある 「廃墟と化した遊園地」 と、そこに住み着いた 「忘れ去られたお化け」 たちの、再建と観光客誘致の話かもしれません。


あるいは、「感情を食べる」 と噂される、人里離れた喫茶店と、それを訪れる、心にぽっかり穴の空いた客たちの、静かで甘苦い物語かもしれません。


さらには、この 「瑕光事務所」 に、新たな依頼人——例えば、SNSの「いいね」に飢える 疫病神 や、現代の情報過多に疲れ果てた 千里眼 の女神——が訪れる、続編のようなものかもしれません。


もし、そんな 「不完全で、ちょっと風変わりで、それでもどこか愛おしい物語」 に、また少しだけお付き合いいただける気が起きたら——


私の名前を、どうか覚えていてください。新しい物語の扉を開く時、必ずやそこに、あなたを迎えるための、完璧ではないけど誠実な言葉を用意しておきます。


それでは、最後に、この物語の舞台となった事務所からの、ひとつのメッセージを。

東京ドームの大惨事から、幾星霜が流れたわけではない。まだ一年も経っていない。けれど、かつて「完璧」と「効率」が支配しようとした世界の片隅で、いくつもの小さな、不完全で、暖かい物語が芽吹き始めていた。


神明人材コンサルティング株式会社 瑕光かこう事務所 の看板は、相変わらず奇妙にピンクと青に光る稲妻ネオンの下で、静かに佇んでいる。中では、元・高天原管理官の鬼塚が、相変わらず無表情で、猫又と化け狸の共同出店に関するリスク評価書とにらめっこしていた。隣のデスクでは、尚羅夢が保温杯を手に、雑事の神(データ態)がネットの海でそっと起こした「ささやかな善意」の事例データを、淡々と分析している。時折、彼のダメ人間目が、モニター上のどこかにほんのりと、かすかな光を見つけるような瞬きをする。


神明たち は、それぞれの「ニューノーマル」に、少しずつではあるが、確かに馴染みつつあった。


雷神 の「雷電心情予報」アプリは、気象庁の予報士が個人的に愛用するほどのカルト的人気を博し、今では「内なる感情の気象学」として、一部の心理学者の関心を引いている。彼自身は、静電気とユーザーの匿名感情データを用いた「電撃的抽象画」の制作に没頭し、次回個展の準備で忙しい。


学問の神 の「知識安眠ストーリー」は、ついに公共放送の深夜番組のコーナーとして採用され、より多くの不眠な現代人を、深遠なる退屈さへと誘っている。本人は、この「安眠コンテンツ」が逆説的に聴取者の集中力向上に寄与しているという副次効果の研究に、夢中になっている。


縁結びの神 の「絆シグナル灯」は、完全予約制かつ抽選制となるほどの大人気サービスとなった。彼女自身、かつての擬装装置は外し、今では自らの「縁を微調整する力」を、ごく自然に、ほのかな笑みと共に制御している。最近では、人と人との「縁」だけでなく、人とモノ、人と場所との「新しい縁」を探る実験にも着手した。


恋の神 は、相変わらずメディアの寵児だが、「婚姻」の領域には一切踏み込まず、「恋愛の混沌と美学」についてのエッセイストとして、確固たる地位を築いた。高額コンサルティングの依頼は後を絶たず、その収益の一部は、なぜか貧乏神のコンビニの「不しあわせ袋」開発基金に回されている。


恵比寿神 は、金融街で「非合理リスクコンサルタント」として名を馳せ、その直感(と「気の流れ」の調整提案)が、数々のスタートアップを間接的に救った。鮭川の経験は、今や彼の最大の財産となっている。


雑事の神(データ態) の「さりげない介入」は、今やネット上で「デジタル座敷童子の恩恵」として都市伝説化し、多くのユーザーが小さな幸運に彼の存在を感謝している(もしくは、小さな不具合に彼の悪戯を疑っている)。


そして、「スマイルファミリー」コンビニ。ここには、相変わらず、ささやかな奇跡が毎日のように起こる。


貧乏神 考案の 「今日の、ちいさな不しあわせ袋」 は、週に一度の限定販売が恒例行事となった。中身は、賞味期限間近のおにぎり、少し凹んだジュース、印刷がずれたシール、当たらない(しかし心に残る言葉が書かれた)くじ… そんな「瑕疵」の数々。それを受け取る人々の顔には、最初は少し困惑し、やがてほのかな笑みと、なぜかほっとした安堵の表情が浮かぶ。この店は、もはや単なるコンビニではなく、誰もが自身の「小さな不器用さ」を許し、ほっと一息つける、町の小さなオアシスとなっていた。貧乏神は、正社員として、少しずつ背筋を伸ばして接客している。胸の内ポケットの鯛のぬいぐるみは、いつしか、店長の娘が編んだ、新しい小さなマフラーを巻いている。

神明人材コンサルティング株式会社 瑕光事務所 / 人神共生現象研究所 より


世の中はまだまだ、「完璧に機能しない何か」 や、「説明のつかない小さな奇跡」 であふれています。


あなたの中に、あるいはあなたの周りに、そんな 「普通じゃない何か」 がひそんでいませんか?


我々は、かつて神々の再就職を支えた、ちょっと風変わりな事務所です。今では、神々に限らず、この社会にうまく馴染めない あらゆる「特異な存在」 の、新たな活躍の場を探すお手伝いをしています。


ご相談は、以下の方法で承っております。初回相談は無料です。どんな小さな「瑕疵」も、それは新たな価値の原石かもしれません。


お問い合わせ先:


雲上神社 総合サポート窓口 内「瑕光事務所係」まで


「ちいさな不しあわせ袋」お取扱店舗「スマイルファミリーコンビニ」店長様 紹介 にて


すべての不完全さを、可能性へ。


あなたの、その「ずれ」や「こだわり」を、ぜひお聞かせください。


物語は終わります。でも、あなたの日常には、まだたくさんの、小さな物語の種が、眠っているはずです。


どうか、素敵な「不完全な一日」をお過ごしください。


また、どこかで。


(了)

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