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3、泥棒ネコの化けを皮を剥いでやろう

一足先に食堂に入り、隅だが人目につく絶妙な位置のテーブルに付く。

「ちーちゃん、何食べる?」

「サンドイッチセット。」

「あんま腹減ってねーの?ちゃんと食っとかねーと倒れるぜ?」

「や、デザート食うから。」

「プッ!デザート食うから飯軽目とか女子かよ。」

「悪いか。こうも身体を動かせないと太るだろ!」

「何?そんな気にしてんの?」

「自己管理出来ないトップはダメだって言われてるからな。」

「…あんまり気にしすぎちゃ疲れるぞ?」

サラリとした髪を撫でる。

「…ん」

気まずそうに、でも少し嬉し恥ずかしと言った表情は年相応で可愛いと思う。

「何。笑ってるんだ。」

「や、ちーちゃんってさ?すんげー背伸びしてるから同い年な感じしないけど、同い年だなーって思えた!」

「…。で?そーくんは何食べるんだ?早くしないと授業が終わるぞ。」

「おっと、そうだな。えっとー、サンドイッチセットとー焼き魚定食とーカツ丼っと!ミルクティーで良んだよな?」

「ああ、後、季節のタルト。飯と一緒に持って来てもらって。」

「ん、送信!」


食事が届くまでに、話しをまとめる。

「で。役員クビにする話しは分かるけど、俺とちーちゃんが仲良くする。っうのはどういう事なわけ?」

「アレは俺よりそーくんに気があるからな。俺に敵意を向けさせる。」

「なっ!ダメだそんなのっ!」

「そーくん?シーッ?」

「うっ、わりぃ!」

「やられたら、やりかえしても構わないだろう?」

見惚れる程の笑みでそんな物騒な事言わないでくれ。


「…分かったよ…。」

ハァとため息を吐いた時、注文品が運ばれてきた。

二人揃っていただきます!と手を合わせれば授業終了の鐘がなる。

「急がねーとな。」

何かあってもいいように飯を詰め込む。

黙々と食べていれば、最初の生徒たちが来た。

俺らの姿を見て、少し固まったが会釈して席につく。


ちーちゃんはすでにタルトに手をつけてる。早いな。

まあ、定食とどんぶりの俺と、サンドイッチとスープのちーちゃんじゃ量が違うよな。

定食を食べ終えたら、ちーちゃんがコールボタンでウエイターを呼び空いてる皿を全て引かせてる。

俺にはまだカツ丼があるが、これだけ見たらちーちゃんが飯食わないやつだよな。


ちーちゃんが風紀室に来てから一週間と経たずに役員達の解職要求の署名が一定数集まり、可決された。

すでに掲示板にはひっそりと掲示してあり、生徒達もホッと一息ついた後だ。

まあ、これは今日の騒動の後、放課後の集会で声にされる。


「ごちそーさまでした!すんません!コレ下げてもらえますー?」

食器割られちゃかなわねーからウエイターさんも心得たようにいち早く皿を下げてくれる。

よし、これで机の上は書類だけ!

「ちーちゃん?」

「ん?」

「仲良しって、どの程度?他の生徒にデキてるとか思われたら嫌だろ?」

「いや。もう、恋人ごっこでいい。どーせ愛称呼びな地点で要らぬ妄想されるから。」

「ちーちゃんは俺の嫁!って宣言していいの?」

「…自分が嫁なのは不服だが、アレを煽るにはその方がいいんだろうな。」

「役得だな?」

なんて笑ったら、同時に食堂から音が消えてアレの声だけが響いた。

「俺、今日はオムライス食おー!」

なんていいながら役員席に向かおうとして、動きが止まる。

お互い見つめ合いながらも気配はしっかり捉えてるから視線が刺さる感じがする。

「総一郎!!チヅル!なんだよ!来るなら声かけろよな!」

バタバタと音を立てて駆け寄ってくる。話したくないが俺は風紀委員長だ。仕方ない。

「黄堂!食事の場で走るな!」

俺がアレに目を向けると、ちーちゃんがあからさまに慌てて書類を片付けだす。

「総一郎!太陽って呼べってるじゃないか!ん?なんだ、チヅル!総一郎にまで仕事仕事って言ってるのか!?今は飯の時間なんだぞ!ちゃんと飯食わなきゃダメだろ!総一郎!俺たちと向こうで一緒に食おうぜ!みんなで食べる方がうまいぞ!な!みんな!」


その言葉に役員たちは嫌だとオーラを出しながらも太陽は優しいですねと褒め称える。

「食事は終えた。もう席を立つ所だ。」

ちーちゃんが不機嫌な顔で吐き捨て書類を重ねれば

「ウソはいけないんだぞ!まだ、昼飯の時間になったばっかじゃないか!総一郎だけ誘ったから怒ってんのか?なら、チヅルも来いよ!俺は優しいからお前だって誘ってやるぞ!」

「フン、誰が貴様と食事をとるか!」

がたりと音を立てて椅子から立ち上がり見下す姿は、まさに帝王

「ちーちゃん、かっこいいなぁ」

思わず本音をこぼせば、黄堂の雰囲気が悪くなる。

「なんだよ?総一郎!

ちーちゃんって、チヅルのことか!?

なんで俺は黄堂って呼ぶのにコイツは名前なんだよ!」

「ハッ!いきなりコイツ呼ばわりか?随分と図に乗ったものだな。男をはべらかしたいなら、ホストクラブにでも行けば良かろうに。役員どころか、そーくんまで巻き込みやがって」

「なっ!なんだよ!俺が先に総一郎って呼んでたんだぞ!」


ここでようやく役員たちのフリーズが解けたらしい。

「なに?風紀員長てば会長の事、ちーちゃんなんて呼んでんの?」

「太陽に靡かないと思ったら、会長とデキてたんですか。」

「へー、あの会長が風紀員長とねー。」

「ちーちゃん。そーくん。なんて。ラブラブじゃないか!」

ライバルが減ったと、俺たちの仲を囃したてる。

それを聞いて、黄堂はちーちゃんを睨みあげて、指さす。

「分かった!総一郎が俺の事好きだから!チヅルはヤキモチ焼いていじわるしたんだな!ヒドイぞ!」

「何をどうしたらそーなるんだよ!キモい事言うな!」

思わずツッコミを入れれば

「総一郎!チヅルより、俺の方が綺麗だし可愛いぞ!総一郎が謝るなら一緒にいてやるぞ!」

と俺の腕を掴んでくる。

「離せ!触るな!」

「照れるなよ!総一郎だって俺の事好きなんだろ!俺も好きだぞ!」

「テメーなんぞ好きな訳ねぇだろ!俺はちーちゃん一筋だ!」

「あいつより、俺の方が可愛いし綺麗だし強いだろ!ほら!」

ずるりともじゃもじゃのヅラがとられ現れたのは、キラッキラの金髪にぱっちりとした空色の瞳の美少女顔。

「!?」

顔を見せた瞬間周りがざわめく。

「どうだ!?あいつより俺の方が可愛いし綺麗だろ!今謝れば、許してやるぞ?」

「は?こんだけ美人で料理上手で性格良いちーちゃんとテメーじゃ話にもなんねぇだろ!!人の嫁ディスってんじゃねぇよ!」

腕を掴みあげて手から逃げ出す。

くそ!ぜってー青タンできてんな。

「なんでだよ?なんでそんなヤツがいいんだよ?あ!そうか!なんか弱みでも掴まれてるんだな?」

「は?」

「チヅル!いくら総一郎の事が好きだからって悪いことしちゃいけないんだぞ!総一郎を自由にしてやれよ!」

「ちーちゃん。俺へこたれそっ」

あまりの会話にならなさに、俺が落ち込むとちーちゃんは俺の頭をポンポンと撫でる。

「っ!チヅル!総一郎に触るな!総一郎は俺が好きなんだぞ!総一郎!そっちにいないでこっちに来いよ!」


何がコイツをここまで駆り立てるんだろう。なんで俺にこんなに執着してんだ!


「ほぉーう?」

シンと静かな空気に、ちーちゃんの声が響く

な、なんだ?なんかゾクッとしたぞ?

ニヤリと笑ったちーちゃんはアレの顔面に水を勢いよくぶちまけた。

「うわ!」

「っ…太陽!」

「てめー!なにしやがる!」

固まってた副会長が慌ててハンカチを渡してやるとアレは顔を拭き、会計やスポーツ特待生やらが頭や服を拭いてやっている。

不良の一匹狼はハンカチとか持ってないからコッチにガン飛ばしてる。


ちーちゃんはコトリと水差しをテーブルに置いて俺の肩に手を置いた、


「人のに横から手を出したんだ、恨まれる覚悟くらいしているのだろう?意地汚い泥棒猫。

ほらほら?そんなに強く拭いたら、化けの皮が剥がれるぞ?」

その言葉にアレの動きが止まる

「化けの皮?」

思わずつぶやくと耳元に唇が寄せられ囁かれる

「アレが化粧してるの気づかなかったのか?」

「え?」

マジで?と顔を見返したら「マヌケ面」とクスクスと笑うちーちゃんがあまりに色っぽくて、周りのヤツや信者も顔真っ赤。

俺も不覚にもドキドキしちまったよ。


黄堂はハンカチに顔を押し付けたまま動かない。



「お前だけには見せてやる。と取り繕ったキレイなお顔を見せて目を奪い、お前だけは特別だといい脚を開く。

随分安い特別だな。

まさか一月足らずで6人も咥え込んでいるとは、流石泥棒猫、尻が軽い」

確認の為に見るハメになって気分が悪いとバサリと床に放られたのは、校舎内でヤる信者共と転校生の写真。


「まさか、そんな事」

「太陽?ウソだよね?」

「僕だけって」

「ヒミツ、て」

「誰にも言わないって」

「好きだって言ってくれたのに」

「太陽!お前ホモじゃねーったじゃねーか」


うわ!修羅場修羅場!不良くんだけは友情だったのかよ!ピュアだな

こんだけ証言も証拠も出ちゃったら


「騙してたんですね」

シンと静まる食堂に副会長が呟いた瞬間


「なんだよ!お前らが好きだって言うからヤらせてやったんだろ!なんで、俺を責めるんだよ!ひどい!サイテーだ!」

怒りに我を忘れて上げられた顔は

付け睫毛がズレ、アイプチがとれたせいでパッチリとしていた目は腫れぼったく。ファンデーションがとれたせいでソバカスが現れ、碌に手入れをしていないガサガサな肌や唇など見るも無惨な有様だった。

「っ!」

それを見て取り巻き達は後ずさる。

「お前らなんか、きらいだー」

いつものようにバタバタとうるさく出て行く姿を追う者はない


「…化粧ってすげーんだな」

「そーくんは見る目ないな」

「何もしなくてもこんだけ美人なちーちゃん見てるから、勘違いしてたわ」

「何もしないとは失礼な、俺は常に切磋琢磨しているぞ?」

「申し訳ございません。

弛まぬ努力と無駄に手を加えなくても素晴らしい美貌の間違いでございます。」

「ふむ、なら、許してやる」


「さて、そーくん、仕事に戻るぞ」

「りょーかーい」

茫然自失な元役員達を無視して出口に向かう。

食堂を修羅場にしといてなんだが、一応昨日、食堂使用警報は出してるから、ここにいるのは自己責任で来た生徒な訳だ。


食堂を出た瞬間、そーくんに手をとられる

「ちーちゃん」

「ん?」

「色気出し過ぎ。これ、絶対不届き者出るぞ」

なんで、そんなに怖い顔してるんだ?

色気~とか昔から言われてたハズだが?

「?まあまだ風紀員室いるし、守ってくれるだろ?」

「…すげー使われてる感するっ」

「なら明日の弁当はいらな「いる!」

クスクス。さ、次は集会の準備だ、行くぞ」

「ハア、わかりましたよー」



集会では、既に告知済みの役員の解職発表と説明会となった。


壇上に現れた理事長は

「私が不在の間に、私の秘書だった男が横領や詐称をし、不正入学させた者が騒ぎを起こし、役員、一部生徒も騒ぎを助長したそうだね。

監督不届きで申し訳なかった。すぐに不法侵入者は排除し、罪を犯した者には相応の罰を与える。被害を受けた者達への慰謝料や損害賠償は速やかに対応して行くので、今少し時間を欲しい。」

と頭を下げ

役員は学業免除の権利も不法とし、既に留年確定。

職務を全うしなかった間の役員部屋の使用料、器物破損や暴行傷害の慰謝料や修繕費の支払いが親へと告知され、

転校生信者達は一匹狼以外退学が決まったようだ。

一匹狼の彼は、きちんと罰を受け、留年するそうだ。まあ、アレとの関係を考えても一番まっとうだったのは彼のようだ。


こうして、この騒ぎは落ち着き、学園は平穏を取り戻した。


と、いきたいが、後始末やらなんやら山積みで俺は未だ不眠不休だ。

あー、やばい眠気が…

「ちーちゃん!」

そーくん?なんでそんな焦ってるんだ?ダメだ目が開かない。そーくんの手が額に触れる。ああ、あったかい手だな…


***(サイド・総一郎)


どうみても顔色が悪かった。

隈も酷いし、生徒からも休ませてあげて!と直談判されたくらい無理してるのが分かったから説得しようと部屋に入ったのを追って入れば真っ青な顔して倒れてるちーちゃんを発見。

「ちーちゃん!」

声に反応するようにピクリと眉が動いたから気絶ではなさそう。

脈も呼吸もおかしくはないし、熱もないから過労と睡眠不足だろう。

慌てて抱え起こしてベッドに運ぶ。


「あんま、無理すんなよ。」

起きた時に食えるようになんか買ってきとくか。

ちーちゃんの為に出来る事なんか、そんくらいしかないしな


ちーちゃんは学園の為に頑張ってくれて、アレを学園から追い出してくれた。俺には気兼ねなく話せる友達と飯を与えてくれた。

結局はちーちゃんばかり動いてる。


ちーちゃん、俺はお前に何が出来るんだろう?


不甲斐なさにショボくれながら併設のスーパーで飲み物やら色々買う事にしてカゴを持つ。

ケーキなんかの甘い物は今は控えた方がいいよな。紅茶は、部屋で淹れてるし

風邪でもないからスポーツドリンクにお粥、でもないし


「あれ?椎名君、お買い物?」

振り向いた先には

「理事長先生、どーも。」

ニコニコと笑う理事長先生は若い。まだ、20代だったよな

「夜食でも買いに来たの?」

「…あ、ちーちゃ、じゃなくて!生徒会長が過労で倒れたんで軽く食料を」

「ちいったらまた無理し過ぎたか。まあ、今回は俺が悪かったから怒れないか。あ、明日、掛かり付け医呼ぶから安心して?」

「え、理事長先生、ちーちゃんと、どう言う関係なんですか?」

「ん?不肖の兄でーす」

「あ、兄?ってお兄さん?え?ちーちゃん兄弟いたんだ。」

「ふふ。にしても、ちいに恋人がいたなんてびっくりしたよー。」

「い、いえ、友達ですからっ!」

「隠さなくてもいーのに。ちいの接し方見たら君が特別なのは分かるよ。ちいを支えてくれてありがとうね。」

「俺はなんもしてやれてないですよ。いっつも、ちーちゃんばっか頑張って…。」

「君がいたから最後まで頑張れたんだと俺は思うけどなぁ?

「そんなこと…。」

「君が思ってるより、側に味方にいる事は、ちいには凄く意味があるんだよ?

ちいだけならきっと生徒会室を移動する前に倒れて生徒の手で立て直せなかった。ちいは、人に頼る事を知らないまま傲慢の仮面を被ったままだったろうね。ちいが協力して何かやるって凄く少ないんだよ。」

「そう、なんですかね?」

「あ、椎名君は恋人だし、ちいのご飯食べた事あるよね?」

「え?は、はい。」

「ちいにはそれがとっても嬉しい事だからこからもどんどん頼むといいよ?」

「え?」

「ちいのアレは愛情表現で愛情確認だから。たくさん食べて、必要とされてるって安心させたげて!」

「?はあ?」

「あ、買い物はちいの差し入れだったね。なら、プリンとイチゴアイス買っといてあげて?好きだから。」

「分かりました。」

「ちいの事、よろしくね?」

ニコニコと笑いながら手ぶらで立ち去る理事長。

何しに来たんだ?あの人

とりあえず、言われたものと飯を買う。


側にいて飯食うのが役に立つんだろうか?

ああでもなんの気兼ねもなく過ごせる相手がいるのは助かるもんな

うん、出来る事からしよう


とりあえず今は様子見だな

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