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1、会長様と風紀 

BL学園物 

俺の名は椎名総一郎。

金持ちのお坊ちゃんが数多く通う全寮制男子校、王道学園高等部二年で風紀委員長をしてる。


この学園は生徒の人気と家柄に左右されるという悲しい階級社会だ。

あ、俺は家柄はたいしたことない。

風紀は基本実力制。

俺は顔の良さと腕っぷしで選ばれた。

それに引き換え生徒会役員たちは選ばれしモノ。

顔よし、家柄よし、人柄はあんまなし!

会長は俺様の傲慢男

副会長は腹黒王子

会計は節操なし

書記は無口

庶務はいたずらっ子という名の愉快犯


俺と会長さまはヒエラルキーのトップ同士かつ、抱かれたい男ランキングの1位2位を争うライバル的存在。

まあ、個人的には会長さま個人に何の敵意もないがな。

仕事はきっちりやるし、上から目線の物言いは実力あるからしゃーねーかな。

そんな平和?な学園が新学年一ヶ月で荒れた。

俺ら風紀が休日なくなるくらいにだ。

5月末。ボサボサ頭に瓶底眼鏡の煩いガキみたいな転校生が来て、会長さま以外の生徒会のやつら、風紀の副委員長、役員以外でも人気のあるヤツを軒並み陥落させた。

あれの何がいいんだ?俺や会長さまにも言い寄ってくるんだが、会長さまが堕ちたらやべーなぁ。


学業は休みでも仕事はある。

どうしても終わらせたい書類を抱えて会長さまの部屋のチャイムを押すが出ない。

ドアに郵便受けでもあればなぁ

仕方ない。部屋に置き手紙して置こう

会長様に限ってはヤってる最中なんて事はないだろしな。

え?出直さないのか?面倒くせーじゃん。俺には時間はない。すでに夕方なんだ!腹減ってんだ!

幸い俺のカードは風紀委員長スペック。どこにいるか逐一報告されるかわりに会長さまの部屋にも入れる!職権乱用だが、背に腹はかえれない!おじゃましまーす!…ん?水音?あ、風呂中か!そりゃチャイム聞こえないよな。

待つか、いや全裸で出てこられたら困るな。とか考えてたら風呂の内扉の音がした…

あ、ドライヤーの音。ドライヤーかけるなら服は着てるよな?待つか!

しばらくしてカチャリと扉の開く音がして出てきた男前な顔がひきつった

「わりぃな会長さま。急ぎの仕事があったんで邪魔してるぜ?」

いつものように言い合いになると思ったのにため息一つの反応しかない。

ここは「勝手に入ってんじゃねー」て怒るとこだぞ?

「珈琲と紅茶、どっち派だ?」

「は?…コーヒー、だけど?」

「ソファー。座ってろ。」

え?何?淹れてくれんの?

あ、コーヒーの良い薫り

「砂糖やミルクは?」

「いらね」

「…インスタントだが。で?なんだ」

音もなく置かれた高そうなカップに入った珈琲と交換のように書類が引かれる

「最初のにサイン漏れ、と警備の確認と器物破損の確認書類。」

「チッ!…これ書記か。本当に役立たずどもだな。で、こっちはヤツか。」

すんげー早さで訂正されてく。

「アレが来てから散々だな。」

「…ああ。」

あ、疲れてるから大人しいのか… 隈出来てんじゃん。

「役員、リコールするか?」

「それはもう考えている。が、元凶をどうにかしないとな。ほら、これでいいか?」

「サンキュー。これ終わらせねーと、おちおち飯も食えなくてな。」

「…なら、食べてくか?」

「え?」

「落ち着かない食堂よりはマシだろう。」

「え?あ、ルームサービス?」

「いや、自炊だ。」

「…え、会長様、料理出来んの?」

「簡単な物ならな」

「…」

「フン、意外か?」

「いやぁ、良い男は料理も出来んだなー!」

「…。貴様、それは嫌みか?」

「あ?」

「抱かれたい男ランキング一位はそっちだろう?」

「それはお前が会長になった時に恋人以外とは関係は持たない宣言したせいだろ?なーんも言ってない二位の俺に票が回っただけで!」

「…椎名、お前。」

「あ?」

「前回のランキングの時より男っぷり上がってるの理解してないのか?」


***

side千弦


急な転入で学園にやって来た、黄堂太陽は予想の斜め上を行くヤツだった。

まず、見た目がありえない。ボサボサのヅラだと分かる髪に瓶底眼鏡。小柄な割りに声はデカく暴力的で自己中心的すぎ、揉め事を起こす天才。それなのに、役員たちは何故か夢中になり仕事が滞り、俺は仕事に忙殺されている。

昨夜、徹夜でなんとか書類を片付けて仮眠をとり、風呂から上がれば、風紀委員長の椎名が書類片手に不法侵入していた。もうツッコミすら入れる気力はない。どうせこいつも早く仕事を終わらせたいのだろう、と茶を出して書類を処理し、気にかかったので飯に誘ってみたら、思わぬ言葉が返ってきた。


俺は真実を言っただけなのに、何故そんな唖然とされなくてはならんのだ。


「なんだ?」

「…いや、会長さまに顔、褒められるなんて思ってなかった。」

「お前な…というか『会長さま』呼び、止めてくれないか?俺たちは同等だろうが。」

「ならなんて呼べばい?名字?名前はアレが呼ぶから嫌だな。愛称でもつけるか?」

「…お前、俺に『そーくん』とか呼ばれても良いのか?」

「おう!いいぜ?俺が『そーくん』なら、そっちは『ちーちゃん』な!名前、千弦だったよな?」

「…フン、好きに呼べ。どうせ親しく名を呼ぶようなヤツはいないからな。」


生徒会の奴らも役職呼び、名前を呼ぶのはあのウルサイ馬鹿だけとはさみしい環境だ。


「さて、食事の準備してくる。書類、片付けとけよ?」

「おお!よろしくー!」


今日の献立は作り置き用に多く作ったから足りるだろう。

ご飯と味噌汁、筑前煮に、肉入りきんぴらごぼう、かぼちゃの煮付けとひじき煮。む、塩分取り過ぎだな…いや、食欲ないからコレくらい、いいか…。


「おー!和食とか、すごいな!いただきまーす!」


ああ、誰かに食事を振る舞うのはいつ以来だろう。


*** side総一郎


「はー。こんな美味い飯をゆっくり食えたの久しぶりだー!」

食後の茶も飲み干し机に伏せば、洗い物をしてるちーちゃんが「そりゃ良かったな」と小さく笑った。

「洗い物くらいするのに…。」

「今日はいらない。」

「え?今日は、って事はまた飯呼んでくれんの?」

「アレに対応する為にもお前に堕ちられては困るし…誰かと食べる方が、美味いからな。」

うわっ!会長様のデレとかスゲー貴重じゃね?

「えー?胃袋つかまれたら、俺はちーちゃんに落ちちゃうじゃん?」

「フッ、アレと違って俺はちゃんと釣った魚にも餌はやるタイプだから安心だぞ?」

「あー、アレは網で無理やり掬って地面に置いて放置だよな。たまにヤツらが可哀想に思えるわ。」

「フン。水に戻す気はないがな。鳥か猫にでも喰われればいい。」

「確かに。とっととアレ始末して、ゆっくり飯が食いたいぜ。」

「まったくだ。料理する時間どころか食事の時間すらないからな。」

「ま、なんかあったら言ってくれよ!ちーちゃんの為ならなんでもするぜ?」

嫌そうに寄せられてた眉が更に寄る。え?どした?

「…。なら、生徒会室の閉鎖を手伝ってくれないか?」

「生徒会室の閉鎖?」

「今、あいつらがアレを連れてくるせいで役員以外が立ち入り、情報漏洩の危機だ。もう、あいつらごと立ち入り禁止にしたい。が、その後に俺が堂々と仕事する大義名分と場がない。」

「ああ、アレが下手な事騒ぐとバカなヤツは引っかかるだろうな。」

「現在、不仲と思われている俺とお前が同じ意見で仕事をしようとすれば、反対意見は出ないだろ?」

「だな、そりゃいい。あ、なら俺の執務室に来いよ、俺今出突っ張りだし、留守預かってくれんなら下のヤツら使えるから助かる。」

「それはかまわんが、いいのか?」

「学園の運営の為ていう大義名分の元にちーちゃんと話す機会増えるからな!せっかくまっとうに話せる相手出来たんだ。で?作戦は?」

「お前がいるなら今の内に必要な書類やデータを移してしまおう。詳細は行きながら話す。」

「あ、だから制服着てんのか。っか今からか?」

「今なら役員以外学園に入れないし、あいつらは談話室を貸し切りにして遊ぶそうだからな。」

「うわぁ、なら善は急げだな!ちーちゃんもう行ける?」

「ああ。」

「んじゃ、参りましょうか!」

ニヤリと悪巧みな笑みを交わして立ち上がった。


暗い校舎を足早に歩く。

「前、あいつらに仕事しろと注意したら、アレが書類をゴミにした事があった。なら、パソコンしながら文句を言ったらどうなると思う?」

「あー、パソコンがゴミになるだろな?」

「ああ。会長の俺のパソコンには急な電源OFFや破壊をされるとセキュリティで他のパソコンも使えなくなるようにされてる。今までアレが暴れたりで、備品もだいぶ破損してる。それらを利用して生徒会室を改修する。鍵も変えてやる。ま、その頃には役員じゃなくしてやるがな。」

「ハッ、そりゃいい。」

「役員以外の生徒には、生徒会室閉鎖の理由を告げ、間借りして俺だけは仕事を続けると伝える。」

「職務怠慢をアピールしてあいつらを引き摺り下ろすっう訳か?」

「解職要求を出してもいい頃かもしれんが、出来ればアレをどうにかする手立てが出来てからにしたいな。」

「理事長の甥っ子らしいし、厳しくないか?」


生徒会室到着!

ちーちゃんに言われて台車を横の倉庫から出してくると、凄い速さで書類がダンボールに詰められて重なっていく。これ積めばいんだよな…?


「理事長の甥っ子。それが、どうにも腑に落ちないんだがなぁ。」

ダンボールを積んでたら、パソコンをいじりながら呟かれた内容にハテナマーク

「腑に落ちない?どういう事だ?」

「理事長には確かに兄弟はいる。だが、子どもがいる歳じゃない」

「じゃあ、理事長の隠し子とか、養子とかは?」

「それはない。今の理事長はまだ26歳で、婚約者がいて来年結婚予定だ」

「じゃあ、理事長も魚だったとか?」

「それはないと思うが、黄堂に関して情報が少な過ぎて…。何か一つでも分かれば作戦も立てられるんだがな。」

「そうだよな、5月末に来てまだ一月経ってねーのにこの騒ぎだもんなぁ。」

「今まで何をどうして生きてきたのやら、あ、これも頼む。」

「ん、よいせっと!書類こんなもん?」

「ああ。とりあえず、それだけあれば仕事はできる、後はデータだけ。」

「しっかし、ちーちゃんの机とヤツらの机の差が凄いな」

「今週は座ってもいないからな。アレが俺を誘いにくる、断る、騒ぐ。ヤツらがなぐさめて食堂でオヤツ、騒ぎを起こして寮に戻る、騒ぐ、食堂で騒ぎながら夕飯。のパターンだ。」

「ちーちゃん誘った後に、俺か体育委員長の坂木を見つけて追いかけ回すのもな?」

「黄堂の頭は、ハーレムを作る事しかないんだろう。」

「みんなにチヤホヤされて当たり前、じゃなきゃダメ!って感じだよなー。頭おかしいんじゃね?」

「みんなはみんなでも、美形や権力者だからちゃんと打算があるだろ。」

「アレさぁ、俺とちーちゃんならどっちをより落としたがるんだろうな?」

「お前だろ。1位の人間だし、生徒会はほぼ手に入れたが風紀はまだ一人だ。」

「なら、ちーちゃん、あんまり突っかかると危なくないか?」

「なんだ?心配してくれてるのか?」

「当たり前だろ!せっかくの同志だぜ? しかも、こんな馬が合うとは思ってなかったし!」

「それは、同意だな。」

「あ、なあ、落ち着いて長期休みになったら一緒に温泉行こーぜ!中学ん時は親いなきゃだし金なくてダチと銭湯だったんだけど高校生なら行けるだろ?」

「温泉好きなのか?」

「おう!家族で1度しか行った事なくてよー!高校になったらバイトして好きなとこ行こう!って思ってて今貯金中!」

「…いいな」

「え?」

「俺は、自分でこれがしたい!ってのは今までなかった。しなきゃいけない、ばっかりで考えた事もなかった。自分で金を稼ぐ事もしたことはないし、あってもそれは結局親の金があったからの利益だ。」

「まあ、俺ら言ったってまだガキだし?親いなきゃなんも出来ねーんだから仕方ないだろ!高校出るまでになんか一個でも見つけりゃいいって!ま、とりあえず、俺の野望に乗っかってみねー?」

「自分で稼いで旅行か。第一歩にはいいかもな。」

「なーに、夏休みがちゃんと迎えられりゃ今年の冬には行けるぜ?」

「なら、さっさとゴミ掃除して休めるようにしないとな。」

「おう!」

「よし、終わった。コレでオシャカになってもどうにでもなる」

「うっし!じゃ、さっさと運ぼうぜ。万が一見つかったら面倒だ。」

「そうだな。」

台車を押して風紀委員室を目指す。

この棟は役員しか入れないし、外からじゃあ姿が見えないようにされてる。あのバカ共が来ない限り見つからずに済むが、アレは人外だから用心しねーとな。

無事、風紀員室へ到着!

「意外と広いんだな」

「まあ、人数いるし。しょっぴいた奴ら置いとくしなぁ」

「取り調べ室、執務室、仮眠室まであるのか?」

「仮眠っても、大半は被害者寝かす用だけどな。アレが来てから使用頻度ぱないわー」

「だろうな」

「荷解きは?」

「少ししたいが、執務室を片付けなくてはならんだろ?」

「あ、なら心配ねーよ、ほら」

開いた先は机と空っぽの棚。

「性に合わなくて使ってねーからさ。掃除はしてるから大丈夫だぜ?」

「一時間あればいけそうだな」

「俺も手伝うし」

「そっちも仕事あるだろ」

「一時間くらい平気だ。美味い飯食えて元気出たからな!」

「そーくん」

「ん?」

「…ありがと」

真っ赤になる程照れてるちーちゃんは可愛いかった。

思わず頭撫でたくらい。

「もう少し一緒に頑張ろうぜ!」

「…ああ」

「ちーちゃんの髪サラッサラ!スゲー綺麗だよなぁ」

「そ、そろそろ、片付けたいんだが?」

「あ、わりぃ!ダンボール下ろしゃい?」

「ああ、頼む。俺は書類をしまうから」

1時間もせずに片付け終了!

二人して黙々と書類を捌き続け、交代で仮眠を取り朝を迎えた。

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