7月 皇子4
「魔術披露大会」の日になった。
大変だったなんとかノウン出る様に説得するのに7日、魔力制御に21日、なんとかものになって形になったのが3日前、そして昨日の夜までリハーサルをしたおかげで疲れたが、素晴らしいものができた。あとは本番で成功させれば良い!
心配なのは、うるさく囀って来る奴らとノウンの家族が何も言ってこないことだ。
なにか仕掛ける気だろう好都合だ。ノウンを保護して帝国へ連れて帰る口実ができる!
お前達のことは調べさせたからな!
ステージにどうやら仕掛けが有る様だ。良いだろう!迎え撃ってやる!
僕とノウンは揃いの衣装を誂えた。濃紺のローブに濃紺のスーツ一揃い唯一各所飾って居る宝石の色が違う。僕は紫水晶でノウンは黒水晶だ。
顔をあげたノウンに観客は息を呑む。肌を磨いて伸びた髪を切って整た。
白い肌に黒髪と切長の緑の瞳がよく映える。
秀麗な顔がそこに有った。
美しいノウンに皆息を呑む。
お前達が見下して居た彼はこんなに美しい存在なんだぞと
それを今から思い知らせてやるぞと。
僕は魔力を放った。
ステージから煙がモウモウとたちこめあたりが見えなくなった。観客達は演出だと思って居るがそうでは無い、ステージの仕掛けが魔力に反応したんだろう。
想定内だ。実行犯の目星はついて居るので、兵士たちには確保を命じる。
ここから僕が仕掛けを破壊すれば良いそう考えて居たが、ノウンが仕掛けの方へ進んで行った。
「ノウン下がって!」と声をかけた。
でもノウンは仕掛けに向かっていくそして手をのばした。
そこからは神秘的だった。
ノウンは自身の魔力で仕掛けを解除したのだ。
魔力が解放され帰っていく姿は美しかった。
彼は魔力を暴走させて居るのでは無い。
解放しているのだと。