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夏銀河をわたりゆく、デネブは未来星をのせて

作者: 逢乃 雫

青に舞う


はね雲が白い軌跡を



描くように


松風月の空は遥かに



見渡す丘から


海へ想いを馳せながら



青葉が織りなす


夏暖簾の先に



佇む半夏生(はんげしょう)


花びらは



白く葉の翠まで


半化粧のように染めて




ふわりと頬に


夕風がそよぐとき



ラグラスの穂先には


夏がさゆらいで



待宵草(まつよいぐさ)


花は月のしずくを



大地にそっと


ちりばめていくように




夏の銀河を


わたりゆく鳥のように



夜空に浮かび上がる


星の海へと



(そら)を越えゆく


はくちょう座の星々は



光る尾に


デネブを煌めかせて



季節から季節へ


宙をつないでいく


星の渡り鳥




心の銀河を


わたりゆく月のように



七月の空へ


月を追いかけるように



白鳥のくちばしに


輝くアルビレオ



青い空と海の(しずく)


紅い太陽の滴が


夏色を


描きながら




デネブの星は


宙をわたり


未来を照らすように



日々は様々な


景色を


重ね描くように



これから向かう


夏にもいくつもの


景色と


こころを重ねて



未来はきっと


重ねてきたものに


続いていく景色だから




絵の具のように


重なり合い


深まりゆく色も



光のように


重なり合うことで


澄んでいく色も



季節とこころの


銀河を流れる様々な色と



いくつもの


光景の一つひとつを


大切にできたら




はね雲が白い


軌跡を描くように

 


丘から見上げる


星の海へ想いを馳せて



ふわりと頬に


夏風がそよぐとき



情熱のしずくを


ちりばめていくように


待宵草は紅く



夏銀河をわたりゆく


デネブは、未来星をのせて


















はくちょう座は、6月下旬から天の川の真上に見え、「夏の大三角」の一つ、デネブ(アラビア語で「尾」)があります。アルビレオ(アラビア語で「くちばし」)は、オレンジと青の二重星です。


ラグラス(ギリシャ語で「うさぎの尾」)は、名前通りの花や穂です。松風月まつかぜづきは6月、待宵草まつよいぐさは、夕方から黄色の花が咲き、夜に紅く染まります。光は、三原色(青・赤・緑)が重なると白になります。


半夏はんげという植物が伸びる時期は一年の折り返しで、「半夏生はんげしょう」と呼ばれ、今年は7月1日です。半夏生という花は、葉も白くなり「半化粧」が別名で、花言葉は「内に秘めた情熱」です。


季節の星や花をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
冒頭の「松風月の空」につながる光景が良かったです。松風月というのですね。 「半夏生」が「半化粧」のように染めても、鮮やかだと思います。色も季節もかかっていて、印象に残ります。 「夏の銀河をわたりゆく鳥…
もう7月がやってきたのだなと、この詩を通して強く実感しました。 力強さも感じるのに、柔らかさがしっかりと包んでいるところが素敵でした。 「佇む半夏生の 花びらは 白く葉の翠まで 半化粧のように染めて」…
半夏は逢乃様の詩に教えていただいた植物です。とても驚いたことを覚えています。季節と植物の繋がりの深さまで教えていただけたようでした。 こうして重なる記憶やお言葉を思いながら後半を読んでいると、慌しくと…
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