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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第五章

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195 リーフ始動

( リーフ )


そうしてステージの裏手に急ぐと、既に出場予定の参加者達が一同集合していて、恐らく俺が最後の一人。



しまった!!出遅れたか……!



お祭り男にあるまじき失態に、グゥ……!と悔しさに唇を噛み締め、本日のライバル達へ視線を向ける。


そこで目にしたものは────……。



ピカピカ……。


ギラギラギラ〜ン!!



ゴージャス!プリティー!セクシ〜な、美女!美女!美女!


どこを見てもボンっ!キュッ!ボンっ!ぷりり〜んな美少女達の大集団であった。



「 お……おおお〜……?? 」



恐らく歳は全員10代〜20代くらい。


そしてそんな若いお嬢さん達が、ほぼ裸に近い下着もどきを着用しているものだから、視界は9割以上が肌色一色だ。



あ、あんな裸に葉っぱ程度の服で踊って大丈夫……??



本気で心配でゴクリと唾を飲み込んだが、俺の心配など何のその。


熱狂する観客達の声に誘われる様に、ゾロゾロとステージへの移動が始まってしまった。



「 へいへ────い!!!


喜べ!!男性諸君!!これからお待ちかね!!


健全の部で唯一のセクシー担当枠!!


< ダンス大会 >が、はっじまっるぜ────!!!


15歳未満のお子様にはちょ〜っと刺激が強すぎるかな〜??


さぁ!それでは美しい花たちのご登場だ────!!! 」



次々とステージ上に上がっていく若く美しいお嬢さん達に、男性観客達は鼻の下を伸ばし、ここ一番の歓声をあげる。


参加者達はその魅力的な肉体を左右に揺らしながら、観客たちに向かって手を降ったりウィンクしたりと各々のパフォーマンスを出場前からして、やる気は満々!


俺も負けないぞ〜!


────ゴッ!と燃えながら意気揚々と美女達の後に続き、俺もステージの上へ上った。


死ぬほど盛り上がっている男性観客達と────……死ぬほど盛り下がっている女性観客達の差が凄い。



プラスマイナスゼロ的な?



そんな事を考えていると、レオンやモルト、ニールがいるスペースを見つけたので、ブンブンと大きく手を振った。


すると、モルトとニールはブルーベリーを濃厚にしたかのような顔色で固まり、レオンはソワソワもじもじしながら手をちょこちょこと振り返してくる。



レオンはともかく2人は、先ほどの喧嘩で怪我でもしたのだろうか?


顔色が凄く悪い。



少々心配しながらも、俺は並んでいる最後尾で手をぐるぐる回し準備運動をして次々と披露されるダンスをぼんやりと眺めていた。



美しいお嬢さん達の踊りは、各自得意なダンスとだけあってかなり完成度が高く、セクシー、キュート、可憐────などなど、自身の魅力をこれでもかと魅せてくるものだ。



それが披露される度に観客席からは、うおぉぉぉーーーという野太い声が聞こえ、盛り上がりも絶好調!!


点数は全員が踊り終わった後、観客たちからの投票で決まるらしく、その反応からもかなりの接戦が予想される。


誰が優勝してもおかしくはない。



「 これは全員美しすぎて選べな────い!!!


しか────し!!


優勝者はたった一人!!


この子だ!という子に一人一票投票してこれから優勝者を決定するぜ────!!!


じゃぁ、これから投票用紙をくば────……。 」



投票の説明をし始めてしまったウッカリ司会者のおじさんの肩を、俺はちょいちょいとつつく。



「 俺、俺。俺も出場者〜。 」



自分を指差しニコニコと笑うと、司会者のおじさんの目は点になり、観客達のざわめきもピタリと止まった。


そして────……。



────ドッ!!!



観客達から大きな笑いが起こり、司会者のおじさんも目の前で腹を抱えて笑い出す。



「 ぶはっはっはっ────!!!


ぼっ、坊っちゃんも踊んのか────い?!!


いや、すまん、すまん!!!確かにエントリーしているな!!


────へいっ!!野郎どもっ!!正真正銘本日最後の< ダンス大会 >出場者!!


え〜……と、名前は、リィィーフゥゥ〜〜〜!!!


それじゃあ、セクシーなダンス期待しているぜ! 」



観客達はゲラゲラと笑いながら、ピューピュー!と口笛を吹いたり、手を叩いたりと、ここ一番の大騒ぎを始めた。



「 坊主ー!頑張れよ────!! 」


「 ははは────!!セクシーなの頼むぞ!!! 」



これはこれは……。


俺、一番目立ってない?



大満足で笑いながらレオン達の方を見ると、モルトとニールは先ほどと対照的に完熟トマトの顔色で震え、レオンは未だかつて見たことないほど目を輝かせて、ビッタンビッタンと迫力満点な拍手をしている。



実はレオン少年はダンスが結構好きなようで、俺が毎朝しているラジオ体操は完璧にマスター。


俺が凄い凄いと褒め称えると、更にアレンジを咥え剣の型にまでその動きを取り入れるという偉業まで果たした。


ドノバンはそれをまともに受け「 おまっ、王宮剣術をそこにって……!? 」なんてびっくりしていたし、どうやらそうとう凄いダンスへと進化させたようだ。


その後も至るところでそれを披露してきたし、多分ダンス好きなんだろうな〜と思っていたが、今の反応を見る限り俺の予想は大当たりであったと確信を持った。



今度盆踊りも教えて一緒に踊ろう!



コチラを注視する沢山の視線を全身に受け、やる気が盛り盛りでてきた俺は、流れる様な動きで両手を上へ。


そして────……。



「 〜♬〜〜〜♬♬


チャンチャカチャカチャカ〜♬ 」



独特の音楽をオリジナリティーに溢れたハイスピードバージョンで口ずさみ、それに合わせて体全体と足でリズムを取りながら大きく拍手。



おおおっ???!と目を見張る観客達を置き去りに、「 ハイハイハイ!! 」と大きな掛け声をあげた。


そしてビシッ!!と手を大きく左右に開きながら片足で飛び上がりそのままシュンッシュンッ!とアクロバティックな動きと共に歌い出す。



「 ────はっ!月がぁ〜あ出た出たぁ〜月がぁ〜出たぁ〜あ、ヨイヨイ!!〜♬ 」



歌に合わせたキレッキレのオリジナルスーパー盆踊りを披露し始めると、シーンと静まり返ったその場に、突如わっ!!と大きな歓声と拍手があがった。



「 い、いいぞー!! 」


「 うおおおお!!!す、すげぇ……こんな踊り見たことねぇぞ!! 」



驚く観客たちの声に調子に乗った俺は、その後女の子のアイドルグループが踊っていた踊りを面白ろ半分で混ぜ込んだオリジナル盆踊り。


更に空手の型を取り入れた盆踊りも続けて披露。


そうなれば拍手喝采にプラスして、笑い声が混ざっての大歓声となった。



これは高校時代クラスでやった文化祭にて、俺が発案、企画した男子学生全員で踊る創作盆踊り。


毎日毎日遅くまで皆で練習したダンス、これをもう一度披露する時がくるとは思わなかった。


ニッコニコのりのりで踊る俺に、ステージの上にいるお嬢さんも司会者もお腹を抱えて笑っている。



手応えバッチリ!


密かにガッツポーズをし、更に " なんか気分がいいから、孤児院でよくやった『 おいも体操 』や〜っちゃお〜っと! " と目論む。



俺は、ハイッハイッ!!と空手の型型を音楽に合わせてした後、両手を前方に出しピタリと止まった。



" 何?まだ何かあるの? "


そう言わんばかりの観客達を前に、俺は漁師さんに教えて貰った網を引っ張る動きを、かなり精密かつ完成度の高いパントマイムで披露しながら、新たな歌を歌い出す。



「 おっいも〜美味し〜い♬おいっも〜沢山とれたよ、おいも〜♬ 」



そしてパントマイムの次の動きは、漁師さんスタイルで収穫したお芋をリレーで運ぶ動きへ。


横にブンブン手を振って、それに合わせて足を前にピッピッと交互に出す。



「 お腹に〜やっさしぃ〜おいっも〜♬皆大好きおいも〜♬! 」



そして最後は両手で大きくハートを描き、完璧なフィニッシュ!


更にテテンッと片足を前にして止まると、全員がブハッ!!と大きく吹き出し崩れ落ちた。


お腹を抱えて地面に転がりながら、「 これwww反則だろぉー!!www!!! 」とコチラを指さし笑っている。


そんな中、司会者さんがヒーヒー笑いながら近づいてきて、観客達に向かってマイクで喋る。



「 ヒィッヒィヒィ……!!これもう優勝でいいだろうっ!?


大会の趣旨だいぶ変わっちまったけど、100点でいいだろっ!? 


どうだぁ────?皆!!! 」



「「「「 100点満点────!!!! 」」」」



未だ笑い止まぬ観客達からそんな答えが帰ってくると、同じ参加者のお嬢さんたちは笑いながら俺の肩や背中を叩いてきた。



「 度胸あり過ぎでしょwww 」


「 負けたわwww 」



そんな少年漫画のライバル役みたいな事を言いながら、バケツリレーの様に、優勝トロフィーとあのスケスケエッチッチな踊り子の服を握らされる。



なんと俺、優勝した!



正直この優勝商品はいらないけど、とりあえず嬉しくてガッツポーズをし、俺はそれらを抱えたままレオン達の方へと走る。



「 おーい!レオン!モルト!ニール〜! 


俺も優勝したよ〜! 」



そうしてトロフィーとスケスケ服をヒラヒラと振りながら走り寄っていったのだが、モルトとニールは両手で顔を覆い隠し上を向いていた。



「 ???何、何??さっきの喧嘩で鼻血でも出た? 」



「「 ……いえ、ちょっと俺達の覚悟が足りなかっただけなんで。」」



────覚悟??一体何の……??



そう思ったのもつかの間、すぐにハッ!と気付いた。



多分これ、アレだね。


勝者の覚悟の事だよ。



ズキンっ!と痛む胸を抑え、つい今し方持っていた嬉しい気持ちが勢いよく引いていく。



僅か12歳の若者がその域に達するとは、恐るべし〜!


" 楽し〜い!俺、優勝ウヒョ〜! " なんて軽く考えちゃって、何だか恥ずかしい!!



ああぁぁ〜と凹んでいると、レオンがスッと前に立ち僅かに赤い顔で「 素敵でした。 」と言ってくれた。


するとギュギュん!と機嫌が向上し、直ぐにレオン方へ顔を向ける。



「 そうだろう、そうだろう!凄かったかい?俺のダンス! 」



そう尋ねると、レオンはうっとりしながら言った。



「 はい。まるでカユジ虫の体当たりの様でした。 」



?????


それ、褒めてる?ねぇねぇ、褒めてる??



俺の頭の中には、ピョンピョンと飛び回るカユジ虫の姿が。



とりあえず褒めてくれたことに対してお礼は言ったが、うう〜ん……と頭を悩ませてしまう。


そんな葛藤を抱いている最中、またしてもボボォ〜ンという鐘の音と共にアナウンスが響き渡った。



『 間もなく健全の部最後の大会< 腕相撲大会 >が始まります〜。


参加の方はステージの裏手に集合して下さい〜。 』



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