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179 最近の性格

( リーフ )


レオンはクールそうに見えて、実は物凄い負けず嫌いの性格をしている。


そしてそれは日に日に加速し、最近はそれを外によく出す様になってきた。



それは別にいい。



悔しさからひたすら努力する姿は凄くかっこいいし、レオンに至ってはその悔しさをバネに強くなろうと思ってくれるなら、まさに棚からぼたもち!


全然ウェルカムなのだが────……。



いかんせんその方向性が、とんでもない方向へと突き抜ける事が多々ある事が問題だ。



ムッ!として、自分の何が悪いか全然分かっていないレオンを見て……大きく息を吐いた。



仕事に関して一切の妥協を許さぬ責任感の塊のレオンは、常により良い物を主人の俺に提供せねば気が済まない。


恐らく、今言っている事もその一種だと思われる。



「 …………。 」



────チラッ!


レオンを羽交い締めにしたままカルパス達やモルトとニールの方へと視線を向ければ……皆で和気あいあいと、今度の教会のイベントについて話している姿が見えた。



こうなっては、とにかく納得するまで止まらない。


皆もそれが分かっているから、この扱い……。



俺はレオンの背からヨイショと降りて、ムスッとしているレオンに諭すように言った。



「 レオン、これはとても素晴らしい滅多に乗れない最高級の馬車なんだよ。


お馬さんも茶色くない、白いだろう?


これは凄いお馬さんなんだ。


だから馬車は、このお馬さんに引っ張ってもらって俺達は馬車に乗ろう。 」



そうできるだけやんわりと伝えたのだが、レオンの機嫌は更に急下降してしまう。



「 全てにおいて俺の方が優れています。


なのに何故リーフ様はコイツを選ぶのですか!?


俺とアイツ、どう違うのですか!! 」



物凄い剣幕で詰め寄って来た。



「 ど、どう違うって言われても……。


え、え〜と……まず種族が違うし馬は4本足だし……。 」



俺は必死に馬と人間の違いについて、つらつらと説明したが、レオンの表情は一向に緩む気配は無い。


そしてとうとう馬と人間の違いについて出し尽くした頃、レオンは「 分かりました。 」と言って軽く頷いた。



「 あー良かった良かった〜。


分かってくれてんだね! 」



パァァ〜!と目を輝かせると、レオンはクルッと回って、俺に背を向け跪く。



「 ??? 」



キョトンとその背を見ている俺に、レオンは爽やかな笑みを見せて言った。



「 じゃあ、車体はアイツにくれてやります。


リーフ様は俺に乗って下さい。


さぁ、行きましょう。 」



────違う。



そうゆう事じゃない……!と、俺は首をブンブンと振った。


助けを求めてみんなの方を見ると、なんと全員でニールママ特性チーズ揚げボールを楽しそうに食べている!




< チーズ揚げボール >


出来立てチーズに小麦粉を混ぜ込みカリッと揚げるニールのママさんお手製のおつまみ




ねぇ、それ俺の分もある?


チラチラ見て気にしながら、” 早くしないと俺のチーズ揚げボールが無くなる! ” と俺はトリ頭をフル回転させて解決法を考えた。



ようはあれだ。


レオンは、お仕事に対する責任感が強い。


そこを突くことこそ、この問題の突破口になるはず……!と、そこまで考えてピンときた。



「 レオン、君のお仕事は " 馬 " だけでは無いだろう?


君が " 馬 " になってしまったら……誰が俺の " 椅子 " になるんだい?! 」



「 ────っ!! 」



俺の鋭い指摘を聞いたレオンは、ピタリと止まり────現在の状況となった。




「 ……ハハハッ。」



先ほどの修羅場を思い出して、思わず遠い目で外の景色を見る。



よって生まれて初めての馬車の乗り心地は " いつも通り " 。



ガチっと固くて安定感抜群のポカポカ仕様、さらに手を使わなくても食べ物まで食べさせてくれる高性能介護機能付き。


そんなスーパー機能を兼ね備えた ゛椅子 ゛が、海で溺れた人を助けるライフセーバーの様に俺を抱き抱えてくれている。



「 まぁ、別にいっか〜……うんうん。 」



俺は朝からトリ頭をフル回転した疲れと、レオンのポカポカ体温……そしてクランのリラックス匂い袋の効果によりウトウトし始め、そのままグッスリと眠ってしまった。


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