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131 輝く世界の中で

( リーフ )



─────ドドドドーン!!!



大きな音が周囲に鳴り響き、同時に何個もの花爆弾が空で爆発した。



満天の星達に負けないくらいキラキラと輝く魔力の花達が、地上の人達の上へと次から次へと降り注ぐと、わっと歓声が至るところからあがる。



それは星空と重なって、まるで空に宝石をぶちまけたような……本当に美しい景色だった。



「 うわぁ〜……。綺麗だ……。 」



感動して思わずその言葉が口から飛び出すと、レオンはその場で止まりゆっくりと俺を背中から下ろす。


そして、俺と同じ空へと視線を向けた。




「 世界って……こんなにも綺麗に輝くものなんですね。 」




レオンはまるで眩しいものを見たかの様に、目を軽く細めながら静かに言って笑う。



どうやら珍しくレオンはこのキラキラとした景色が気に入ったらしい。


俺もこんなに凄い景色は初めて見たので、その気持ちはよ〜く分かる!と大きく頷いた。



「 うん。キラキラしてるね! 」



そう答えるとレオンは幸せそうに微笑んだ。



そうしてしばしの時間、二人並んでまるで星が落ちて来た様にも見えるその風景を眺めていたが、それがあまりに綺麗で─────……。


俺は昼間の時と同様に、自身の上から落ちてくる花の一つに手を伸ばす。


すると、今度はレオンに邪魔されずに、それを掴む事ができた。



「 うわぁ〜……。 」



掴んだ手のひらをゆっくり開くと、そこにはキラキラ光り輝く白い花がある。


魔力で作った物とは思えないほどしっかりとした手応えがあって、よく見ると花びら一枚一枚が薄く透けていた。


これに沢山の輝く星たちの光が乱反射し、光を放っていた様だ。



「 こんなに綺麗なのに……すぐ消えちゃうなんて残念だね。 」



手の上でとしてきた花を見てポツリと呟くと、レオンはその花に負けないくらい綺麗な笑みを浮かべた。


そして、俺が持つ花の上に手を重ねて、そのまま俺の手ごと包み込む。



「 ?? 」



何で手を?



そんな疑問を感じる暇もなく、レオンの重なった手からポゥっと淡い光が漏れた。


どうやら何らかの魔法を使った様で、光が消えるとレオンはそのままゆっくり手を離す。



すると、そこには水晶の様な透明な結晶に包まれた花があった。


まるで透明な琥珀みたいで、中の花とそれを覆う水晶の様な結晶が重なり合い、さらにその輝きは増している。



「 うわぁ〜これ、すごく綺麗だね。水晶?? 」



「 氷の成分を変えて結晶化しました。


花の魔術ごと凍らせたので、そのまま消える事はありません。



─────ずっと……永遠に……です。



どうか貰って下さい。 」




ま、魔力を凍らせる??


しかも永久保存!



「 えっ!……あ、ありがとう……? 」



そんな事ができるなんて知らなかった……。



多少戸惑ったが、” まぁ、器用な人ならできるんだろう。 ” と軽く考え、嬉しさが前に出た。


レオンに御礼を告げてから丁寧にその水晶をズボンのポケットに入れると、レオンが突然「 そういえば……。 」と何かを思い出した様に口を開く。



「 なぜ突然 " レオンの家 " に来られたのですか?


何かご用でもありましたか? 」



突然のレオンからの質問に、あっ!と今更ながらに気づいた。



確かに何の用もないのに突然遊びに来るなんておかしい。


そう思われても仕方がない。



当初の予定では夕方前までお祭りで遊び、その後こっそりレオンの家に向かって、頃合いを見て突撃!



「 まだ夕飯まで時間あって暇だから、レオンの汚い小屋を見て笑ってや〜ろお! 」…………とか何だとからかっているうちに、借金取りとバッタリ─────的な展開にしようと思っていた。



しかし、その計画は夕食の時間までグーグー寝ていた俺のせいで、オジャンになってしまったのだ。



ど、どうしよう、どうしよう!



アワアワしながらポケットを探っていると、昼間出店で買った小さい砂ネズミのおもちゃが出てきた。



砂ネズミとは、その名の通り砂場に住んでる茶色いネズミなのだが、なんと俺にそっくり。



以前ジェーンにそう指摘され、ヘェ〜と思ってたんだが、今日たまたま見かけたこのおちゃを見て物凄〜く納得してしまい、せっかくだからと買ってみたのだ。



よし!コレだ!



─────カッ!と目を見開いたあと、俺はその砂ネズミのおもちゃをレオンにポイッと投げ渡す。



「 これを渡すのを忘れたんだ。


こんな可愛らしいおもちゃは、このワイルド系の俺には不要なものだからね!


いわばゴミだから、レオンにあげるよ。 」



ゴミといわれてしまった可哀想な砂ネズミのおもちゃ……を受け取ったレオンは、キョトンとした表情をした後、ふわっとまた幸せそうな笑顔を見せた。



「 可愛いですね。凄く……。


俺、ずっと大事にします。


ありがとうございます。リーフ様。 」



─────ごめんなさい……。



純粋に喜ぶレオンを見ていられなくて、スッ……と目を逸らす。



それは、” これが砂ネズミか〜、ジェーンに見〜せよ! ” なんて軽い気持ちで買ったんだ……。


ずっと大事にするような代物じゃない。



ゴロンゴロンと転がり回ってそのまま土下座したかったが、勿論現実ではそんな事は出来ず……。



「 うむっ!大事にしたまえ!


ゴミだけどね! 」



─────などと偉そうな事を言ってしまい、更に凹む。



そんな俺の心情をよそに、レオンは大事そうに砂ネズミのおもちゃをしまうと、再度俺を背負ってあっという間に屋敷へと到着してしまった。




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