奪還
ミチヒコはパイロットスーツのヘルメットの中で呼吸を整えた。
もう、これまでのように機械的に任務をこなすだけでは済まない。無機質なコクピットの中で、ミチヒコは不思議と失った色彩を取り戻したような気がした。
「ミチヒコ・シオモリ、ヴァル・ユンノス。出るっ!」
新型艦グラングリフォン級のカタパルトから、ミチヒコの駆るヴァル・ユンノスは出撃した。
武装は強襲制圧型パックだった。
「ミッチっ! まだ慣れねーがっ、バッチリ観測してやんからなっ!!」
円盤型の機器を背負った通信型ユンノスで近付いてきたヴェックが映像通信を繋いできた。
編成の刷新に伴い、ヴェックはユンノス改から通信型ユンノスの乗り替えていた。
「頼んだヴェック」
「おうよ」
ヴェックは他の通信型ユンノス隊と共に先行していった。
ミチヒコは続けて高い位置を飛んでいたニシューのヴァル・サバトに機体を近付けた。接触回線を使う程ではないが、既に戦闘区域にいる為、ジャマーコロイドの影響は受けていた。
「ニシュー、この作戦はヴァル・サバトの火力ありきだ」
ニシューは応えずに、アイカメラライトの明滅通信で合図をしていきた。正規の符丁ではないが、レコーダーを切れ。という合図だった。
まだ艦を出たばかりだが、応じざる得ない。
「早いぞ?」
「別行動になるんだし、今でしょう? 私はやりますよっ。万一私が死んだら、洗脳は早い人は1ヶ月で解けちゃいますからねっ!」
「結構持つな」
軽度でも持続性があったが、ニシューに重侵食された者は2度とは元には戻らない。
「・・ミチヒコ、巻き込んでごめんなさい」
画面と、メットのシールド越しに、全く子供の頃と変わらない表情のニシュー。
「いいさ。面白くなってきたっ!」
ミチヒコは通信を切り、配置に移動した。
ミチヒコ達は親共和国派ゲリラに占領された旧ナールト市へと攻め込もうとしていた。
親共和国派ゲリラは和平を掲げる宗教勢力でもあり、合衆国極東域と合衆国本土の一部で一定の勢力を持っている。
姫とは母親の違う、王室の第4王子ウルサン・モール・イヨはこの勢力と結び付きが強く、ゲリラによる旧ナールト市占拠の後ろ楯であった。
旧ナールト市を攻め込めば、ウルサン王子と関わりの深い、内海を挟んだワーダキシ基地から1時間足らずで正規軍の増援が着てしまい、内戦的な戦闘になってしまう。
これを避けるには30分以内に旧ナールト市を無力化し、旧ナールト市を有するサトウ州の全権知事に市の奪還を宣言させなくてはならなかった。
ゲリラ軍の第一陣は派手に装飾されたゾリオーデン級簡易艦3艦。
面と向かっての交戦開始であった為、多数の無人機を射出しながら観測弾を撃ち込んできた。
ヴェック達、通信型ユンノス隊も観測弾を撃つ。
観測弾は遠距離と中距離に分けて撃たれ、ジャマーコロイド高濃度散布下の環境で遠距離弾は敵陣の情報を集め、中距離弾が中継して情報を回収。
集めた情報は小型の通信弾を使って自軍と共有する。
勿論、初手の遠距離弾と中距離弾の速やかな撃墜が基本である。
これはヴァル・サバトが対応した。
重熱弾機銃の超精密、超即応掃射で全弾落とした。
「全弾っ? はぁっ??」
先頭の装飾ゾリオーデン級の、首に宗教の聖印を提げた艦長が唖然としていると、ヴェック隊から一方的に配置情報を得たヴァル・サバトが突入してきた。
旋回しながらヒートアサルトライフルと触手状武器、熱刃多節鞭で無人機を蹴散らしながら接近するヴァル・サバト。
「神よっ!」
艦長は祈りながらテンタクルアンカーでブリッジごと両断された。
残る2艦も速効で沈めるヴァル・サバト。
「触覚に響きますね。この武器はやっぱり嫌いです・・」
ニシューは苦々しく呟いた。
「博物館か?」
ミチヒコはやや呆れながら機体を地表近くを飛行させる。
ゲリラ主力の空戦部隊をニシュー機を突破口に引き付け、地表からミチヒコのヴァル・ユンノスを先頭に市街に押し入る作戦だった。
旧ナールト市をただ陥落させるだけなら地表部隊に付き合う必要は無かったが、完全に無力化して制圧しないことにはサトウ州知事がリスクを嫌って協力してくれない為、一手間掛かる形になっていた。
前方に見えるのは機甲アーマー以前に活躍した一世紀前の機体規格、機甲タンクと重量戦車群だった。
地表戦も先行の通信型ユンノス隊が情報を仕入れてくれている。超旧型のゲリラ地表軍には通信弾の迎撃も通信弾の真っ当な運用もままならず、一方的な情報獲得での開戦となった。
「宗教は、解釈できないな」
視覚を解放し、加速した時間の中で機体を駆るミチヒコ。
旧型なりの一世掃射を仕掛けてくる地表ゲリラ軍。
ミチヒコは避けつつ、背部の高速飛行ユニット固定型の持続熱線で加速の妨げになる軌道の攻撃を焼き払い、ヴァル・ユンノスを敵陣に接近させた。
ジャマーコロイド高濃度散布下では射程も火力も落ちるレーザーナイフから、これも高速飛行ユニット固定型の高機動用バルカンと、両手に装備した腕固定型マシンガンに切り替え、3門で敵陣中央の多くは装飾された旧型地表機体群を撃破してゆくミチヒコ。
回避も同時にこなし、電磁バリアは一度も使用しない。
「結局こうして政治の駒にされる。お前達は、自分で思考する機会を棄てるべきじゃなかった」
地表に吹いた死の旋風のようにして、ミチヒコは旧型機群を破っていった。
後続隊は残兵を掃討する。強い信仰心から、投降に応じる者は殆んどいなかった。
「・・・」
ニシューは淡々と、アンチレイガスに覆われバリアが使えなくなった、無理矢理戦艦に改造された神殿のような装飾のトンチャ級通常艦の後部メインバーニアにナパームを2発撃ち込み、誘爆させて沈めた。
爆発炎ながら、わざわざ外部スピーカーで宗教音楽と題目を大音量で流し、艦長の宣誓まで入った。
「我々はっ! 圧倒的な神意に基づきっ!! 正義を持ってっ、ごっ? おわぁあーーーっ?!!!」
「・・残酷趣味ですね」
ニシューはうんざりして、ヴァル・サバトを旧ナールト市へと向けた。ニシューが担当する範囲では、ゲリラ側に、もはやまともな航空戦力は無い。後は消化試合のような物だった。
高度を上げ、上空から目立つ機体や向かってくる機体だけ遠距離攻撃で墜とし、後は無視し、比較的機体を安定させて飛行していた。
「片付いたっぽいねぇっ」
「っ?!」
コクピット後部の緊急物資ボックスから声がして、バカンっ! と勢いよくボックスを開け、小型な、子供用環境スーツを着た娘、コダマが飛び出してきた。
「No.2っ?! コダマっ??」
「そうだよっ、よいしょっと。レコーダー切ってるよね?」
複座を出して座り、ベルトで固定するコダマ。ヘルメットのシールドを上げて経口補水液を飲みだした。
「ぷはっ。スーツの酸素は減るし、喉渇くし、ちょっと早く潜り込み過ぎたよ。あー、ストレッチしたい」
座ったまま短い手足を伸ばすコダマ。
「何してるんですかっ?!」
動揺しつつ、向かってきた装飾された腕のみある簡易機甲アーマー、ベルー改2機を仕止めるニシュー。
「何って、ニシューの洗脳とタリッタ姫の立ち回りがすっとろいから、なんだかんだフォローするのに結局船の中まで付き合ってたんだよ?」
「ええ~? いやっ、久し振りですね! というかなんで全然身体が大きくなってないんですかっ?!」
「ちょっとは伸びたわっ! あと、コダマさんの方はちょいちょいあんたのフォローしてたから、そんな久し振り感無いからねっ」
「・・そりゃ、どうも。というかなんでアーマーの中にっ!」
「旧ナールト市に降ろしてよ。別の仕事あんだ。あんた達はあとはなんとかなんでしょ?」
「今、戦闘中ですよ? 核や化学、生物兵器は無さそうですけど、気化爆弾くらいあるかもですし」
「気化爆弾は大丈夫。サトウ州の知事が胃に穴を開けて交渉して廃棄させてる。裏も取ってるから」
「それなら、まぁ・・気を付けて下さいよ?」
「コダマさんは『諜報型』のプラス1だよ? 脚もあんたより速いからさ」
その場で猛烈な速さで足踏みするコダマ。すぐにコクピット内に衝撃に対する警告音が鳴りだした。
「やめて下さいよっ」
「へへへっ! じゃ、とにかくよろしくね~」
足踏みをやめたコダマは棒状糧食をのんきに噛りだした。
強化改造された無人飛行補助機セッターに乗ったやはり強化改造された汎用機ユンノスと、ミチヒコは交戦していた。既に市街地に入っている。
時折歩兵が攻撃してくるのが鬱陶しくてしょうがなかった。無視もできず、攻撃されれば迎撃するしかない。
さらに鬱陶しいのは相手パイロットで、外部スピーカーでずっと喋っていた。
「・・であるからしてっ! お前達に、なんら大義は無くっ」
主に説教であった。相手は手練れで異様に反応もいい。
事前に把握された、この作戦におけるミチヒコの最終ターゲット。視覚強化特性のパイロット型プラス1、ジンカイであった。
強力ではあるが、ヴァル・ユンノスを駆るミチヒコが苦戦しているのは、相手が薬物を使っているからであり、それも明らかに限界量を超えて投薬している。
パイロットとしての能力はミチヒコをやや上回っており、何より常時捨て身の攻撃を繰り返してきていた。
(仕方ないか)
ミチヒコは改めてレコーダーを切り、視覚予知を発動した。
これまでに見た、視覚情報から、最大に加速した体感時間の中で、映像で次の出来事を予知する。いくつか可能性がブレることもあるが、その全てに対応すれば同じことであった。
機体を最大加速させる。
「何ぃいいーーーっ??!!!」
超信仰熱散弾砲を全て躱し、超信仰光刃大剣を一部展開した電磁バリアで受け流し、擦れ違い様にセッターをライトキャリバーで切断するミチヒコ。
体勢を立て直す為に空中でジンカイが張った電磁バリアに即、電熱爆雷を放ってバリアを解除し、解除した瞬間にバルカンを撃ち込んでジンカイ機を爆散させた。
「・・視覚強化特性だから俺の生体データを使ってるはずだが、クセ強過ぎだろ?」
資料のジンカイの見た目も、どう見ても中年であった。
困惑しつつ、ミツヒコは通常信号弾を撃ち、ヘルメットの中に眼精疲労緩和ガスを注入させた。
「ふう・・さてと、随分死んで、随分殺させられた。カマしたいところだが」
ミツヒコは歩兵に絡まれるのを嫌って、少し高度を上げ、開戦以前の申し合わせで武装しない限りは攻撃対象外になっている旧市役所にカメラを向けた。
建物は完全に宗教施設に改造されていた。相手方は宗教服を着た歩兵がシグナルトーチを撃ち『こちらは対象外施設、事後交渉を考慮せよ』と警告してきた。
旧市役所の最上階のカーテンが開き、派手は宗教服を着た女が顔を出した。聖印付きの杖をこれ見よがしに持っている。
次期教主候補であった。今、始末しておくべきではあるが、
「・・軍人にできるのはここまで、ですね」
ミチヒコは、アイカメラライトの明滅通信で『ファック』とだけ伝え、相手をムッとさせ、機体を反転させて旧ナールト市を去った。
旧市制圧後、申し合わせ通り、速効でサトウ州の全権知事は市の奪還を宣言し、フライング気味に展開させた州軍で海上を封鎖し、ワーダキシ基地のウルサン王子私兵団を追い返した。
そしてここからが、タリッタ姫の戦いであった。
グラングリフォン付属の小型艦ヒナグリフォンで密かに、サトウ州首都入りしていたタリッタ姫は合衆国全土に対し、会見を開こうとしていた。
控え室で1人、米の酒をロックで一杯、一息で呷った。
「ふーっ、ふーっ、・・やりたくないやりたくないやりたくない・・私は田舎でひっそり子供達を弔って暮らせたらそれでいいのに・・」
もう一杯、コップに注ぎ、一気に飲み干すタリッタ姫。
「ふ~~っ、・・・やるかっ!」
完全に据わった目でそう呟き、両手で顔をはたき、鏡に向かうと、ニッコリとロイヤルスマイルをして見せた。
会見会場にはセキュリティチェック済みの記者とカメラマンと中継クルーと州役人のみが入っていた。知事は今更ではあるが王室の争いに直接関わるのを嫌って自分の会見が済むと神速で雲隠れしていた。
ニシューはさすがに間に合わないが、護衛と、侍従を伴い会場に姿を表すタリッタ姫。今の技術では必要無いが伝統的にフラッシュを焚いて撮影するカメラマン達。記者のどよめき、タリッタ姫がニッコリと微笑むと会場から溜め息が漏れた。
姫は透明の防護フィルターの前に立ち、ペンシル型マイクを構えた。
「皆さん、集まって頂き、嬉しく思います。合衆国国民の皆様、タリッタ・エル・イヨです。愛しい母国に帰るにあたり、兼ねてより多くの賢明な国民の懸案であった旧ナールト市の占拠の問題を、わたくしの騎士達である新鋭艦グラングリフォンの部隊に解放させました」
歓声に包まれる会場。無論、教団擁護派や、姫のゴシップまみれの半生を追うような記者達は排除済みであった。
「しかし合衆国には信仰の自由がありますっ! わたくしはここに、教団の財産の保証、信仰の保証、そして彼らが愛して止まない共和国への全面移住を完全にっ! 保証しますっ。このタリッタの名においてっ!!」
何の法的根拠も無く信者の意向も一切無視した物であったが、タリッタ姫は宣言し、会場を湧き立たせた。
ジャマーコロイドを避け、高度を上げたグラングリフォンの船内で、パイロットスーツを脱いでアンダースーツ一丁になったミチヒコやニシューやヴェック達もこの中継を観ていた。
「タリッタ姫ぇーっ!! カワイイーーっ!」
「移住しろ、まで言い切っちゃったか」
「財産保証ってのがミソだぜ?」
「タリッタ姫の勝利を祝いましょうっ!!」
「いや、まだウルサン王子の出方次第な気はするが・・」
ミチヒコは一抹の不安を感じたが、ニシューを中心にパイロットチームは大騒ぎであった。
一方、当のウルサン王子はというと・・
「どーなってるっっっ?!!!」
合衆国本土リフーロダ州にある機甲アーマーまで配備された厳重な警備の広大な邸宅で、ウルサン王子は激昂していた。
ウルサン王子自体はなんの信心も無いらしう、邸宅に宗教色は一切無かった。
ヴィンテージワインをぶちまけられた、わざわざワーダキシ基地から派遣されている文官は表情を変えなかった。
「会見の先手を取られたようです、王子もすぐに会見を」
「黙れっ! 議会はっ?! 票田だぞっ」
「いえ・・さすがに、自治体を占拠されるケースが増えだしまして、教団の方も幹部は共和国で貴族身分を購入することに専念し始めております。もはや上級幹部で残っている者は少数派です」
「なっ・・信者達は?! まだ使えるだろう?」
「これも既に他宗教組織に一束いくらかで売却されだしているようで」
「牛や馬ではないんだぞっ?! クソっ! 低能過ぎるっっ」
ウルサン王子は地団駄を踏み、侍従長に向き直った。
「父上はっ?! 王はなんとっ?」
「・・暫くは、離島等で静養されるようにと」
ウルサン王子は侍従長をダイナミックに蹴り飛ばした。
「クソっ! クソっ!! タリッタだっ。あんな汚い使用人の娘がっっ。クソっ、使い古しの分際でっ!!」
「王子、専門のチームも待機させています。まずは冷静に、会見を開きましょう。市の奪還はともかく、教団の扱いに関しては法制上の優位を取れます。ワンフレーズですっ! その一転のみ押しきっての」
「黙れっ、黙れっ!! 余は明日まで私室で休むっ! 余の近習以外は私室に立ち入るなっ、お前もだっ!」
床に倒れ込んでいる侍従長に吐き捨てるように言ってウルサン王子は部屋を後にした。ワーダキシ基地の文官は冷めた顔で溜め息を吐いた。
「クソっ、クソっ!」
私室に入ると、ウルサン王子は上着を全て脱ぎ散らかし、上半身裸になった。
「メイシーっ! カルオンっ! 今日は激しく責め立ててくれるっ。覚悟せよっ」
ウルサン王子は部屋の奥へと進んだが、誰の返事も、気配すら無かった。
「メイシー? カルオン? 誰かっ、誰かおらぬのかっ?!」
と、唐突にウルサン王子の足元に半裸のような格好をした2人の美少年の身体が投げ出された。
「んなぁっ?!」
2人とも、息はしていなかった。
「メイシーっ?! カルオンっ?! ふぁああっ??!!!」
腰が抜けてその場にへたり込むウルサン王子。
その前、手足を折り畳むようにして歩く、異様に背の高い男が歩み寄ってきた。
「ななななっ???」
「色々考えたんだけどよぉ、他のヤツもぉ、やっぱ生かしといても処刑されっし、その前に拷問もされんだろ? お前の取り巻きゲスいヤツばっかだしよぉおお」
「曲者っ」
ウルサン王子は小型航空機が買える値段の通信機能付き高級腕時計を使おうとしたが、時計全体が放電して王子の手首を焼いて壊れてしまった。
「ぎゃあああーーっ?!! 余の左手首がぁああーーーっ?!」
「王子ぃいい~。俺はよぉ、No.4ぉ。モノシダ、ってんだぁ。俺はよぉ、味覚、が強化されてっからよぉ」
長い舌を出すモノシダ。舌先が軽く放電する。
「電子の味がわかるんだぁーーーっ!!!!」
全身を放電させるモノシダ。
「ひぃいいーーーっ??!!!」
仰け反るウルサン王子。
「わ、わかったっ! お前、プラス1だなっ? 人権をっ、人権を回復してやろうっ?! なりたいだろう? 人間にっ!」
「おおっ?」
顔を近付けるモノシダ。
「さらにっ! お前を男爵に取り立ててやろうっ!! 罪は全て不問だっ。はははっ、大したことではないっ! 使用人もっ、男娼もっ、いくらでも替わりは」
モノシダはベロリ、とウルサン王子の顔を舐め上げた。
「ひぃいいっっっ」
失禁するウルサン王子。
「お前、死んだ方がいいヤツの味だ」
「ちょっ」
モノシダはその長身で、ウルサン王子の首根っこを掴まえて持ち上げてぶら下げ、激しく放電させ、一瞬で黒焦げにして絶命させた。
「んー、オズマ博士は、君は優しい、って言ってたからよぉ。やっぱ仲間は大事にしねぇとなぁ? 俺のぉ、優しさ、がよぉ。そうしろって伝えてくるぜぇ? プシシシッッ!!!! あっ」
モノシダが笑っていると、ウルサン王子だった消し炭は崩れ去ってしまった。
「あ~、帰ろ」
No.4、『暗殺型』プラス1、モノシダは放電と共に加速して、その場から消えた。