ネガティヴな少年、鬼と旅に出る
お久しぶりです。
さて、いきなり衝撃的な話を沢山されて困惑したがオーグに聞いた話をまとめていこう。
この世界はスーサイドと呼ばれているらしく、ここはオウンゴール王国の死者の森という場所らしい。死者の森と呼ばれている理由は、私のような他の世界で死んだ人間が時折この森に転移してくることからついたのだという。
「ここは、人間と人間以外の種族が一緒に住む国家なんですか?」
「あぁ、人間、ドワーフ、エルフ、オーガそれ以外も沢山の亜人が住む国家だ」
スープを飲みながら質問する私にオーグルは答える。異世界から転移して来る人間がよくこの森に現れるということなので、彼もこの手の質問には慣れているのだろう。
「私以外にも、異世界転移してきた人間はどのくらいいたのですか?」
「俺が、知ってるのはここ10年で8人が転移してきたってことだな。見つけてないだけで実際はもっといるだろう」
「転移してきた人間は何かしなければいけない手続きとかあるんですか?」
「とりあえず、役所に行って住民票を貰わねえと、何処の国にも入れてもらえないぞ。死者の森の近くの街には転移者用の役所がある。とりあえずそこに行けば、色々説明してもらえるだろうよ」
オーグルは私の質疑応答に疲れたのかめんどくさそうにそう言った。
「その街はここからどのくらいで着くのですか?」
「片道3日ぐらいだな」
(めんどくさ・・・)
生きるのに無気力になって死んだのに、まさか死んでからも面倒ごとがあるとは思いもしなかった。ここでこのままオーグルに別れを告げて何処ぞで自殺することができるであろうか。
「方向を教えてもらえれば、私1人で行くので道を教えて貰っていいですか?」
「初めてきた森を1人でぬけるってそれは自殺行為だぜにいちゃん」
(自殺したいんだよっ)
心の中でツッコミを入れる
「安心しろよ。俺も街にまで用があるからなぁ、案内するぜ!」
「はぁ、どうもありがとうございます」
断ることもできずに受け入れてしまった
「お前の体力が回復したらいくとしよう。とりあえず今日は休め」
「わかりました。何から何までありがとうございます」
「おうっ!気にすんな」
あれよあれよと話が進んでいき、街に行くことになってしまった。正直、ありがた迷惑ではあったが少し話しただけでもこのオーグルという男が善良であることはわかった。好意を無碍にすることもできず話を了承してしまった。
それから三日が経ち体力も回復して街に出発することになった
「おっし、行くとするか!」
「はい、よろしくお願いします」
馬車などはなく徒歩で移動するようだ。私とオーグルの背中には野宿の道具や食料が背負われており、それに加えてオーグルは護身用なのか1メートルはあるナタのような剣を腰にさしていた。
「そういえば、この世界にモンスターとかっていたりするんですか?」
「あぁ、いるぞ。冒険者が間引いているが野生動物とは別に魔獣と呼ばれる攻撃的な生物がいる。一応お前にも護身用に武器を渡しておく」
そういうと、オーグルはサバイバルナイフを渡してきた。戦い方など知らないが、一応貰っておく。
「さあ、出発だっ!」
こうして、鬼とネガティヴな少年の奇妙な旅が始まった。