表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/70

第3話 今度こそ誕生



卵の殻を突き破り、俺は新たなる生を受けた。


いや、まー実際には卵の中にいる時から意識はあったからそこは微妙なところなんだけどな。


さてと。改めて確認をしようか。


『鑑定』。


【ステータス】

種族:リトルインフェリアタッドポール

性別:♂

HP:5/5

MP:2/2

SP:3/3


うん。そりゃ低いよな。


さっき誕生したばっかだもんな。


でもこれでも卵だった時よりも上がってるんだぜ?


卵だった時に『鑑定』してみたら全部1だったからな。


うん?リトルがついてるな。まあいいや。


そして次に二重鑑定をやると、


【リトルインフェリアタッドポール】

カエル系統の魔物の最も基本的な幼少形態である。弱い分多くの進化先があり環境によって今後の生態を大きく変えていく。似たような魔物としてゴブリンやスライムが挙げられる。


このような文章が記載される。


どうやらリトルは幼体の生物につけられていそうだ。


他の所も『鑑定』するが、思った通りHPは体力ゲージ、MPは魔力ゲージ、SPはスタミナゲージだということがわかった。


ここから分かることを俺なりに整理してみるとしよう。


まず、自分自身が魔物であることが判明した。


普通の生物じゃないとは分かっていたけど、まさか本当に魔物なんてな。


そして、最も俺が注目しているのが進化だ。


この今の俺の姿であるリトルインフェリアタッドポールは進化をできる・・・らしい。


まだどんな風な進化条件があるかは分からないが、文面的には自分で環境に合わせて変えるスタイルらしい。


これは胸が踊るぜ。


そしてどうやらゴブリンやスライムなんてのも存在するらしい。


ゴブリンやスライムは異世界やゲームからすると定番の雑魚MOBだ。


こんな世界なら居てもおかしくはないだろう。


MPなんてゲージがあるんだから魔法もあるんじゃないかな?


考えることが多いな。


進化の条件の模索や周辺エリアの探索なんかもした方がいいかもそれになんと言っても一番の問題は・・・。


グゥ〜。


そう、お腹が空いた。


卵の時は少しもお腹が空かなかったのに、出た途端にだ。


それに卵を突き破るのにかなりエネルギーを使ったらしく、かなりキツい。


というかそもそもオタマジャクシって何を食べればいいんだ?


オタマジャクシと言えば田んぼにたくさん浮かんでいるらしいっていうことぐらいしか知らないぞ。


グゥ〜。グゥ〜。


やばいそろそろ限界に近い。


とりあえず近くにあるものは自分の卵の残骸だ。鳥類や昆虫は出生直後に卵の殻を食べるらしいし、これも食べられるんじゃないか?


そう思い立ったがいなや、もう我慢することは出来ずに、自分が生まれた場所だったものに喰らいつく。


バクバクと食べていると急に口の中が少し痺れてくる。


そういえばこれ毒だった!せめて食べる前に『鑑定』しとけバカ!


【『毒耐性』がレベル2に上がりました】


・・・。やっぱり毒だったぜ・・・。


まぁとりあえずは大丈夫だったので結果オーライだ。


俺は毒耐性スキルなんてのも持っていたのか。


それにしてもさっきの飢餓感はやばかったな。


何かを食べることにとらわれた感じ。


人間の時よりも本能に支配されやすい体なのか?注意が必要だな。


人間の時の感覚でギリギリで何かやっているより早め早めの行動が大切になってくるかもしれん。


早く食べられるものを探そう。水草や小魚がいたらちょうどいいんだけどなぁ。


『鑑定』を使いながら周辺を少しずつ探索する。


【スコッピングタートル:♀】


【ウォールフィッシュ:♂】


【テラーアリゲーター:♂】


無理ゲーすぎるぞ、これ。


勝てる気が一切しない。


初期装備でラスボス手前来た感じ。


あれに近い。まず体の大きさが桁違いだ。


オタマジャクシの体だから正確なことは言えないかもしれないが、今挙げた3匹は恐らく人間よりも遥かに大きな体躯を誇るだろう。


【スコッピングタートル】

岩に紛れている巨大な亀。その異常なほど発達した顎により近づいてきた獲物を一瞬で抉る。長い年月生きたものは島ほど大きく成長するらしい。


【ウォールフィッシュ】

鱗はのっぺりとした形状をしているが、非常にしなやかで頑丈である。並大抵の攻撃は通さずに、その巨体で獲物を圧死させる。


【テラーアリゲーター】

弾力性のある皮膚は相手の攻撃を弾き、強靭な顎により獲物を引きちぎる。夜になればなるほど体が大きくなっていく。


普通にラスボスクラスだ。


こっちの攻撃は効かないのに相手の攻撃力はバカ高いのはヤバすぎる。


俺が今いる池?湖?はどうやら奥に行けば行くほど深くなっている。


深くなっている方に行けば行くほどさっきみたいな奴らがゴロゴロいた。


あんなのはエサにならねぇ!てかできねーよ・・・。


俺はちまちま浅い方を泳いでいるものの、それでも俺より強そうなやつの方が多い。


なるべくチャレンジはしたくないところだが、まださっきみたいな飢餓感に襲われる前に動いた方がいいしな〜。


とか考えていると、突如視界の横から黒い物体が衝突してきた。


いってー。ああ、脇腹に思い切りぶつかられた。


何やってくれとんねん、われ!


って怒り心頭でぶつかってきた相手を見ると向こうもやる気満々で、というか最初からそのつもりだったのだろう。


既に戦闘態勢に入っていた。


なるほどね。そりゃこんだけ自分よりも格上ばかりの環境でこの種は、どうやって成体まで成長して繁殖していっているのだろうなんて疑問に思っていたが、答えは簡単だったんだな。


【リトルインフェリアタッドポール:♂】


そこにいたのは俺と同種。


つまり俺の兄弟だろう。


生まれてからそんなに時間が経って無さそうだし。


俺の親ガエルは子供をおそらくは数十万を超えるほど産んでいた。


単純に死にやすい場所だからかと思っていたが(多分それも間違っちゃいない)、小さいうちのエサ代わりに共喰いしろってことなのか。


ったく、いきなり共喰いを強制させるとか異世界さん趣味悪ぃーぞ?


兄弟。お前も生きるのに必死だろうし、なんの恨みもないけどな。


こっちも死にたくないし、全力でお前を糧にさせてもらうぜ?


普通にやっても泥仕合になるだろう。


そこを他の生物に狙われたらそれこそお互いに終わりだ。


なるべく俺はこいつに圧勝しなくてはならない。


まずは・・・。尾びれで水底の砂をかき揚げる。


ちょっとした目くらまし代わりだ。


急にそんなことをされたことで混乱したのか、かなり簡単に近づくことが出来た。


そしてやつの胴体に思い切り噛み付く。


歯もそんなに鋭くないので噛みちぎることは出来ないが、それでもダメージはあるだろう。


必死に体を捩られ口を離してしまう。


そこをすかさず体当たりをされた。


うっ、やっぱり結構痛い・・・。


もう一度体当たりしてくるのを俺は冷静に見つめギリギリまで引きつける。


そして相手にぶつかられそうになった瞬間俺はサッと身を翻す。


よく周りを見ていなかったのだろうそれにさっき俺が巻き上げた砂も少し影響があったのかもしれない。


俺の後ろには小さな岩があったのだ。


そこに思い切りぶつかればさすがに動きも止まる。


そうして動きの止まった相手に俺は、今度は尾びれを狙って噛み付く。


またもや、引き離れてしまったが、今度は尾びれを傷つけることが出来た。


尾びれの損傷は動きに直結する。


もうダメだ。大人しくやられろ。


兄弟はそれでも必死に抵抗するが、さすがにもう負ける要素は無い。


チクチクダメージを与えて、余裕を持って勝つことが出来た。


何度も何度も俺に噛みつかれ、ようやく動きを止めた兄弟に、謝罪と感謝の気持ちで食す。


悪い。絶対お前の分まで生き抜いてやるからな。


全く、胸糞悪い勝利だな。


【リトルインフェリアタッドポール:♂のレベルが上がりました】




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ