第14話 進化後のステータス
はぁはぁ、行ったか?
何だあれ?しびれ草の外のモンスターか?
自然界でそこそこ暮らしていたせいか、生まれたての時よりも相手との実力差が肌で感じられるようになってきたのかもしれない。
獲物が横取りされたことなんてもう気にならないな。
『危険予知』さん役に立つかどうか分からないなんていって、ほんとすいませんでした!
いや『危険予知』さんが居なかったからほんとにどうなってたか分からないな。
よく考えればそりゃそうだよな。
このしびれ草の群生地域内ですらゲンゴロウやミジンコみたいにある程度しびれ草を無効化できる生物が居るんだ。
外に棲息している奴らの中にだってそういうことができる種族がいたっておかしくないに決まっているだろ。
しびれ草に棲んでいる奴らをわざわざ襲ってくるということは、恐らくは外に棲息する奴らの中ではあまり強くない能力値なのでは無いかなと推測できる。
しかしそれでも今の俺ならば余裕で瞬殺されるくらいの差が有った。
・・・うん、あれがしびれ草の外の世界の最底ラインなのかな?
外の世界で生きていく指標として参考になるかもしれない。
とりあえず気持ちを切り替えて、とりあえず腹を満たすための狩りをしに行くとしよう。
ついでに、せっかく『鑑定』のレベルが上がって敵の身体ステータスが見られるようになったので、ここに棲息しているやつらの身体ステータスを確認していく事としよう。
でもナマズがまだ居たら嫌なので、念のためもう少しだけここで待機しておくか・・・。
■ ■ ■ ■ ■
今確認してきてびっくりした。
兄弟達を倒した際に相当ステータスが上がったのは理解していたのだが、今確認してきたところ、このしびれ草に囲まれた中で言えば俺のステータスはかなり上位であった。
もちろん所持スキルは見えないし、俺の例から言ってスキルの要素が戦闘力に大いに関わってくることも理解はしている。
しかし、しかしだ。
身体的なステータスでゴリ押すことももちろんあるわけで。
今までもそこそこうまく立ち回れていた俺が肉体面のスペックですら勝るようになってしまったらここではもはや敵無しなのでは?
調子に乗った俺はしびれ草の合間を泳ぎ、進化前もお世話になっていたミジンコを見つけ出す。
せっかく習得した諸々のスキルもここらで試し打ちをしてみたい。
まずは急接近からの武技「斧刃脚」を繰り出す。
【ステータス】
種族:グレイトダフィリア
性別:-
HP:86/86
MP:15/15
SP:46/46
レベル:8
ATK:17
DEF:138
INT:14
MND:29
SPE:8
いつの間にか俺のATKはこいつのDEFとほぼ並んでしまったので、武技を受けたミジンコ野郎は軽々と吹っ飛んでしまった。
体格的にはまだまだ差があるので、元の世界の物理法則を知ってる分違和感がすごい。
そしてよく見ると、武技が当たった所の甲殻が剥がれ落ちてしまっている。
生まれたての時にわざわざこいつの堅い甲殻が破れないからといって、甲殻と甲殻の隙間を狙ってチクチク『噛み付く』と『毒攻撃』を繰り返していたのが馬鹿らしくなってくるな。
剥がれた部分に『猛毒攻撃』をぶっ込み、「状態異常:猛毒」にする。
中身がむき出しになったのでその分状態異常が入りやすかったみたいだ。
最近分かったことなのだが、状態異常が入ると敵のステータスが下がることが判明した。
これが毒系統の状態異常だけなのか、そもそも他に状態異常が存在するのかは分からないが(俺的にはあると睨んでいる)、とにかく下がるのだ。
元の世界でも毒を受ける=体調が悪くなるのでその図式は分からなくは無い。
スリップダメージに加えて、デバフ効果があるなんて強すぎるぜ。
って、まだ倒し切れていないのだからまだまだ試していくとするか。
次は『毒生成』により普通の毒を生成する。
微毒の時よりもMPを多めに消費するが、レベルアップで増えた分で全然気にならない位の量だ。
そして『毒魔法』でポイズンボールを発動してその毒を弾へと変換する。
次に変換した弾をミジンコに向かって射出。
動きがただでさえ遅いやつに避ける術は無く、次々に着弾していく。
前までは一向に減る気配が感じられなかったHPがみるみるうちに削られていくのが見て取れる。
そうやってあっという間にミジンコが倒すことが出来てしまった。
・・・あっけなさすぎるだろう。
以前は半日かけて倒していたのに。
こんなに簡単に倒せてしまうなら、動きも遅いしただのカモでしか無いぞ。
【スキル『早熟:微』が適用されます】
【『毒魔法』のレベルが2になりました】
【『隠密』のレベルが2になりました】
もうミジンコ一匹倒しただけではレベルが上がらないのか。
てか今のアナウンスで気付いた。
新しいスキルをいつの間にか習得しているだけど!
『隠密』・・・隠密行動にたいして補正が掛かるスキル。
レベル1:気配遮断
毒と隠密ってもはやアサシンみたいなスキル構成だな。
『隠密』スキルもレベルが上がると共に使用できる技能が増えるようだ。
このスキルも『体術』と同じパッシブスキルとアクティブスキルが一体化したスキルだ。
パッシブなのでスキルの熟練度が上がっていってくれるのはありがたい。
使えるスキルなのでなおさらだ。
スキル確認を終えたあとは、ミジンコをむしゃむしゃ食べる。
うん、味はやっぱり不味くはないんだよな。
これが味覚の変化なのかどうなのか微妙なところだけれど。
食べ終えたあとも引き続き獲物を探していたのだが、如何せんナマズが来たあとなので、どいつもこいつもどうやら警戒して出歩いてないようだ。
うーん、どうにかしてもう一匹くらいは今日中に見つけたいんだが・・・。
ん?この地面何かここだけ掘り返されたような跡が残ってる。
もしかしてと思い、MP消費の少ない微毒でポイズンボールをその場所に向かって打ち出してみる。
するとそこからなんとドジョウが!
いや、なんとなくは予想してたけど本当に居るとは。
以前までは近くに来ただけで襲いかかってきたので、これだけ接近しても出てこないからこっちの勘違いかもと思ったよ。
【ステータス】
種族:ディグローチェス
性別:♂
HP:38/38
MP:34/34
SP:36/36つ
レベル:7
ATK:22
DEF:35
INT:35
MND:19
SPE:34
ステータスに大分差がついちゃったから、格上と認識して襲ってこなくなっちゃったんだな。
なんだかこいつに認められたみたいで少し嬉しい。
しかし大事なエサとしては別なのでしっかり倒させて貰った後美味しく頂きました。