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8月物語  作者: 右京
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野球の日

今日は、「野球の日」。

あの夏の日から摩訶不思議な出来事が続いている


これは偶然なのか何かの予兆なのか不安に駆られる程だった


気にしてた女の夢を見たり、偶然にも夢から日常へ繋がる鳥の


切り絵のくだり。まるで漫画みたいな事が現実に起こっている


女もそうだが元々は井戸での出来事が始まりだ。聞こえてくる


筈も無い所からの人の声、その事実が余計に私を不安にさせる


しかしその話の内容が、思い出せない。まるで鍵でも掛けられ


たかの様に一切思い出せない。一体何を話してたんだっけ?


確認したい気持ちは、重々あるがあの不気味な体験を再度した


いかと問われれば応えはノーだ。そんな想いを巡らせていた


時だった


「急いで家へ帰りなさい。」担任の先生が、神妙な顔付きで声


を掛けてきた・・・家で何かあったんだ!。でなきゃ担任が生


徒へ家へ帰れなんて声を掛ける事なんて皆無だ。不安な気持ち


を胸に自転車のペダルを全力でこぐ。家へ到着し自転車を飛び


降り玄関へ向かうと父が立ち尽くしていた。


「父さん!何かあったの!?」


「・・母さんが倒れたんだ。」その一言に言葉を失った。同時


に優しく微笑んだ母の顔を思い出していた


「病院へ運ばれて今、緊急手術中だ。これから病院へ行くぞ」


父の強張った声からも不安と緊急が取って分かった。今朝まで


何とも無かったのに。普通に元気だったのに。何故?何故?


何度も問いただす。飛び乗ったタクシーのラジオからは野球中


継が流れていた。盛り上がる中継、湧き上がる歓声とは逆に車


内は静まり返っていた。運転手も何かを察してか沈黙しチラチ


ラと後部座席の私達親子の様子を伺っている、病院へ到着した


私達を、手術を担当したという先生がロビーで出迎えた


「先程手術は、終わりました。油断は出来ませんが成功です」


その言葉に父は安堵の表情を見せた。いや父だけでなく勿論私


もだ。集中治療室へ通され静かに眠る母の姿を見た時に目頭が


熱くなった。見た事も無い母の姿が本当に痛々しくて中学生の


私の心を掻き乱す。父と待合室へ向かい一息つく。他に人は


なくボリュームを抑えたテレビが野球中継を流していた。


つづく

明日は、「道の日」。

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