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8月物語  作者: 右京
8/31

親孝行の日

今日は、「親孝行の日」。

夢を見ていた


あの夏の日の出来事の夢。切り絵師の見事なハサミ裁きを


見ていた。そしてあの時と同じ様に拍手も。黒い台紙に乗


せた作品を下ろし、新しい紙とハサミを持ち構えると不意


に声を掛けられた


「そこの子」目隠ししてる筈なのにその顔は、真っ直ぐに


私の方に向けられていた。えっ?俺?声にならない声を出


してしまった


「何を切って欲しい?」優しい声と美しい口元の小さな微


笑みに目を奪われた


「えっと・・あ・・じゃあ・・」高鳴る心臓、周りからの


視線に変な緊張感が走った。そんな夢の中でドギマギして


る事を知る由もない目覚まし時計のけたたましい音に飛び


起きた。何て事してくれるんだぁ・・・目覚まし時計が恨


めしかった。もう数カ月も経つのに夢にあの女が出てくる


なんて、未練でも残っているのかと少し自分に呆れていた


そして夢の中の事を思い出していた。私は、何を切って欲


しかったのだろうと・・口から出る直前だったのを思い出


す。私は、野鳥、そう鳥を切って欲しいと伝えたかった


それを山に登っては野鳥に夢中になる両親への贈り物にし


たい考えたのだ。女の切り出す素晴らしい鳥の切り絵なら


きっと両親も喜んでくれる、そんな直感が働いたのかも知


れない。それで少なからず親孝行にもなるんじゃないかと


でもそれは、あくまで夢の中の話。しかも未完の。ぼんや


りと夢の出来事に想いを馳せた後に制服へ着替え居間へ向


かう。玄関先には空になった宅配の箱。居間のテーブルに


鳥の形をした切り絵が置かれているのを見て一気に目が覚


めた


「何っこれ!?」叫びにも似た声で台所に立つ母親に聞い


ていた


「お婆ちゃんからよ。あなたへのお土産だって手紙に書い


てあったわよ。」


手紙には、お婆ちゃんもあの切り絵師の作品に感動して、


たまたま残っていた鳥の切り絵を買い、野菜を送るついで


に一緒に送ってくれた旨が記されていた。鳥の切り絵に見


入った数分後


「これ、お父さんお母さんにあげるよ。好きだろ?」


「あら嬉しい、ありがとう。早速野鳥ブックに挟めなきゃ


ね。」母は笑った


夢の中で思った親孝行がまさかこんなカタチで叶うとわ


婆ちゃんと切り絵師に感謝した。


つづく

明日は、「野球の日」。

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