2お世話係
シーノがここにきて数日が経つ。
メイドのみんなはだいたい納得してくれたので良かった。
エレンは終始不満そうな顔をしていたが、ため息をついて「まあ、いいですよ。」と言ってくれた。
みんなはシーノのことを、シーノ様、シーノお嬢様、妹様などと呼んだ。
まあ私はジョーンズと違って呼び方にはうるさくない。ただ、お嬢様と呼ぶとリリと混合するので避けてもらいたい。
今日はメイドのユミリーが初めてシーノと会う日だ。
彼女はリリのお世話係をやっているので、シーノのお世話もすることになったのだ。
「お、奥様。おはようございます。」
ユミリーはぺこりと頭を下げた。
「シーノたちはあっちにいるよ。よろしくね~。」
「はい!」
ユミリーは奥の部屋へと向かった。
「この子ね。この子が奥様とご主人様が一目ぼれした女の子ね。えーっと何て呼ぼうか…。お嬢様じゃリリ様と被るし、シーノ様でもいいけどもっと姉妹感出したいなあ。じゃあ姉上様と妹様でいいや。」
何やらブツブツ聞こえる。
「あなたは誰?」
「私はお世話係のユミリーです。よろしくお願いします、妹様。」
仲良くなってくれればいいな。
そう思いながら私は部屋を出た。
もうそろそろユミリーの勤務時間が終わるので私は部屋に戻る。
「ユミリー、勤務時間が過ぎるわ。もう部屋に戻って。」
「では、失礼します。あ、ちなみに…。」
ユミリーがほほ笑む。
「妹様はクッキーが好きみたいです。今度おやつの時に焼いてみますね。妹様、ここに来てよかったと言ってましたよ。では。」
ユミリーが去ると、私は思わず笑い声をあげそうになった。
まさか短時間であんなに仲良くなったとは思わなかったからだ。
それに、シーノがここにきて良かったと思っていることを知れてよかった。
私は心の中でユミリーに感謝した。