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19学校で隠し事

「行ってらっしゃ~い。」

「行ってきます。」

私は心地よい夏の終わりの風を全身に浴びていた。

気持ちのいい朝。

ついついカバンの重さを忘れる。

(子供っぽさを意識して、決して相手が考えていることを言い当てないように…。)

あの授業参観の時から一目置かれているんだから感受性のことはばれないようにしないと。

自分の境遇を素直に描けば子供っぽいかと思ったけど逆効果だった。

最初はみんなが私を怪しんでいるって気付かなかったし、私って天然なのかな?

ああ、そういえばあんな会話したな…。

「ねえシーノ、感受性が強い人は優しいって聞いたよ。シーノはすごく優しいよね。やっぱり感受性強いんだ!」

「ん、そう?」

レイスの優しさ。本人はさらけ出しているつもりなんだろうけどあんまり出ていない。私とか大人とかならわかるけど。

私は何なんだろう。

レイスもお優しいって言ってた気がするけど、私は隠しているつもり。

まさかレイスと逆ってことなのか?

隠しているつもりだけど丸見えってこと?あの馬鹿はそういうことは思っていなかったっぽいけど。

とにかく悟られないように隠さないと。

そんなことを考えているうちに学校に着いた。

「みんな、おはよう!」

挨拶も子供っぽく。

子供っぽい笑みを浮かべ(ようと努力し)て。

授業中は先生に指されない限り話さない。

休み時間はみんなと遊ぶ。

「早く行こう、シーノちゃん!」

こんな私にも友達はいる。

(すごいうきうきしてる。見ればわかる。)

「何して遊ぶ?」

私は友達のリリカちゃんに尋ねる。

「うーん、どうしよっか…。」

「えーっと、ボールを使った遊びがいい。なるほどね、賛成!」

「え、突然どうしたの?ボール?」

「い、いやあ、ボールを使う遊びがいいんじゃないって。」

危ない危ない。ばれるところだった。

何だか最近人の心が手に取るようにわかるようになってしまったのだが。

あの子はお弁当を楽しみにしているとか、この子はお花が好きとか。

すぐにわかる。どんどんわかるようになる。

隠せなくならないかどうか心配だ。

「それー!」

「そっち行ったよ~。」

私は運動系は年相応なので隠す必要が無くて助かる。

決して自分は頭がいいと言っているわけじゃない(本当)。

とはいえ、細かい仕草でどこへボールを投げようとしているのかわかってしまうので、友達から運動神経抜群だと思われてしまっている。隠さないと。

昼。お弁当を食べる。

(おいしい、なんとなくレイスが作った気がする。)

ふと目の前を見ると、何か違和感があった。

(うう、お母さんったら私の苦手なものばっかり入れるんだから…。)

という声が聞こえた気がした。

かわいそうだけどなにもできないので気まずい雰囲気になってしまった。

午後も午前中と同じように過ごす。

一人で帰りたいんだけどお友達が来るので一緒に帰る。

(へえ…帰ったら宿題するんだ、まじめだな。それが終わったらおやつ、いいね。その後はゲーム…なんだそれ。)

はあ、もうこれからは感受性が強いじゃなくて心が読めるって言おうかな。

超能力レベルだもん。

まあ普通の人間だし。いいか、このままで。

「家に帰ったら何しようかな、宿題終わらせておやつ食べて、ゲームをしようかなあ。」

(もう聞いたよ…。)

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