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1シンニュウシャちゃん

「今日も退屈ねえ。」

私はため息をつく。

このお屋敷は毎日何もかもが同じで、面白いことがない。すると、

「ちょっと、暴れないで。」

という声が聞こえた。

これはメイドのリーダー、エレンの声ね。

「ちょっと~。どうしたのよ。」

私は廊下に出る。そこにいたのは小さな女の子とその子をつまむエレンだ。

「あ、レイ様。この子、勝手に家の中に入ってきたのです!」

エレンが少し怒っているような声で言った。

「へえ。お名前は何かしら?」

「名前って、そんなの知りませんよ。とりあえず、この子は侵入者なのです!親はどこなのかしら。」

「そう。シンニュウシャっていうのね。こんにちはシンニュウシャちゃん。」

私はにっこりした。

「そういうことじゃないです~。とりあえず、ご主人様のところへ行きますよ。」

エレンが廊下を歩いていく。私も後を追った。


「エレンに、レイか。その子は誰だい?」

私の夫でこの屋敷の主である、ジョーンズが私たちに尋ねる。

「この子はお屋敷に勝手に入ってきた侵入者です。」

「そうよ。で、この子のこと、どうしようかしら?」

私は首を傾げた。

「うーん。とりあえず、どこから来たのか聞かないとな。お嬢ちゃんはどこから来たんだい?」

「私、子供がいっぱいいるところで暮らしてたの。でもつまらないからここに来たの~!」

シンニュウシャちゃんはどうやら孤児院のようなところから来たらしい。

「退屈なら、ここに住めばいいじゃない!」

「え、レイ様!?まず、孤児院に連絡しないと…。」

「どうせどこの孤児院から来たのかわからないし、ここで私たちと一緒に暮らしましょう、シンニュウシャちゃん。」

私はエレンをたしなめた。

「よろしくねシンニュウシャちゃん。」

「あれ?何してるの。」

突然声が聞こえた。

「あ、リリ。この子はこのお屋敷の新しい住民のシンニュウシャちゃん。あなたの妹よ。」

私は娘のリリにシンニュウシャちゃんを紹介した。

「そうなんだ。何歳なの?」

「私は七歳よ。」

シンニュウシャちゃんは七歳だそうだ。

「今日からよろしくね。」

リリがにっこり笑う。

リリは十歳だが、まだまだ幼いところがたくさん残っている。

「ところで、その名前、ちょっとかわいそうじゃないですか?」

「そんなことないと思うわ。」

「いや、シンニュウシャちゃんって、ちょっとねえ・・・。」

エレンが頭を抱える。最初にこの子がシンニュウシャって言ったのはエレンなのに。

「じゃあ、シーノってどう?」

「…いいんじゃないですか。」

こうして、シンニュウシャちゃんの名前は変わり、シーノちゃんになった。

「じゃあさっそく部屋とか必要なものを用意しないとな。」

ジョーンズも笑っている。

「あ、あの、私の名前はウーシャ」

「よろしくねシーノちゃん。」

一瞬シーノちゃんが何か話した気がしたが、気のせいだろう。

「メイドのみんなはシーノのことをシーノ様と呼ぶんだよ。もうこの子はうちの子だからね。リリと同じ扱いでよろしく。」

「…御意。」

こうしてシーノはめでたく我が家の一員になった。

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