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そうして、私は男爵家の孫娘からセントブルーム王国の王女となった。
叔父様に連れられこの国にやってきた当時、3歳であった私。
育った環境のせいか、妙に達観したところがあり、自分の状況をしっかりと理解していたように思う。
王様の政務室に通され、
「我が友、リービッヒ王太子殿下。元気であったか。」
「あぁ。セブルス王よ。急な訪問、申し訳なく思う。」
叔父様は私のことを先に伝えることで存在をもみ消されることを危惧し、
【これから訪問す。急な訪問許せ。】
とだけ、手紙を出し、突然セントブルーム王国訪問したのである。
この時のことを振り返りいつも、あの時は気が動転していた。セブルスがそんなことするはずがないと、私は知っていたのに。と笑いながら語っている。
王様は王太子の時代、サングリア王国に留学しており、相当仲が良かったらしい。今でも相変わらずのようだが、16歳でセブルスが王となったのちの王妃様との結婚式以来、立場が変わってしまった二人はあってなかったようだ。
実に13年ぶりの再会だったのである。
「気にするな。それで、だ。何かあったのか。」
王様はこの時、内乱でも起きて国を追われたのではないか。とハラハラしていたそうな。
「…先日、ユーリアが死んだ。」
その言葉に王様と宰相さんは息をのんだ。
叔父様は淡々と続けた。
「数年前、何があったのかこちら側は把握している。」
「「……っ‼」」
「…い、今更慰謝料を出せとでもおっしゃいますか?そんな話をいまさらお出しになられて。あの時、確かにユーリア殿とはなかったことに、と。ユーリア殿の提案で。我々もそれに従い、今までそのように扱ってきたのです。故人のことでいまさら.....!」
宰相さんはこの件に関しては明らかにこちらに非があり、膨大な慰謝料を請求されることを覚悟した。とのちに語っている。
「んなもんいらねぇよ。…こいつのことだ。」
「…そ、そのこは?」
「ユーリアの娘。今年4歳になる。」
「俺の子…なのか、?」
「あぁ。アンジュ、アンジュ。起きなさい。」
数度揺らされ、私は目を覚ました。
「、、、おじ、ちゃまぁー。」
その開いた眼を見て、二人は目を見開いた。
「パープルピンク…。」
そう。私の眼はセントブルーム王国の王族にしか生まれない、特殊な魔力を持つパープルピンク色をしていたのである。
王様の子であることを疑う余地がなかった。
「…‼なぜ今まで言わなかったんだ!、一体どうやって、隠し通してきたんだ!?」