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真実の欠片。  作者: iRIs
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今でこそ、仲のいいお二人だが、一時険悪な時代があった。



王様と王妃様は恋愛結婚である。

でなければ、こんなに子供をつむげないだろう。

結婚してからすぐエミリアお姉さまが生まれた。しかしその後、なかなか、御子を授かれない時代があった。4年の歳月がたちやっと授かった第一王子。もしものためにと危惧した家臣たちに煽られ、王様は第二皇子と第三王子を次々におつくりになった。

王妃様は第三王子を生んだのち、第一王子の保険で二人の子供をもうけさせられたと知り、激昂した。彼女にとって子供たちはみな愛しい人との愛の結晶で等しく大事な存在であったからである。愛しい人の裏切りだと感じた王妃様は4人の子供を連れ、離宮へと出て行ってしまった。

王様もはじめこそ、王妃様に違うんだと許しを請った。しかし、1年経とうと彼女の怒りは冷めず、王様はその間一瞬たりとも子供に合わせてもらえなかったのである。

とうとうしびれを切らした王様は、許しを請うのをやめ、二人の仲は冷戦状態へと突入する。政治のため顔を合わせても落ち着いて話せるのは政治に関する話のみで、ひとたびプライベートな話をしようものなら罵り合っていた。

当時二人は25歳。王様はまだまだお盛んなお年頃であった。いくら険悪といえど、王妃様を愛していた王様は恋人だったころに誓った側室は置かないという約束を守り続けていた。


しかし、ある夜会で王様はとても心惹かれる女性と出会ってしまう。私の母であるサングリア王国の第3王女であったユーリアである。詳しくは知らないが多才で知性にあふれているうえに茶目っ気のある、人をひきつけてやまない人であったそうだ。二人は初めて会ったその夜会で意気投合し、お酒の力も手伝って一線を越えてしまった。母が目覚めて最初に言った言葉は、「…やっちゃった。」なんとも、王様をものにした人とは思えない発言だったらしい。そして母は、王妃様を裏切ったことを後悔していっる王様になかったことにいたしましょう。そういって、王様はその日、一晩宰相さんと会議していたことにされ、母は夜も明けきらむ前に自国へと帰ってしまったのである。王様と宰相さんは戸惑ったものの、母がそういうのならとたっぷりと謝礼金を渡し、丁重に帰国させたのである。そうして、その日のことは数年の間忘れ去られていたのである。母が亡くなり、私が現れる前までは。


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