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私たちが出会ったのは、もう何年も前の今日みたいな陽気な春の日であった。
昨日のことのように思い出せるがあれは、私がまだ3歳、彼が7歳のことである。
彼は忘れてるかもしれないが私には忘れられない思い出である。
「殿下、スティーブ先生が困っておられます。どうか教室にお戻りになってください。」
はっ、となって振り返ると
最近、私付きの侍女になった彼女が困ったように言った。
私はこのセントブルーム皇国の第2王女である。
第2王女と言っても、第一王女であるエミリアお姉さまは10コ上の26歳である。
私はあと数ヶ月で成人を迎えようとしている。
ちなみにお姉さまと私の間には3人のお兄様がいて、22歳の第一王子のエンドリューお兄様、20歳の第二皇子であるレンお兄様、18歳の第三王子であるマクミランお兄様である。
6個下には第四皇子であるカーザスと10個下のレイモンドがいる。
こんなにいたら、後継者争いとか後宮で戦争が起きそうなものだが実は私以外の全員が王妃様の実子であるため、王国は平和そのものである。
そう、私だけ。違う。
唯一の側妃から生まれた娘であった。