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それでもいいと言ったなら

 アイシャに手を引かれながら、となりの部屋へと移動する。起き上がってすぐに窓際を歩いた時は、まだ足元に不安があったが、今はなんの問題も感じていない。


 ドアを抜けた先の部屋は、やはり少し広くなっていた。アイシャは入ってすぐに左手にあった飾り気のない小さな棚の上に、ベルトに掛けられていたクロスボウと短剣を置いた。今までずっと身に着けていた様だが、これから食事なので外したのだろう。棚の上部には幾つかの道具が掛けられている。


 右手にはレースのカーテンのかけられた四角い窓と、外への出入り口と思しき扉があり、扉の上にも小さな格子状の窓が備えられ、その下には花柄の模様の絨毯が敷かれていた。部屋の中央あたりに置かれた、食卓らしき歪な円形のテーブルは、大木の幹をそのまま輪切りにでもしたのか、年輪の様な複雑な模様や大小、様々な傷が刻まれていた。そのテーブルの両側には、ふたつの丸椅子が向き合う様に置かれている。

 椅子はふたつ? 一人で暮らしている訳じゃないのか?


 正面の壁には、森の情景を描いた額縁付きの絵が掛かっている、描かれているのは精霊の森なのだろうか? とすると、描き手はエルフなのか?

 壁に面した床には食器棚と小さなチェストが置かれており、その上には、観葉植物の鉢がふたつほど見えた。ひとつは大きな葉と長く垂れ下がって伸びた茎が特徴的な、地球上のポトスの様な植物だった。もうひとつは木質化した幹が特徴的で、葉は上を向いて大きく伸びていて小さな樹木に見える、地球上でのパキラの様な外見をしていた。

 まだ二日くらいしか経っていないはずなのに、とても懐かしく感じる。姉が色んな植物を買って来ては、上手く育てられなくて、枯らしてたっけ。


 正面の壁を仕切る様に、大きく張り出した柱の向こう側は石造りの暖炉で、その煙突は、天上に至る前に一段と低くなり、壁が迫り出した場所から外に向けて伸びている。暖炉の側には、火かき棒や火ばさみといった道具が専用の留め金に立てかけられていたが、今は薪も灰もなく、火はついていない。


 奥の壁際は台所で、そこは板張りの床ではなく、土間になっており、暖炉と共用なのか、右奥にある簡素な木枠の棚に、大きさや細さの異なる薪が敷き詰められている。左端にあるのはさきほど話に出た空の水瓶だろうか?

 台所には、火が熾せる場所がよっつあり、一番ひだりは鉄板、次は網、そのとなりには鍋が置かれ、右端は小さな石窯になっていた。石窯のとなりにはピールやトング、包丁などの調理器具が置かれていた。


 アイシャは軽い足取りで、鍋に向かい、調理器具の置き場から何かを掴み取り、火をつけた――!?


 いや、まだ火はついてない。どうなってるんだ、あれは!?


 アイシャの手の平を中心に、周りの空間自体が赤く明滅し、やがて薄い赤色の光を纏い、その輝きは徐々に増していく。その中心に何かが見えた気がした。


 あれは――赤いトカゲ?


 次の瞬間、とても小さな火種の様な明かりが灯り、用意されていた、着火用の木片へと空中を這うように落ちて行き、火がついた。その後も赤い輝きが消えることはなく、かまどの中にくべられた薪の炎は、狭い空間を舐めつくす様に、隅々を照らし大きくなっていった。


「このくらいでいいかなあ? こっちは、もうちょっと弱い火にしないと……」


 次は左端にある鉄板が置かれたかまどに火をつけた。手の平の中の赤い輝きは失われておらず、先ほどよりも簡単に着火できたようだ。


「ふぅ、これですぐに温かくなるはずだよっ! カイトもこっちに来て食器の準備を手伝ってくれる?」


 目の前で繰り広げられた不思議な現象に目を奪われ呆然としていたが、突然、名前を呼ばれて、我に返った。手伝うことよりも先に、質問してしまう、それほど興味を惹かれる光景だったのだ。


「今のって何? 手の平に赤いトカゲみたいなのが見えたけど、やっぱり魔法の類なのか?」


 アイシャの周囲を照らしていた赤い光は、既に見えなくなっていた。彼女はこっちを向き、手の平を見せた。何かが乗っている――?


「今のはねぇ。この触媒と『マナ』を使って『火の精霊』の力を借りたんだよ」


 そういって見せられた手には黄色と銀色の小さな石が乗せられていた。ふたつの石はまだ少しだけ発光して見える、これがあの空間を生み出した鍵なのか? もう一度、さきほどの光景をイメージし、脳内で反芻してみる――。とても幻想的で、神秘に触れた様な、形容しがたい感情を抱かせるものだった。あれが、魔法だと言われれば、疑問を挟む余地もなく信じてしまうだろう。


「その、触媒って何なんだ?」


 アイシャは作業を邪魔している事を咎めもせず、こちらの疑問に答えてくれた。


「これ! 『パイライト』と精霊銀『エレスティアル』は『火の精霊』を呼び出すのに一番、適した触媒なの! 適切な触媒を選べば、『マナ』の消耗も抑えられるから日常生活ではとっても便利なんだよ!」


 また『専門用語』の嵐である、マナってゲームでよくあるエムピーの事だよな。エルフは人間よりも先天的に二十ポイント多かったりする。この世界では自然の中に漂っていたりするのか? 

 てか日常生活でも魔法ってばんばん使っちゃうの?


「マナはねぇ。使い手によって利用法じたいが違ってね。私の場合は『精霊魔法』だから大気中や周りの自然からマナを集めて、精霊素を励起して発動するんだよ。だから精霊魔法の場合は、術者のマナの消耗は少なく済むの。その他の魔法使いの場合は、大体は自分の中の霊体が持っているマナを使う事になるんだ。……まあ精霊魔法じたいのマナの消耗量が大きいから、使われる総量にあんまり違いはないんだけどね」


 精霊素? それもマナと同じ様に自然界にあるということか?


「精霊素はね! 自然界にあるどんな精霊にもなり得る、『精霊の卵』みたいなものだよっ。でも場所によっては、精霊の力が弱くなってて、実体化に必要なマナが飛躍的に増大したりするんだけど……」


 なるほど? 分かったようで分からない。

 精霊魔法もその他も、マナの消耗量に違いがないのなら、精霊魔法の利点とは何なのだろうか?


「それはね! ずばり! 精霊を実体化させて力を借りるから、高度に使いこなせれば、精霊じたいを自律的に行動させられる所なの! つまり何もいない所から仲間をひとり呼び出せるようなものだよっ!」


 アイシャは右手の人差し指を天井へ向けてポーズを取る。ゲームでもよくある召喚魔法みたいなものか。それが戦いでどれだけ有利に働くかは容易に想像できた。もし、俺が代わりに攻撃してくれる精霊を呼び出せたなら、俺自身が弱くてもあの一つ目くらい難なく退けられただろう。


「そのためには精霊との親和性を高める修行が必須なの。カイトにかけてあげた、アキュラもねぇ。スピネルと精霊銀を触媒にして、血の精霊の力を借りる魔法なんだよ! ……私の修行不足で、血の精霊とあんまり仲良しじゃないから上手く使いこなせないんだけどね……」


 そう言って、アイシャは少し落ち込んだ様に俯いてしまった。むむ? 余計なところに触れてしまったか? それにしても精霊とはいったいどれだけの種類がいるのだろう? 彼女はこちらの問いに答えて、すぐに顔を上げた。


「火、水、風、土の『四大精霊』に、他にも生物に関連づいた血や草木の精霊、光や闇とかもいるんだよ。まだ確認されていない精霊もいるかも知れないって説を唱えて、未知の精霊を探し出す冒険を仕事にしてる学者さんとかもいるくらい、エルフにとっては身近な存在なんだよっ!」


 精霊のいない生活なんて考えられないくらい、と付け足された。情報量に理解が追いつかず、相槌をうつことしか出来なかった。精霊魔法とはこの世界にきたばかりの人間が使えるほど簡単なものではなさそうだ。


「便利だけど、マナの消耗量が多いから、回復のための瞑想や睡眠にいっぱい時間を取られちゃうのが唯一の欠点なの」


 マナも休憩によって回復するものなのか。俺の霊体とやらにもマナは眠っているのだろうか? まだ使われた事のない未知の力が自分にもあるのかも知れないと思うと、心が期待感で満たされていく様だ。


「自然界のマナが濃い場所ほど回復が速くなるから、精霊域の近くとかは瞑想に最適な場所なんだよっ! 私も昔は修行でずっと精霊域で暮らしてたなあ。……そういえば、お母さんも精霊域で修行したって話してくれたっけ……」


 アイシャはまた俯いてしまい、瞳はここではない何処かを見ている様だった。今度は、先ほどよりも深刻に見えて、声をかけるのを躊躇してしまう。母の話をしていたが、何かがあったのだろうか? そういえば、アイシャの家族についてはまだ何も聞いたことがないな。会ったばかりだから当然かも知れないけど。……しばらくして、沈黙を破る様に嗅覚が何かをとらえる。


「この匂いは――? あ、肉が焦げてるんじゃないか?」


 たいへん! とアイシャは台所の方を向き、何かを手に取り、一気に鎮火した。また右手が光を放ち、かまどの中の空気が揺らいだ様に見えたが、水をかけた訳でもなく、火は一瞬で消えてしまっていた。どういう原理なのだろう?


「もう! カイトがいっぱい質問してくるからぁ、ご飯の事、忘れちゃってたじゃない! せっかくの「美味しいお肉」が黒焦げになっちゃうところだったよっ! ふふふっ、これは償ってもらわないとね……」


 不気味な笑いとともに、穏やかじゃない言葉が聞こえた気がするが……、空耳だろうか?


「さあ、ご飯たべよっ! 今度こそ食器の準備を手伝ってね」


 皿は木製と陶器の様だ。それらを食器棚から取り、アイシャに手渡していく。底の深い大皿に、木製のおたまに掬われたシチューらしきものが注がれていく。色とりどりの食材の入ったそれは、とても美味しそうに見えた。それを受け取り、二人分をテーブルに並べ、木製のスプーンとフォークをそばに置く。ナイフだけは金属の刃がついていた。それから小皿をいくつか重ねて置く、後で使うものなのかも知れない。

 もうひとつの鉄板の方が気になったが、アイシャはそれには手をつけず着席してしまったので、無言でそれに倣う。


 箸があればいいのだが、今はないものねだりをしても仕方ないな。後で余裕があれば自分で作ることを考えてもいいかも知れない。そんなに器用とも言えないが、慣れ親しんだ道具を使う方が食事も楽しくなるだろう。目の前で湯気をあげる大皿を眺めながら、そんな事を思っていたら、突然、咎める様な声が聞こえた。


「もう! ほんとにえっちなんだからぁ! ご飯の時くらい我慢できないの?」


 なに!? 今、なんて言ったんだ? 誤解としか思えない言葉に、アイシャの目を覗き込んでしまった。


「いや、誤解だから! 今はその飯の事を考えてたんだ! 他のとこなんて見てないし!」


 アイシャは疑っている様な声音で続ける。


「うそばっかり! ここに視線を感じたもん! カイトのバカ! えっち!」


 そう言われると、余計にそこを注視してしまう。確かに『豊かな実り』はテーブルの上に乗せられて、艶めかしく歪み、その姿態をいやらしく強調していた。いちど目に入ると逸らそうと思っても釘づけになり、出来なくなる。


「ほら! やっぱり見てる! うそつき!」


 アイシャは頬をふくらまし、次々と罵声を浴びせてくるが、完全な誤解だった。それに言及されなければ、今も目の前の食事のことで頭は占有され、余計なことは考えなかったはずだ。


「ヘンタイ!」


 ぐあっ! つ、遂に言ってはいけないことを――! その言葉が思春期のガラスの様な心をどれだけ傷つけるか分かっているのか!? 我慢ならなくなり、攻勢に出る。


「だから誤解だって! さっきまで飯のことばっかり考えてたし! 自意識過剰なんじゃないのか? 嫌らしいことを考えてたのはそっちだろ!」


 反撃を受けるとは思っていなかったのか。アイシャは両手を握りしめて震わせながら、目を白黒させている。そこに容赦なくとどめの一撃を放つ!


「このヘンタイ! エロフ!」


 みるみるうちにアイシャの表情が変わり、紅潮し、涙目になる。潤んだ金の瞳はより大きく見え、輝き、周りの風景を映しこんでいた。その目には、自分が悪であるかの様に錯覚させる力があった。

 しまった! ちょっと言いすぎたか!


「ひどいよ! ヘンタイとかぁ! あまつさえエロフなんて、ひどいよぉ。種族じたいへの侮辱だよお! 絶対! 許さないんだからねっ!」


 アイシャは涙を浮かべた上目遣いでこちらを睨み付けてくる、その目には抗議の意思がありありと見て取れた。

 不味いぞ!? 本気で怒ってしまったのだろうか? 彼女を傷つけたって何の得もないのに、なんてことをしてしまったんだ! 自責の念が沸き上がってくるが、もう手遅れか!?


 いや、アイシャの表情は一瞬で変化して、今度は自信満々な笑顔になっていた。理解が追いつかず、呆然と見つめてしまう――。

 そして、アイシャはテーブルの上に乗せられていた、その『豊かな実り』を両手で挟み込み、谷間を強調する様に歪ませた! 男の視線を吸い寄せる魔力を持つ、誘蛾灯の様なそれから目が離せなくなる!


「ふふぅん! 私の勝ち! カイトはまた私の胸に屈して、ひとつも抵抗なんて出来ないんだからねっ! さあっ! 少年! お姉さんの前にひれ伏しなさいな!」


 アイシャは勝ち誇った様に高らかに笑った。


 うああああ!? 姿態と言葉の同時攻めに合い、ふたたび脳天に雷の直撃を受けた様な衝撃を感じた。しかし、今回はそれだけではなく、後ろめたい快感も覚えていた。そして同時に血の涙を流す。


 俺の弱点が完全に把握されてしまった!? このままでは、一生、弄ばれて慰み者にされてしまう!?

 俺の反応に気を良くしたのか。アイシャは更なる追い打ちをかけてくる。


「ふふぅん。カイトに勝ち目なんてないんだからぁ。まだ私は、あの『魔法』の言葉も使ってないもんね!」


 なにぃ!? ま、まさか、それは――!

 おそらく予想通りだろう、アイシャの唇が徐々に『魔法』の言葉を発する形に変わる――!


「お――」


 そうはさせない! させてなるものか!

 音速の動きで、身を乗り出し、アイシャの唇に両手を伸ばし、人差し指を交差させてバツをつくり、口を塞いだ! 柔らかい感触が指を押し返してくるのに興奮を覚えたが、そんな事を考えている場合ではない。


「むぐぅっ!」


 何とか阻止できたようだ。アイシャは俺の行動が予想外だったのか、顔を紅くしながら、硬直していた。

 反撃成功だな。アイシャは首を捻って指から逃れた。


「ぷはぁ! ひどいよカイト! いきなり口を塞ぐなんて! それにぃ、女の子の唇に無遠慮に触れるなんて、デリカシーがないよっ!」


 形成を逆転されてしまった、憐れなアイシャが吠えたてるが、そんな言葉さえも今の状況では、清涼剤にしかならなかった。

 俺は勝ったのだ。それにまだ手は残してある! 今度はこちらが追い打ちをかける番だ! 

 加速する鼓動が冷静な判断力を奪っていたのかも知れない。


「次にまた『あの言葉』を使おうとしたら、その時は――。この『口』を使って塞ぐぜ?」


 アイシャは目を丸くして驚いている様だ。そんな言葉をかけられるとは思ってもみなかったというところか?


「それってどういう――!? ……まさか、『キス』するって事!?」


 頭の血管が沸きたつ様な感覚とともに、顔から火が出そうになり全身が激しく震え出す! しまった!? 実際に言葉にされると思った以上に効くぞ、これ!? これは失策だったか!?

 アイシャは、胸と唇を押さえ真っ赤になって俯いてしまったが、しばらくの沈黙の後に、顔を上げる――。

 その目は真剣なまなざしを宿していた。蛇に睨まれた蛙の様に、動けなくなり、その瞳を見つめ返す。


「それでも――。それでもいいよって言ったらカイトはどうするの?」


 心臓が跳ねた。そんな解答――。予測できる訳がない。

 この娘は何を考えているんだ!? 分かるはずもない、答えを返せず、糸を切られた操り人形の様に、微動だにできずにいた。やがてアイシャの唇が再びあの言葉を発するために動き出す。


「お――」


 あれ? そこで途切れて止まってしまった。

 今この場でなら、小さな虫の羽音の囁きでさえも、時を告げる雄鶏の叫びの様に響き渡るだろう。

 しばらくそうして見つめ合っていたが、アイシャは再び俯き、身体ぜんたいが小刻みに震え出していた。


「カイトのバカ! ヘンタイ! うそつき! 意気地なし!」


 またマシンガンの様に、罵声が飛んでくる。どうしろと言うのだろうか!? 試されていたのか? ここで、顔を近づけたりしようものなら、すぐさま平手が飛んでくる未来しか想像できないのだが。大体、向こうからも近づいてこないと、テーブルを挟んだ位置関係では唇は届かないのだ!


 赤い顔でこちらを睨み付けるアイシャを見つめながら、答えのない問いを繰り返していた。その時、天の助けか? はたまたただの生理現象の偶然か。またあの低い唸りが、今度は「ふたつ」響いた。アイシャは驚きの表情に変わり、すぐさま両手で腹部を押さえ、恥ずかしそうにこちらを見た。


「うう、今のは私のじゃないよっ!? カイトのでしょ!」


 誤魔化そうと必死である。彼女の名誉のために付け加えておくと、俺のものよりも幾らか高く、可愛らしい音だった。たぶん。

 アイシャは小さな溜め息をもらし、脱力した両手を左右に振った。


「やめよう? ご飯を前にして喧嘩するなんて、みっともないもんね」


 落ち着いてくれたかな? お互いの胃に感謝しなくてはな。やはり空腹と食欲は強いのだ。

 そこで、アイシャはまた不穏な言葉を口にした。


「ふふふ、カイトに恥をかかされちゃったし、これはほんとに、償ってもらうしかないよね……」


 そしてこちらを真っすぐに見据える。真剣なまなざしに偽装されているが、目は微かに笑っている様だ。何だろう、この表情は……。余計に不気味だぞ。てか、恥とかかかしてないし! 勢いで言っちゃったのは、問題あったとは思うけど。


「いぃっぱい! 美味しいものを食べさせてあげるからぁ。楽しみにしててね! ふふふふふ」


 部屋には不気味な笑い声が響き渡る。さきほどまでの胸を躍らせていた期待感は何処に行ってしまったのか? これから言葉に出来ない様な恐ろしい目に遭うのだろうか?

 その時はまだ知らなかったのだ――。こんな疑問が霞む様な地獄が待ち受けていることを――。


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