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最強の成長するユニークスキル異界の心臓で、異世界無双 ~エルフ美少女に愛され養われ、精霊美少女にも愛されてハーレム状態~  作者: 手ノ皮ぺろり
第一章『精霊の森』五幕『異端の来訪者』

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ちんぷんかんぷん

 俺を壁際に追い詰め、目の前に迫る少女は匂いを嗅ぐようなしぐさを取り鼻を鳴らした。


「ふんふん。……みえてきたぞ。……おんしの心のひだに触れられる距離よ」


 そのまま犬の様に顔や身体へと鼻先を近づけて嗅ぎまわり、しばらくして俺の左手を両手で握って、掌を見つめて止まった。


「ふむぅ。ここじゃ、ここが一番よい」


 掌から何が分かるんだ? 心と言うと頭や胸あたりに近づきそうなものだが。


 少女はしばらく無言で掌をみつめていたが、おもむろに何事かを引き当てた様に話し始めた。


「むむむむ? むぅ? これは――! この言葉は一体!? おんしの心の内より一つ怪しげな言葉を拾い上げたぞ!」


 何だ? もう心を読まれてるのか!?


「ぽろり……。ぽろりとは何じゃ!? 密やかで何処か不穏な気配を漂わせた言葉よ……。ほれ、これが何を意味するのか。すぐさまつまびらかにしてみせよ」


 はあ!? ポ、ポロリって何だ!? てか、心を読んでる訳じゃないのか!?


 少女の向こう側に立ち、夢遊病の様に揺らめいて呟き続けていたアイシャが、この言葉の耳慣れない響きに興味を持ったのか、不意にこちらを向く。

 その暗い瞳に僅かに光が灯った。


 眼前の少女はその大きなオッドアイの瞳に、目一杯の期待を込めて穴があくほどに凝視する。

 この場ではどうするのが正解だと言うのだろうか? どうみても二人とも興味津々だ。だが――、俺の想像が正しければこの言葉は――!


「どうしたのじゃ? はようせい! それとも儂の問いには答えられぬと申すのか? 無駄じゃぞ。満足行く答えが得られるまでここを頑として動かぬ」


 少女は焦らされたと感じているのか、苛立ってきた様だ。掌を握る指に力が込められる。


「くふふっ! それともそれがおんしの望みかの? うん、うん。そうであろう、おのこは素直でなければな! 真に愛いやつじゃ!」


 先ほどの険のある態度から一転して破顔する。言われている内容には納得が行かないが、その表情を見つめるうちに魅了されてしまう。


 うう、やっぱり可愛いよな……。何か負けた気分だ。それに、このころころと万華鏡みたいに表情や態度が変わる所、良く似てるな。

 そう思いながら奥に居るアイシャに目をやると、依然として暗い表情ではあるが、答えを心待ちにしているのか、その両目だけは光を湛え始めていた。


「さあ! もう時はないぞ。答えよ!」


 少女は更なる剣幕で答えを迫る。

 その態度に押されながら少しずつ言葉を選び、話し始める。奇妙な事に額から一筋の汗が流れ、喉ははりついた様に動かなかった。


「い、いや……。何て、言ったらいいんだろうな……? ポ、ポロリとは……」


 ごくり、そんな音が聞こえてきそうだ。少女は固唾を飲んで俺の言葉の続きを待つ。


「そ、その乳首が……。ええと」


 二人はその単語に反応して食いついてくる。ちょっ! 近いって! アイシャもいつの間にかすぐ近くまで来てる!? 落ち込んでるんじゃなかったのか!?


「ポロリするんだ……」


 少女はその答えに不満気な声をあげ、頬を膨らました。


「何じゃ! それでは答えになっていないではないか! 儂を侮辱しておるのか!」


 憤慨する少女の後ろから驚きを含んだ言葉が零れだす。


「え!? 乳首が取れちゃうって事!?」


 何いってるんだ!? アイシャには、ポロリのニュアンスは伝わっていたのか、斜め上を行く想像をした様だ。


「何と!? それは大変じゃ!」


 二人は同時に胸の一部に手をやり、そこを隠して見せた。大事な部分を取られまいという意識の表れだろうか?

 ふおぉぉぉ! 探し当てなくても、そこが先端だと教えてくれるなんて親切すぎて鼻血が出そう!


 ただでさえおかしな状況だったが、思わぬ事態に興奮し更におかしくなっていた。


 あの巨大な双丘には全人類の憧れる夢の楼閣が立っていて、俺はそれを探し求め広大な砂の海を彷徨い歩く旅人……!


 瞬く間に妄想の世界が広がっていく。


 長く続いた旅路で、熱砂に焼かれた身体は渇き、飢え、力を失い倒れ伏し、死が全身へまわろうとしていた、まさにその時、半分は闇に呑まれていた意識はある音と匂いを感じ、目を覚ます。

 砂粒に覆われた瞼を懸命に拭いながら、頭のみを動かし、みやった視界には、見事な楼閣が現れる。

 そして、不思議な事にその頂きからは白く輝く川が流れだしていたのだ。


 とどまる事を知らずあふれ出すそれは、徐々に倒れた場所の近くまで流れ込み、幾筋もの湿り気を帯びた道を生み出していく。

 今まさに死に呑まれようとしていた身体に鞭打ち、立ち上がり、目の前に見える楼閣へと向かうが、あと少しでその川にたどり着くという所で、全ては幻であったかの様に消え失せてしまうのだ。


 そう――それほど発見が困難で幻として扱われているモノ。

 そこへの地図を今、俺は労せず手にしたという事さ。


 くくく、自分が恐ろしいぜ。


「ふむぅ。こともなげに初めに現れた言葉であったが、その様な恐ろしい意味が込められておったのか……。おんしの心も侮れぬな」


 いやぁ、何か感心されてるけど、考えたの俺じゃないし、多分、意味も勘違いしてるよな?

 元々は、乳首いがいにも色んな所が零れだしちゃうって事なんだろうけど。それを教える訳には行かないし、これ以上、追及されても良いことはないよな。


 少女はしきりに頭を動かし、感心した様に何度も頷いて見せた。その目が再びこちらを捉える。


「まだじゃな、次なる面白き言葉を探すとするかのう」


 まだやるのか!? 問いかける間もなく少女は再び俺の掌を握った。そして集中する様に、瞼を閉じた。


「むむ。感じるぞ……! これは――! りんちら……! りんちらとは何を示しておる!?」


 ええええ!? 何だよその言葉の微妙な関連性!?

 いや、待てよ。思った事とはまったく関係ない言葉かも知れない。最悪の答えを導き出す前に冷静になるんだ。

 てか、さっきの言葉の方が十七歳的にはクリティカルか。


 どうする? どう答える!?


「ええと、いや、なんて言ったらいいのか……」


 アイシャの方を見るが、今回は彼女の助力は期待できそうにない。先ほどは擬音的なニュアンスがたまたま通じただけで、今度は明らかにそうじゃない。


「その、輪っかが……ちらっと見えるんだ」


 少女は更に追及してくる。


「何じゃ? なんの輪じゃ」


 うぐぐぐ、答えられない……。くそぉ、こいつぅ。俺のこの葛藤を少しでも感じているのか!?


「ち、乳首の周りの……」


 そこで大きなため息が聞こえた。わざとらしく強調されていて、呆れを含んでいる様な。


「また乳首かの。まったくおのこというのは他に考える事はないのかの?」


 お前が言うかぁぁぁ!? 大体、言いだしたのもお前じゃねぇか!?


「もう! カイトのえっち! ヘンタイ! 見せてあげないもん!」


 完全に復活したのか、アイシャからも罵倒が飛んできた。

 なにこのいたたまれない空気。


「もうよい、次へ移るぞ」


 まだ続けるつもりなのか!? た、頼むから穏便に済む言葉を選んでくれ!


「むむ? ほう、ほほう。これはこれは、実に愉快な言葉じゃ、くふふっ! ちんちら! ちんちらとは何を示す! 早々に答えよ!」


 少女は勝ち誇った様な態度で俺に答えを迫るが、その口元はにやついていた。

 ぶふっ! こいつ、完全に勘違いしてやがるな? 残念だけど、その言葉はそんな意味じゃないぜぇ!


 後ろに居たアイシャも意味を勘違いしたのか、顔が真っ赤に染まり、おかしな事を口走る。


「わ、私は見てないもん! 最初に目を覚ました時に言ったでしょ! 信じて! カイト!」


 その様子を内心で笑いながら眺める。慌てちゃって可愛いなぁ。でもその言葉をそういう風に勘違いするって事は、自分の内面を無防備にさらけ出してるのに等しいんだぜぇ。

 思春期なみに想像力ゆたか何だからぁ。


「何じゃ、小娘は黙っておれ! ここからが良い所なのじゃ!」


 少女は苛立ちを露わにし、アイシャを叱った。


「くくく、何が良い所なんだぁ? 残念だったなぁ! さっきの言葉からの関連性で間違った答えを連想したみたいだけど、チンチラはそんな意味じゃないぜ! このヘンタイ二人めぇ!! その想像は自身を映す鏡だと知れぇ!」


 アイシャと少女は驚いた様に目を丸くする。アイシャの方は、言われた意味を理解したのか更に顔面を紅潮させて、俯きながら反論してくる。


「な、なら! 何なの!? チンチラって! カ、カイトにヘンタイって言われるなんて……!」


 くくく、悔しそうだなぁ。だが、反論の余地はないな。想像したのは自分で言葉に罪はない。


「いいかぁ、チンチラってのはなぁ――!」


 二人は悔しさを抑え切れない様子で震えながら言葉を待つ。


「動物の名前だよ!」


 驚きと開放感が同時に表れた声が漏れる。


「動物? どんな子なの? 可愛い?」


 アイシャは矢継ぎ早に質問を浴びせかけて来る。動物だったのが余程きになる様だな。

 それに対して、少女はつまらなさそうに呟いた。「何じゃ、動物の名か、つまらぬ」明らかに別の想像をしていて、その答えに窮し、俺が狼狽する姿をにやつきながら眺めたかったのだろうが、当てが外れた様だ。


「ええと、このくらいのサイズのネズミの仲間だよ。あ、ほらっ。家の前の草原で見たネズミ、あれにちょっと似てるかな」


 興味津々なアイシャに身振りを加えて答える。それに目を輝かせて聞き入っていた。


「あの子たちに似てるのなら可愛いのだねっ! 気になるぅ。直接みてみたいな! 何処にいるの?」


 残念ながらその言葉には期待される答えは返せなかった。


「いやぁ、その……。俺の故郷に住んでるやつなんだけど、この辺では見られないかなぁ」


 アイシャはあからさまに残念そうな態度を取り、うなだれた。


「そっかぁ、どんな子なのか、見てみたかったな……」


 いつの間にか自分を押しのけ前に出てきていたアイシャを、不機嫌そうに横に押しやり、少女は咳払いをした。


「もうその話はよい! くふふふ、儂は、ちぃとばかし、鶏冠に来たわ。覚悟せよ」


 少女は敗北を感じているのか、不満そうに俺の手を取り、集中する。


「えええ! まだ続けるつもりなのか!?」


 今度は思わず声に出してしまった。これは、俺を追い詰めるまで諦めないつもりかも知れない。妙な所で火がついてしまった様だ。まったく厄介な相手だな。


「むぐぐぐ! これじゃあ! この言葉を何とするか、高みの見物としゃれこむかのぉ」


 明らかに先ほどまでとは気合の入り方が違う。それ程までに俺を陥れたいのか!?


「ちんぷれい! ちんぷれいとは何じゃ!? 答えよ!」


 こいつぅ! 完全に狙って来てやがる……! もう恥も外聞もないな。自分からちんはそういう意味だと決めつけてやがる! 乙女のたしなみとかそういう概念はないのか。

 余裕を持った態度で堂々と答えを返す。


「ふっ。甘いな。それもお前の思った様な意味じゃないぜ。スポーツとかで使う言葉だよ」


 アイシャはその言葉に何処か安心した様な表情を見せる。


「何じゃと……! くっ! また外れたか! だが、すぽぉつとは何じゃ?」


 くくく、悔しそうにしちゃってぇ、良い反応だぜぇ。


「素直な君には、素直に答えを返してあげたい所だが――」


 ここで一度とまって考える、この世界、どんな文明なのかまだ分からないけど、スポーツなんて概念、存在しないかも? なら、また故郷の話で誤魔化すか。


 アイシャの不思議そうな声が響く。


「え? スポーツって、運動競技とかそういうのの事でしょ? お化けさんは、知らなかったのかな?」


 何気なく発せられたその言葉が相当に気に入らなかったのか、少女はアイシャの方へ振り向き、声を荒げる。


「何じゃ! 小娘の分際で儂より物知りだと主張しよるか!? この世界のどんな書物や生き字引よりも儂はモノを知っておるぞ!」


 ここでこちらを見て、怪しげな流し目で口元を隠す。


「くふふっ。特におんしの様なおのこの事は知り尽くしておる、その欲望もな」


 そして、下腹部あたりを一瞥する。

 んなぁ!? また嫌らしい事かんがえてやがるな!


「もう、女の子なんだから、そんなえっちな事ばっかり言わないの!」


 何だ? アイシャもこの発情精霊に慣れて来たのか、平然としているな。


「カイト。この子にはやく服を着せてあげなきゃダメだよ! どんな服がいいかを聞きたかったけど、カイトがはっきり答えなかったせいでこんな事になってるんでしょ?」


 まさかの俺が責められるタイムか。そんな事を言われても、このヘンタイは、最初は純粋な興味から引き当てたらしい言葉から、おかしな想像ばかりまき散らしている。

 うん、俺は悪くない。


「そうはいかぬ! 儂に堪らぬ愉悦を与えてくれる言葉を見つけ出すまで引き下がらぬぞ!」


 火がついたヘンタイの情念を止める術はないのか。まだ続ける気らしい。半ば呆れながら続く言葉を聞き流し、それでも心の奥底では、何処か不思議な高揚感を覚えていた――。


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