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海の中へ

 ミャオは我を取り戻した。今の自分の機体は硬い材料に覆われ、柔らかい部品などない錆びた機械人形であった。でも、この中に少女の魂があるのだと自覚した。


 それにしても自分という存在はなぜここにあるのか? 疑問を持つようになっていた。今まで何百年も何千年も繰り返して来たようであるが、その行動に意味があることだったのかが分からなかった。それから少しずつデータバンクの鍵が開き始めた。


 災害に見舞われたあと、ミャオが釣りをしていた海は流入してきた木や泥水などに汚染され、魚が釣れないようになった。そのためミャオは海に直接入って魚を採ろうとしていた。


 ミャオのボディは錆びだらけで防水加工をされていても海水に浸かっても大丈夫なのか心配な状態だった。ミャオを覆う外骨格は錆びまみれで元のボディ表面は盛り上がっているように見えた。その時まで満足なメンテナンスなど出来ているはずもないので、ある意味危険な行為であった。


 それでもミャオが海に入ったのは猫たちのためだった。豪雨災害から以降は多くの猫たちがミャオの元から去っていったが、一匹だけ例外がいた。キジネコの子猫だ。少なくともその子だけは去ってほしくなかったから。あの遠い記憶にあった子猫とうり二つだったから。


 海の中を歩こうとしたが、浮力がないので沈みながら進むようになった。ミャオの稼働システムは生体組織への電気刺激と化学反応で行われているので、短い時間なら大気に依存しなくても問題なかった。だから海へ潜るのは人間のように息づきしなくてもできた。ただ、機体が持ちこたえるのかは不明だった。


 海に潜った時、視覚センサーなどは濁った海水の中に潜む魚介類を見つけ出すことが出来なかった。そのときだった、またしても記憶が蘇って来るではないか!

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