フラッシュバック!
雨は三日三晩続いた。その間、猫たちの避難場所に球体はなっていた。ミャオはただ猫たちのせわをしていたように、一緒にいた。球体の内部は猫たちの排せつ物などの臭いが充満したが、機械として数値で認識するだけの彼女にはまったく動揺することは無かった。
雨が上がった後、外の世界は元のように戻ったわけではなかった。川が氾濫し木々の間を押し流したため、様子が一変していた。そしてミャオがいつものように釣りに行こうとしたら、定位置に行くまでの防波堤が崩れていた。そのため、ミャオはいつも以上に時間がかかってしまった。そして釣り糸を垂らそうとしたが、海には陸から押し流されてきた木々が浮かび海水は泥色へと変わり果てていた。当然のことだが釣りは出来なかった。
ミャオについて来た猫たちは催促するが、魚を釣れない彼女に対し不満だとばかりに八つ当たりし始めた。そしてしばらくすると猫たちは去っていった、一匹を残して。それはキジネコの子猫だった。その子猫を抱き上げるとミャオは静かに遠くを見つめ始めた。
彼女のデータバンクは人間だった時から続く膨大な記憶が残っているはずであったが、その記憶はクローズされていた。しかし、ある記憶が蘇った。その記憶は小さな手で子猫を抱いている時のものだった。それは少女だった
、人間だった時の記憶が蘇った!