最強少女は魔術を学ぶ
2人が学園に着く頃には、人の気配はだいぶ少なくなっていた
「こんな時間まで付き合わせて悪かったね」
エドワードはすっかり暗くなった辺りを見つめ、アルナと一緒に寮へ向かっている
「無理矢理連れて行ったのは私なのだから気にすることないわ。ちゃんとお話はできたのでしょう?」
隣を歩くエドワードを見て、アルナは嬉しそうだ
「おかげさまでね。
明日からは本格的に授業が始まるし、今日はゆっくり休んで」
「お互いね」
そう言うと、2人はそれぞれの寮に向かって歩き出した
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次の日
魔術の授業は能力測定から行われた。
と言っても、どの魔法がどの程度まで使えるかの自己申告制だ。
アルナは最低ランクの温度系魔法を、冷たい水を常温にできる程度だと申告していた(Dクラスの平均より少し下ぐらい)
ナーシャは熱湯にできるレベルだと申告していたので、Dクラスの中でも優秀な方だろう
そして現在、温度系魔法についての座学を行なっている最中だ
「魔力の供給は加護者から行われます
その力をイメージとして具現化するのが魔法という技術です。
魔力が足りなければそのイメージは具現化できません」
「そもそも自分にどのくらいの魔力があるのかわからないんですけど」
「そうですね...もっと根本的な話になるんですが
限界値というのは私たちが加護者から最大限引き出せる魔力の量を表します
ですので限界値とは加護者にある魔力の上限と、その魔力を受け入れられるだけの私たちの器の上限を加味した数字です」
「えぇっと...つまり?」
「つまり、限界値=魔力です」
「最初からそう言ってくださいよ...」
「加護者が強ければ限界値、要は魔力も強いと思い込んでる人がいるので
ここの説明は必要だと思いまして」
「加護者が強くても、自分の器が小さければ限界値はその器の大きさになってしまうってことですか?」
「その通りです。
これを知っているか否かで魔力の引き出し方も変わってくるので覚えておいてください。
それでは本題の温度系魔法についてですが」
「温度を上げるか下げるかだけですよね?」
「まぁ、基本的にはそうですね
理論上、魔力に限界がなければどこまでも温度を下げることができますし、上げることもできます」
「私たちの魔力ではどのくらいが限界なんですか?」
「Dランク程度の魔力ですと、温度系魔法は火を出すのと水を氷にするのが限界ですね
Aランクの人だと溶岩を作ったり、絶対零度と呼ばれる温度までは下げることができるはずです」
「えっ、そんなの見たことも聞いたこともないんですけど」
誰もイメージが湧かないらしく、首を傾げている
「理論上の話ですからね。全魔力を使わなければいけませんし。それは置いておいて。
とりあえず魔法はイメージであることと、自分の魔力は器の限界なのか加護者の限界なのかを知ることが大切です。次回は実践ですので気を引き締めてくださいね
それでは今日の授業は終わりです」
先生が教室を出て行くと、アルナはため息をついた
「座学って何でこんなに疲れるんだろ〜話聞いてるだけなのに」
アルナは伸びをしながら隣に座るナーシャに話しかけた
「わかります。30分しか授業ないのに不思議ですよね」
ナーシャも疲れているのか、少しボーッとしている
「はぁ、移動しなきゃ。それじゃ、また明日ね」
「はい、この後もお互い頑張りましょう」
2人は教室を出ると自分のクラスに向かって歩き出した
なんか...せっかく最強少女なのに全然戦わないですね
喧嘩ふっかけてくる人が出てこないと戦ったりってしないんですね...うーん、面白くない
一応、戦う予定はあるんですけど先すぎてなぁ〜どっかで戦わせようそうしよう(予定は未定)