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*元旦


(ひいらぎ)(あかり)のベットで目を覚ました。


灯の腕の中でゆっくりと瞬きをし、ベットサイドの時計を覗く。

アラームのセットされた4:30にはまだ時間があるので、毛布の中に潜り込む。


そのまま暫く微睡んでいると、灯のスマホがアラームを鳴らした。


灯がベットサイドの上に手を伸ばすのと同時に、飛沫(しぶき)が部屋の中へ入って来て、アラームを切ってそのまま柊を抱き込んで二度寝をしようとする灯の肩をそっと揺さぶる。


「おはよう。眠り足りない所悪いが、起きてくれ」


灯は柊の頭の上で小さく息を吐いてから、柊ごとベットに上に起き上がる。


「もう時間か……。おはよう、柊」


灯はそう呟くと腕の中の柊のおでこにキスを落として、飛沫の腕に移動させる。


(よう)様から本邸の方に呼び出しが掛かっているが、どうする?」


そう言いながら飛沫は灯に渡された柊の着物を手早く綺麗に着付けて行く。


「あ?もしかして早めに押し掛けた馬鹿でも出たのか?」

「何人か到着されたと通知が来ていたからな、その可能性が高いだろう」

「もっと常識的な時間に来いっつうの」


灯は不機嫌そうに眉間に皺を寄せながら飛沫に着替え終わった服を渡し、側にある柊の頭を優しく撫でた。


「わりぃな柊、俺は初詣には行けそうにねぇ」

「ん、大丈夫」

(つばめ)には酒飲ましちまったからな、代わりに飛沫貸してやろうか?」

「杏も運転出来るから」

「そうか」


着替え終わった服を片付けに行く飛沫と別れて、灯と柊は1階のダイニングに向かう。


テーブルには灯達がこの後挨拶ついでに食事をする事と柊達が出店で買い食いする事を考えて、炊き込みご飯と鮭の小さ目のおにぎりと卵焼きと具沢山の豚汁が用意されていた。


先に起きて来ていた(あんず)杏路(きょうじ)と一緒に4人で軽食を取っていたら、途中で本家に行っていた(そう)と起きて来た燕も合流する。


食べ終えた灯と飛沫が本邸に行くのを見送り、柊達はリビングに移動する。


「初詣、一緒に行けなくなって残念だったな」

「今日じゃ無くても、行けるから」

「それもそうか」

「初日の出見るにしてもまだ早いっすよね、どうします?」

「予報だと何時頃って出てるんだ?」

「6:40過ぎごろっすかねー」

「小さい方の神社にするんだろう?ここからなら車で10分程度か」

「あそこならそこまで混む事も無いですし、6:00過ぎに出ましょうか」

「そうだな、あまり早く着き過ぎても意味が無いしな」

「一応屋台は出てますけど、そこまで種類ある訳じゃ無いっすからねー」

「基本的に地元の人間しか行きませんからね」


杏路と燕は車の確認に向かったので、柊は膝の上でノートパソコンを広げている奏に寄りかかりながら読書をし、杏はその傍らでTVを見ながらこたつでまったりしていた。


出掛ける準備を整えた杏路と燕が戻って来てからは柊と奏も一緒に全員でTVを見る。


画面の時計表示が6:00になったので、柊は杏路が持って来た和服用のコートとふかふかのマフラーを身に着けて、耳当て付きの帽子を持って車に乗り込む。


柊の乗った車は人通りのほとんどない道を進んで、10分程で神社の駐車場に到着した。

燕に手を引かれ、柊達はまだ雪の残る道を歩いて行く。


駐車場から少し歩いて行くと、長い階段が柊達の目の前に現れた。


階段の下に着くと杏路が柊の体をそっと抱き上げた。

流石に自力で上ると時間がかかりすぎるので、柊は大人しく杏路の首に抱きついた。


上がり切った先にあった境内は想像していたよりも広く、そこそこ人で賑わっていた。

参道の脇には屋台も並び、社務所の横では巫女さんが甘酒を配っている。


階段の上で杏路に下ろしてもらい、鳥居をくぐる前に一礼をしてから手水舎に向かう。


「うわっ、想像してたよりも冷たいっすね」

「まぁ、薄く氷が張ってるくらいだからな」


杏路は洗い終わった柊の赤くなった手にクマのケースに入ったホッカイロを握らせてから、杏と奏と燕にも普通のホッカイロを配る。


「はぁー、あったけぇ」

「用意良いな」

「じゃ、お参りしますかー」


柊ははぐれないように杏路と手を繋いで参道の脇を歩き本殿へ向かう。柊達は拝殿前の少し後ろに立って軽く頭を下げてから拝殿の前に進み吊るされている鈴を柊と燕で鳴らす。お賽銭を入れた後に頭を二度下げて手を二度打ってから手を合わせたまま神様に新年の挨拶と感謝を伝えてから頭を一度下げ拝殿前の少し後ろに下がって軽く頭を下げた。


「まだ日の出までは時間がありますね」

「なら、全員でおみく引じきましょうよ」

「ついでにお守りも買って行くだろ?」

「絵馬は書くのか?」

「良いっすねー、絵馬なんて書くの子供の時以来っすよ」

「俺も大体お参りの後はお守り買って終わりだな」

「うちは父親が連れて来ると必ずおみくじと絵馬はやりたがるからな」

「そうですね、一人で来たりした時も何となくやってしまいますね」

「子供っぽいからな、あの人は」


杏がそう言った所で社務所の前に着いたので、全員分のおみくじと絵馬を先に購入する。


「お、大吉っすね」

「俺は中吉だな」

「私も大吉ですね」

「……大凶なんだが」

「マジっすか!?うわぁ、俺おみくじで大凶とか初めて見たっす」

「大凶って本当に入ってるんだな」


杏の大凶に盛り上がる皆に見える様に柊も自分のおみくじを広げて胸の前に掲げる。


「おそろい」


柊のおみくじに書かれた大凶の文字に皆が吃驚する。


「はっ!?」

「5人中2人が大凶とか、ある意味全員大吉とかより珍しいんじゃ無いか」

「そうですね」

「一緒に結びに行くか」


全員で中に書かれている内容を回し読みをしてから、柊と杏が一緒におみくじを結んだ後は、社務所の横にあるテーブルの上で並んで絵馬を書いて終わった順に結びに行く。


お互いに何を書いたかは秘密にする事にして、先に終わった人から配られている甘酒を貰って飲んでいる。最後に結んだ柊は杏路からひと口味見させて貰ったが飲めそうにないので、一緒に配られていたココアの方を貰って一息つく。


さっさと飲み終わった燕に手を引かれて柊は出店を覗く。

後ろから柊の分も紙コップを片した杏路と甘酒を持ったままの杏と奏も付いて来る。


「なんでソースのにおいってこんなお腹減るんっすかねー」

「たこ焼き食べたい」

「良いっすね、何パックか買って皆で分けますか?」

「うん」

「あとは、フランクフルトも外せないっすよね」

「あっちにじゃがバターもあるぞ」

「いかやき買って来ても良いか」

「なら俺は鈴カステラでも買って来るかな」

「各自気になったものを買い終わったら、向こうのベンチで集合って事で良いんじゃないっすか」

「そうしますか」


杏路はフランクフルトに、杏はいかやき、奏は鈴カステラの屋台に向かって行った。


燕と柊は普通のたこ焼きと明太バター醤油を2パックずつ買い、他の出店も眺める。

最終的にりんご飴と杏飴、じゃがバター、クレープを買ってベンチに向かうと、他の3人は既に座って待っていた。


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