*本邸
柊達は本邸に向かう途中で昼食を取る為に寄り道をする事にした。
「何か食べたい物はありますか?」
「お肉が良いな~」
「貴方には聞いてませんよ」
「……ドリアが食べたい」
「洋食で探しましょう」
「普通にファミレスで良いじゃん」
「そう言う訳にはいかないでしょう?」
「えー、柊も別にファミレスで良いよね?」
「良いよ」
「はぁ、主に譲られてどうするんですか……、柊様も祈の事は甘やかさなくて良いですよ」
「ふふっ」
「ここからなら、何処が近いですかね?」
「半個室タイプの所が良いよね?」
「そうですね、出来れば」
「ならアレじゃ無い?何時も飛沫さん達と行ってるトコ」
「あぁ、あそこですか」
さして時間も掛からずファミレスに到着した。
案内された半個室に綾瀬と祈、杏路と柊が隣同士で座り、一緒にメニューを広げる。
柊は3種のチーズドリアとフォンダンショコラのバニラアイス添え。杏路は国産豚ときのこのクリームソースパスタとチーズinハンバーグ&ステーキの大盛りプレートをライスで。綾瀬は茄子と挽き肉のボロネーゼ。祈りはふんわり卵のとろとろオムライスと、デザートにチョコバナナサンデーとリンゴのパンケーキ。最後に全員でシェアする用に、生ハムシーザーサラダ、ベーコンポテトのチーズピザ、フライドポテトを頼んだ。
「杏路さん、相変わらず沢山食べるね~」
「もう少し燃費が良いと有り難いんですけどね」
「そう言う貴方も人の事言えませんけどね……。それだけ食べるのに、何故食事を忘れられるのかが分かりません」
「んー、ご飯忘れるからこそ食い溜めしなきゃって感じ?」
「残念ながら沢山食べた所で人間に食い溜めは出来ませんよ」
「そう言う綾瀬は小食だよね〜」
「私は普通ですよ。普段貴方の周りにいる人が規格外なだけです」
「そうなの?」
「何時も祈の側に居るのは兄と燕ですからね」
「素朴な疑問なんですが、4人の中で誰が一番食べるんですか」
「それは……」
祈はスプーンの先で向かいに座る杏路を指す。
「私、ですね」
「と言う事は、杏さん、祈、燕という感じですか?」
「いえ、それだと燕と兄が逆ですね」
「正解は杏路さん、燕、俺、杏さんだね〜」
「そうなんですか?」
「綺麗に体格と反比例してるよね〜」
「貴方って人は……」
「気にしなくて良いですよ、事実ですから」
「ねぇ、そんな事よりデザート追加して良い?」
「……お好きにどうぞ」
「ガトーショコラパフェとベイクドチーズケーキにしよ〜」
祈が綺麗にデザートを食べ終えた所で、速やかに移動し、車に乗り込む。
ここから本邸まではそれ程時間もかからずに着くので、柊は携帯ゲーム機で祈と遊びながら時間を潰す。綾瀬は向かいの席でタブレットに論文を打ち込んでいる。
柊達が本邸に着いたのは、14:00を少し過ぎた辺りだ。
柊が車から降りて裏門から離れまで移動すると、玄関口で灯と飛沫が出迎えてくれた。
「おう、良く来たな」
「久しぶりだな」
「久しぶり」
とは言っても、クリスマスが終わった次の日までは2人とも我が家に滞在して居たので、あまり久しぶりな感じはしないが……
「外は思ったよりさみぃな、さっさと中入ろうぜ」
「うん」
「今年はリビングにこたつを設置しているからな、すぐに暖まれるぞ」
そう言って飛沫が案内した先のリビングには、前はソファーセットの合った場所に厚手のラグがしかれ、その上にこたつがセットされていた。机の上には、ご丁寧に籠に入ったみかんまで用意されている。柊は外したマフラーと手袋を杏路に渡し、灯の膝に滑り込む。
「はぁー、ぬくい」
「ん、あったかいね」
灯と柊が同じ表情でほっこりしていると、先に来ていた燕がリビングに入って来た。
「寒がりさんにホットチョコレートのお届けっすよー」
「ありがと」
「こっちのマシュマロはお好みでって事っすけど、誰かいります?」
「出来たら4つ程ここに入れてくれ」
「はいはい、飛沫さんだけっすか?」
「んじゃ、余ったのはおやつ代わりって事で」
燕はそう言って手に持ったトレーからマシュマロの盛られた小皿をテーブルに置く。
空のトレーを後ろのソファーに置き、燕はそのまま杏路の隣に潜り込んだ。
「ひぃ様知ってました?これ実はみかんじゃないんっすよー」
テーブルの中央から籠を自分の前に引き摺りながら燕が呟く。
籠の中のみかんを取り出し上下に引っ張ると、中から個包装されたクッキーが出て来た。
「これ半分はフェイクなんで気を付けて下さいっすよ」
「随分手の込んだいたずらですね」
「少し前に嬉々として弥生さんと睦月さんが仕込んでたっすからねー」
「そう言えば昼食後に何かごそごそやっていたな」
「ちなみにアタリが1つ紛れてるそうっすよ?」
「何が入ってるかは教えてくれなかったんで俺もどれが当たりなのか知らないっすけど」
「皆で1つずつ選んで開けてみよ〜」
祈の緩い掛け声に全員籠の中から作り物のみかんを取り出す。
「見た感じは本物そっくりだな」
「そうですね、触ってみるまで偽物とは気付けませんね」
「面倒だから全員一緒で良いだろ?せーの」
灯の掛け声と一緒にみかんもどきを開けると、柊のからはねこの肉球チョコが、灯はソフトキャンディ、飛沫はクマの形のグミ、杏路は抹茶キャラメル、綾瀬はフィナンシェ、祈は金平糖、燕はラムネと言う結果になった。
「これってどれが当たりなんっすかね?」
「どれもはずれじゃねぇか?」
「残り2つの内のどちらかが当たりなんでしょうね」
「どうせだから開けちゃお〜」
祈がそう言って開けてみると、中からはカラメルビスケットと蜂蜜ドロップが出て来た。
「あれ?当たりなし??」
柊の向かい側で祈が不思議そうに首を傾げている。
何気なくテーブルの上を見渡した柊は、そっと飛沫の手元を指差した。
「当たり、見つけた」
「あっ!飛沫さんの袋の後ろに何か書いてあるっすよー」
「ん?ああ、"やったね!当たりです。睦月か弥生までご連絡下さい。"って書いてあるな」
「あ、後から商品くれる系なんっすね」
「後で何貰ったか教えてね〜」
「分かった」
その後は出て来たお菓子を交換しつつ、祈に乞われてゲーム機の対戦に付き合う。
祈と燕がゲーム初心者の飛沫にも容赦なくゲームを進めて行くので、途中で柊は灯の膝から飛沫の膝に移動して一緒にコントローラーを操作する。
「えっ、何か急に飛沫さんが強くなったっんすケド……」
「この画面でこのアイテムとか誰が使った訳〜?」
そこでゲーム音痴で逆走しかしない綾瀬のコントローラーを杏路が譲り受け、トップ争いをしていた祈と燕を華麗に妨害しつつ、ぐんぐん追い上げて行く。
最終的には1位飛沫、2位祈、3位燕、5位杏路でフィニッシュした。
「最後で杏路さんに滅茶苦茶妨害された……」
「なんであんな甲羅当てるの上手いんっすかー」
「ふふ、兄に散々付き合わされましたからね」
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