表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/87

15 *8月の第4週


あっという間に8月の第4週が始まった。


柘榴(ざくろ)が合流してからは、(あかり)(ひいらぎ)と柘榴の3人でアトリエで一緒に絵を描いたり、守役の皆が撮り貯めた写真をアルバムに綴じたり、柘榴の知り合いの工房で扇子の絵付け体験をしたりと、芸術方面に特化した体験で充実した時間を堪能する事が出来た。


柊の守役は、新しく珊瑚(さんご)が合流し、(あんず)杏路(きょうじ)と柘榴が継続。(つばめ)が休暇入り、(そう)は休暇中。灯の守役は、休暇明けで蒼士(そうし)が戻り、弥生(やよい)が継続。睦月(むつき)飛沫(しぶき)が休暇に入る。


奏はまだ休暇中だがこちらに戻って残りの休みを過ごすらしく、休暇終わりの蒼士と合流予定の珊瑚と一緒にお昼過ぎにこちらに着く予定になっている。


なので、今日からの1週間は10人が別荘の正式な滞在人数になる予定だ。



灯は前日から(よう)に呼び出されて朽木家本邸に帰っていて、そのまま泊まっている。

なので柊は、ここ2日程は杏路のベットにお邪魔している。


ちなみに柊の部屋のベットは、今日は杏が使っている。守役の中で柊が寝た後も仕事が残っていたり、やりたい事がある人が交代で使用する事にしているそうだ。


柊は早めに起きて目が冴えてしまったので、杏路の寝顔を眺めながらぼーとする。

静かに眠る杏路は、整った顔立ちのせいかまるで精巧な人形の様だ。


柊が暫くじっと眺めていると、眠っていた杏路の目が開いた。


「ふふ、そんなに見つめられたら穴があいてしまいそうです」

「……起こした?」

「大丈夫ですよ」


そう言って微笑みながら杏路は捻出して薄手の掛け布団を柊の肩まで引き上げる。


「まだ早いですが、眠れませんか?」

「うん」

「このまま少しゆっくりしましょうか」

「ん」


部屋の扉が開く音に反応して柊が目を開けると、柘榴と杏路の小さな話し声がする。

杏路と一緒にベットでゆっくりしている内に、気が付いたら眠っていた様だ。


柊がベットの上に体を起こすと、柘榴がベットに近づいて来た。


「起こしてもうたか?まだ眠っててもいいんよ」

「ん、大丈夫。起きる」


柊の身支度道具を一式持って、杏路も近づいて来る。


「朝食まではまだ時間がありますが、どうしますか?」

「本でも読んでる」

「分かりました」

「僕は買い出し頼まれてんで今から下行くけんど、何か欲しいもんあるか?」

「大丈夫」

「ほうか、なら行って来るわ」

「いってらっしゃい」


柊は部屋の入り口で、買い出しに行く柘榴と1階に本を取りに行く杏路を見送った。


読みかけの本を持ってソファーへ向かうと、テーブルにレモンティーのグラスとショコラの乗った小皿が置かれていた。柊が着替えている間に杏路が用意してくれていたみたいだ。

柊の部屋から移動してあったテディベアに寄りかかりながらソファーに寝転ぶ。


3冊目の本が読み終わる頃には朝食の時間になった。杏路と一緒に1階に下りると、ダイニングでは弥生と杏が既に朝食を終えてまったりお茶をしていた。柊と杏路が席に着くと、買い出しの終わった柘榴がリビングから入ってきたのでそのまま一緒に朝食を取る。


今朝の食事は、ツナサラダとコンソメスープ、パンケーキにベーコンエッグとソーセージとジャーマンポテトが添えられたプレートと、デザートにショコラスフレが用意されていた。


朝食を終えた後は、弥生と柘榴はアトリエに、杏と杏路と柊は地下の遊戯室へ移動する。


カラオケスペースを演奏ステージに切り替えて、杏のベースと杏路のサックスをBGMに柊は読書の続きに戻る。


読書の合間に少しだけ楽器を触らせてもらったり歌ったりしてゆったりと過ごす内にお昼になった。


弥生と柘榴はアトリエで取るようなので、ルイスと杏と杏路と柊で食べる。

お昼のメニューはチキンソテーとライスに、コールスローサラダとトマトグラタンだ。


柊と杏がデザートのザッハトルテを食べている所に来客のチャイムが鳴ったので、一足先に食べ終えたルイスと杏路が出迎えに行く。


食べ終わった食器を片して柊と杏がリビングへ移動した所にちょうど奏達も到着した様で、蒼士と奏の後に初めて見る男の人が入って来た。


「ただいま、柊」


奏は近づいて来た柊を抱え上げるて挨拶を済ませると、横に立っていた男性を紹介する。

身長は柘榴より少し高いくらいで細身。日に焼けていない真っ白な肌に黒髪の天然パーマと長めの前髪で、少し大きめの眼鏡の下の金色の瞳は眠そうな雰囲気を纏っている。


「こいつは守役候補の珊瑚だ」


奏に紹介された珊瑚はヘッドフォンを外して、手元のデバイスに何か打ち込んでいる。


草薙(くさなぎ) 珊瑚です。よろしくm(_ _)m】


珊瑚は打ち込みの終わった画面を柊に見せて、軽く頭を下げる。


「まぁ、見ての通り話せない。入力速度は早いからチャット画面で返事を確認するか、柊の能力で勝手に読み取ってかまわねえとさ」

「わかった」


奏の腕の中で頷いた柊の元に、放置されていた柊のスマホを杏路が持って来る。

その場で珊瑚と柊はGREN(グリーン)のIDを交換する。


「通話用の補助器はどうしたんだ?」

「寝坊して忘れて来たらしい」

「アレは俺が組み上げたものだから、必要なら用意するが?」

【どのくらいで出来る?】

「そうだな、3時間もあれば可能だ」

【お願いします】

「分かった、今日中には用意しておく」

【ありがとー.゜+.(´∀`*).+゜.】


珊瑚と話していた杏が、デバイスの画面を指差しながら柊を振り返る。


「と言う訳なんで、作業部屋に行って来て良いか?」

「ん、大丈夫」

【作業部屋って事はPC関係もそこにある?】

「あぁ」

【特に予定がないなら、マシンが見たいんだけど……】


珊瑚は杏に向けていた画面を柊の方へ向けた。


「行って来て、良いよ」

【ありがと(*´▽`*)】


実は2階の空き部屋を杏は作業用に借りていて、運び込んだ機材やマシンが設置してあるので、杏と珊瑚はそのまま作業部屋へ向かった。


柊も奏と杏路と一緒に地下の遊戯室に移動する。


特別やりたい事も無いので、基本的にやっている事は午前とあまり変わらない。

強いて上げるならBGMに杏のベースの代わりに奏のドラムが加わった事ぐらいだ。


柊がソファーとクッションに埋もれて本を読んでいると、机の上に置いていたスマホが振動した。1時間程前に別れた珊瑚からメッセージが届いている。


【そっちは、今何してる?】

【僕は読書中。http://mytu.be/xxx.jpg】


柊は返信ついでに目の前で演奏している2人の動画も添付しておく。


【柊は一緒に演奏しないの?】

【基本的には】

【弾ける楽器ってある?】

【ピアノとバイオンリンを少し。珊瑚は?】

【電子ピアノとエレクトーンは得意だよ(`・ω・´)b】


その後も珊瑚と柊は他愛ない話をやり取りしながら過ごした。


*ブクマ&評価&感想、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ