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07


(ひいらぎ)は攻略対象で誰か好きな奴は居んのか?」

「?」

「乙女ゲームっつのはアレだろ、好きな男をオトす為のゲームなんだろ?」

「人によるんじゃないかな……水鷹(みたか)はキャラクター同士が恋愛する様子を眺めるのが好きだったみたいだし、僕は特に」

「柊はまだまだお子様だからな。好きな奴が出来たら教えろよ?俺がちゃんと見極めてやるから」

「わかった」

「ま、(あらた)の事は今回怪我を理由に遠ざけられんだろうし、心配いらねぇよ」

「うん」


そこに、出迎えついでに細々とした用事を終えた杏路(きょうじ)が帰ってくる。


「ただいま戻りました」

「おかえり」

「お疲れさん」

「上から報告も持ってきましたので、お聞きになりますか?」

「頼んだ」

「セキュリティー部門から映像の確認が取れたとの事です。新様の身柄は(あかね)様が押さえましたので、現在は本邸にて事情聴取中です。(よう)様と(けい)様は終わり次第こちらに向かう様ですので、落ち着いたら連絡が欲しいとの事です」

「そうか、わかった」

「離れの人払いは完了していますが、昼食はこちらで召し上がりますか?」

「いや、上で食う。(さい)達も気になっているだろうしな」

「ではそのように上へ連絡しておきます」


杏路は内線で指示を出してから、新しい飲み物を入れにキッチンへ行く。


「とりあえず、これで何とかなりそうだな」


ようやく事態の収拾に目処がついたので、灯と一緒に本を読みながらのんびりする。



昼食の時間になり、部屋の内線が鳴ったので、灯と杏路と一緒に食堂へ。

中には既に、才と夏目(なつめ)と茜の姿がある。


「ひーちゃん、大丈夫だった?」

「ん、大丈夫」

「突然怪我したって連絡が来たから、驚いたよ」

「ごめんね?」

「いや、柊が謝る事じゃねぇだろ」

「そうだよ。まさか初対面で怪我をさせられるなんて、誰も想像してなかったしね」

「っていうか俺なんて、新がこっち帰って来てるのすら知らなかったからな」

「まぁ、帰って来たの昨日の夜中だったし、本邸の方に泊まってたからね」

「それで、新は何て言ってるの?」

「それがあいつ黙り決め込んでて、何も話やがらねぇんだよ」


柊から当時の様子と感じ取った感情を見せられた灯と杏路は顔を見合わせる。


「あれ?2人は何か知ってるみたいだね」

「あー、まあな。柊から聞いて何となくだが……」

「何だよ、歯切れ悪いな」

「それがどうも、柊様に嫉妬していたみたいです」

「嫉妬?」

「自分より年下なのに、今の段階で既に灯様並に強い能力持ちですからね……それに、京様より下の世代で初めての発現者ですから」

「だからって何で、怪我させる事になるの?」

「会ってすぐに大した事ねぇと判断した奴が、京ですら滅多に入れない扉の鍵を手にしているのが見えて、逆切れしたんだろ」

「その後はビックリして黙り込んだ柊様に無視されたと感じて突き飛ばしたら、想定以上の事態になり慌てて逃げ出したみたいですね」

「何だよそのくだらない理由」

「まあ、相手は6歳児ですからね」

「2年前に会った時はそんな事しそうには見えなかったけど」

「4月のコンクールで賞取ってから様子が変わったらしいぜ」

「茜は知ってたの?」

「いや、道場で聞いた」

「とりあえず、詳しい対応は京が帰って来てからだな」


そこまで話した所で、タイミング良く昼食が並べられたので、食事に移った。



夕飯の後に、本邸の方から来客があった。

対応に出ていた杏路が戻って来た後ろから、才に良く似た男性が入って来る。


「来たのか」

「あぁ、すまなかった」

「謝る相手が違ぇだろ」

「そうだな」


そう言って京は、柊の前まで歩いて来て目線を合わせる様に跪いた。


「君が柊だね?」

「はい」

「本当は直接謝罪させるべきなのだろうが、肝心の新が全く反省していないみたいでな……そんな人間に上辺だけの謝罪などされた所で、柊にとってもただ迷惑なだけだろうと思って、本人は置いて来た。本当に申し訳なかった」

「いえ、怪我も大した事なかったので。大丈夫です」


京は柊が本当に気にしていないのが伝わったのか、ほっとした様に息をついた。


「才も、悪かったな」

「ひーちゃんが気にして無いから」

「で?新は何であんな事になってんだ?」

「言い訳になってしまうが、あの子は普段、母親の演奏旅行に着いて回っているので、私の方は中々会う機会も無いまま来てしまってな」

「なるほどな。天才ピアニストの子供なら、さぞかし大事にされてんだろうよ」

「前はそれ程でも無かったんだが、元々周りには自分を甘やかす大人達しかいない上、バイオリンの才能が認められてからは他の子供よりも自分の方が上だと勘違いしているみたいで……そこに来て、自分よりちやほやされる可能性のある柊の話を知って、確認の為にわざわざ本邸(こっち)まで来たみたいだ」

「で、こんな事になったと」

「そうなる」

「そもそも、普段母親の側を離れない新が一緒にこちらに来るって言い出した時に、違和感は感じなかったのですか?」

「実は新がここに来ている事は、今回の事で連絡があって初めて知ったんだ」

「はっ?」

「どうも母親がねだられて、空港から直接こちらへ送ったらしい。私が来る1時間程前に着いたみたいで、会っていないんだ。分家の人間は当然私が知っているものだと思っていた様で、特に報告なども無かったしな」

「まぁ、普通は許可を得ずに本邸に来るなんて思わないだろうしね」

「12歳までは本邸に入るのに朽木の人間の付き添いがいるって事、母親の方には知らせてねぇのか?」

「新が生まれる前にきちんと教えておいたんだが、そこまで重要だとは捉えていなかったみたいだな。この後帰ったら、もう一度しっかりと話し合うつもりだ」

「そうした方が良いぜ。数字付きは何処も、独自の決まり事がわんさかあんだからな。今の内に確認しておかねえと、とんでもない事態を引き起こす事になるからな」

「今回みたいにな」


灯の言葉に、京は深いため息をついた。


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