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ミトスター・ユベリーン 立ち昇る太陽  作者: カズナダ
新たな国
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突破口

 ペル=トリートリア帝国が併合した大陸国、実効支配を行っている諸島国は全部で28ヶ国に上る。その全ての旧首都には5千人規模の魔道重装歩兵団が常駐している。


 広大すぎるディートリア大陸に隈なく部隊を派遣するにはどうしても小規模編成になる。12の諸島国も同様で、運送艦だけでなく旧式の駆逐艦も動員してもまだ数が足らず、軽空母や水上機母艦で補う事になった。


「16の旧首都には連隊、その他の街には大隊規模か・・・。」


「25万の大軍が嘘のようだな。」


「12の島国には海軍陸戦隊が派遣されますが、一島あたり2千人、近衛を含めても大体3千と言ったところか。陸軍連隊と同規模だな。」


「ファランクスが主力の軍隊には過剰戦力のように思えるがな。」


「即応性と部隊火力を両立した最適の編成だ。直ぐにでも行動に移せる。」


 決定すれば、行動あるのみ。


 佐世保、呉、シドミストン、サルミトルから艦隊出港、終戦後の統治を確実なものにする為の地方政権打倒を目指し、各地で大規模な上陸戦を敢行する。


 モブタザル大陸・・・。

 ディートリア大陸の南数百kmに位置し、大小12ヶ国からなるこの大陸には、かつてこの大陸全土を支配できるほど巨大な軍事力を持った『リーチャ国』が存在した。その軍事力は、この国が手始めに侵攻したライバル国、西隣りの『アグール王国』と南西隣りの『クローズ共和国』はぺル帝国から軍事物資の支援を受けながらも、進行を抑えるのがやっとという程のものであった。

 この事態を見かねたぺル帝国が本格的な軍事介入を開始。海上を封鎖しアグールとクローズに援軍を送るとともにリーチャの北東隣りの小国『ラガール』を懐柔し4正面体制に陥らせ、無条件降伏をのませた。

 結果、モブタザル大陸は、リーチャ国と大陸北東部をぺル帝国が、大陸西部と南部をそれぞれアグールとクローズが支配する3分割支配となった。

 

 旧リーチャ国首都 ラーマ・・・。

 いずれはペル帝国をモブタザルから追い出し、リーチャの名の元にモブタザル大陸を統一する。その理念を持つ者達で結成した反抗組織『リーチャ解放軍』のリーダー、デモナにディートリア大陸での朗報が届く。


「聞いたか?ダクメーアで魔道重装歩兵団が壊滅したって話。」


「本当か!?どこの国がやったんだ!?」


「見たことの無い国旗だった。話だと『純白の下地に真紅の丸』ってことだ。」


「それと噂なんだが、もうじき北の『クエド海岸』に、その旗を持った軍勢が現れると。」


「天は我に味方したか。海岸に偵察隊を出せ。」


 クエド海岸・・・。

 海軍陸戦隊3000人が上陸、したは良いものの地図など無いので慎重に進んでいた。


「現地の住人から情報を受け取れれば良いのだが・・・。」


 15mほど進んだ所に連隊司令部を設営したが、それ以上進む事には抵抗が生まれていた。


「6名一班で偵察に出しますか?」


「いや。その必要はありません。」


 士官の一人が三人の若者を連れてきた。


「この者共は、この島の反乱分子『リーチャ解放軍』の者です。」


「リーチャ解放軍の目的はモブタザル大陸のペル帝国を追い払い、リーチャの名の下に大陸を統一する事です。是非とも貴方方の力をお借りしたい。」


 陸戦隊を指揮する川村はこれを承認。リーチャ国復興に力を貸し、その恩と綱に傀儡とする。これ以上ないほどに好都合であった。


 そのような事は、上陸した島々でおきていた。ペル帝国の支配から抜け出し独立を勝ち取ろうとする勢力に陸海両軍は全面協力しる。


 一方、ビルアラモスを包囲する部隊は、結界を突破す方法が思い浮かばないでいた。


「仏印や台湾、中国大陸に多くが出払っていたのが災いしたか、爆撃機の数か少ない。」


「戦闘機に250kg爆弾を搭載できるように改造して、複葉機も出しても尚更だ。」


「だいいち、旅順要塞を破壊できる量の砲弾を受けてびくともしとらんのだ。航空機が加わったところで焼け石に水ではないか?」


「旅順・・・。旅順・・・。」


 参謀の一人、楠木が何かを思いついた。


 会合後、楠木は工兵を連れて結界近くにやってきた。


「楠木参謀、何をされるんですか?」


「俺の予想が正しければ。鍬を貸せ。」


 意味の分からないまま工兵は鍬を渡す。


 楠木は、徐に結界近くの地面を掘る。そして・・・。


 スパン


「「「うわぁっ!!」」」


 鍬が切断され、楠木が持っているのは単に先の尖った一本の棒となった。


「と言うことだ。」


 鍬だった棒を工兵に返す。


「と言うと?」


「つまり、結界は地中まで張られていない!坑道を掘って、地下から爆破する!」


 結界の突破口が見えた。

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