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ミトスター・ユベリーン 立ち昇る太陽  作者: カズナダ
新たな国
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ダクメーア会戦

「撃てーっ!」


 戦闘の開始は帝国陸軍の砲兵隊が担った。


 『九六式十五糎榴弾砲』『八九式十五糎加農砲』『十四年式十糎加農砲』が奏でる狂想曲は正しく、戦場の女神が吐く息吹であった。


 前線でも『九四式37mm速射砲』『九四式軽迫撃砲』『四一式山砲』『三八式野砲』で砲撃、更に近づこうものなら『九二式重機関銃』『九六式軽機関銃』『十一年式軽機関銃』『三八式歩兵銃』『九九式短小銃』に蜂の巣にされていった。


 だが・・・。

「敵の数が多過ぎます!このままではいずれ押し切られる可能性が!」


 古代ギリシア、レウクトラの戦いで最強国家スパルタを破ったのは50列ものファランクス(スパルタは12列)で、平原ではいかに強力な軍隊でも数の力で押し切れる可能性が充分に存在している。


 現に、今は帝国陸軍が圧倒しているが、弾薬が無くなれば短槍を持った軽歩兵となる。長槍を持つ敵重装歩兵とまともは戦えない。


「後方支援基地から弾薬を持って来い。それとアイツ等も連れて来い!」


 補給線は延びていない、シドミストンから絶えず弾薬が補充できれば、突破される事はまず有り得なかったが、念には念を入れ援軍も要請した。


 ペル帝国の幹部達は憤っていた。ファランクス隊が成す術無く吹き飛ばされていっているからだ。


「奴等一体どんな魔法を使っているんだ!?あんなの一流の赤魔道士が数千人居ても出来んぞ!」


 厳密には出来なくも無いが、あの爆発を再現しても飛距離が足りなくなるので、ファランクス隊の超至近距離で発動させなければならなくなるが、魔道士らしき人物は見当たらないばかりか、魔力反応が全く反応しなかった。


「奴等だけが知っている新種の魔法か!?」


「なら非常に由々しき事態だ!今すぐにでも奴等に講和を申し込むべきではないのか!?」


「ふざけるな!!貴様、列強国である帝国に、なによりワイズマンに対し、あんな蛮族共に頭を下げろとでも言いたいのか!?」


「だが、このままではファランクス隊が壊滅するぞ!?」


「属国から集めた雑兵など、いくら死んでも代わりが居るわ!!」


 休戦の兆しが見えたが、プライドの高いペル帝国の魔道志達は、そんな意見は一蹴し、ファランクス隊に攻撃の続行を強行させた。


 重装歩兵は、ファランクス隊形を解いて我武者羅な突撃を続けた。迎撃しようにも弾薬の消耗が著しい帝国陸軍は徐々に追い詰められていった。


 そこに、弾薬を満載したトラック6両が到着した。


「弾薬9t運搬完了!」


「ご苦労!連隊ごとに取りに来い!!」


 塹壕線の最後尾には行き届いたが・・・。

「・・・っ!・・・くそっ!もう弾が無い!!」


 前線の兵士には行き渡らなかったので、


「おいっ!交代だ!!」


「後退!?我々はここを死守しなければならんのだ!!」


「その後退じゃねえ!俺達が代わりにこの場を受け持つ!その間にお前らは後方で弾薬を補給しろ!」


 弾薬が尽きれば後方にとりに行き、その間は違う連隊が守りに就くシステムが即席で導入された。


 しかし、劣勢に代わりは無かった。


「耐えろー!突破させてはならんぞー!!」


 その様子を海軍は水上偵察機越しに、文字通りの高みの見物をしていた。


「後でギャーギャー言われますよ?」


 戦場を再現させた卓の上に、兵儀演習用の駒を並べ、経過を観察する。


「構わん。それに陸軍の方から『出番は与えぬ』と言って来たんだ。折角の活躍の場を奪ったら、それこそ後でギャーギャーだ。」


「一発ぐらい榴弾ぶち込んで、恩を売っておきたかったんですが、そう言う事でしたら仕方ありませんね。」


 偵察機から続報が入る。


「<『戦車第1連隊』64両、主戦場に向け突進中。>」


 儀卓に戦車を模した戦艦の駒が現れる。


「全車突撃せよ!!」


 『九五式軽戦車』25両、『八九式中戦車』19両、『九七式中戦車』20両が前線に到着。すぐさま戦闘移った。


 三十七粍戦車砲、五糎七戦車砲、九一式車載軽機関銃に持ち前の機動力でファランクスを圧倒。戦況は帝国陸軍の優勢に傾いた。


「戦車隊に遅れを取るなー!連隊、とつげーーきっ!!!」


 防戦一方の状況から抜け出した途端、好き放題やられていた鬱憤を晴らさんと、歩兵隊も銃剣突撃を敢行。


 ただでさえ塹壕突破戦で消耗していたファランクス隊は、壊滅的被害を出し敗走。30万余が捕虜となった。だが、ここで帝国陸軍も損害らしい損害を出す。


「このまま追い詰めるぞ!」


「-っ!火球が!!」「何?」


 ボドン バゴォォン


 火球を正面から受けた九七式中戦車の横に、その砲塔が降ってきた。


「連続投射!焼けー!!」


 ファランクス隊を壊滅させた敵に一矢報いる為、5万もの魔道士が、魔力尽きるまで火球を発動させ続けていた。


 ゴアッ ウワアギャ ダァッ


 次々に仲間が倒れていく。魔力切れで気絶するものではない、血を流して多くの仲間が死んでいった。だが、それはまだましであった。その後、大量の爆発に襲われ、生死の境を彷徨うのであった。


ダクメーア会戦

 大日本帝国

 ・戦死:66

 ・負傷:119

 ・戦車喪失:8


 ペル=トリートリア帝国

 ・戦死:70万

 ・捕虜:30万


 帝国陸軍は圧倒的勝利を収めると共に、ペル帝国は陸軍を消失した。

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