招待状
青琶17年2月 大日本帝国 外務省・・・。
ペル帝国戦に勝利し、28もの傀儡国から資源を低価格で輸入し、出来上がった製品を高価格で販売し、その売り上げは傀儡国の開発に当てているので、日本本土はもちろんの事、リーチャなどの傀儡国も急速な経済成長を遂げてる。
最重要問題は解決し、次なる目標は第3海洋界の外であった。そして、使節団派遣の直前にある国が日本に接触し、会談を求めてきた。
「突然の来訪、お許し下され。私はヨル=ウノアージン聖皇国の外交官デトランと申します。」
「初めまして、大日本帝国外務副大臣の川村と申します。事前通知なし来日に関してはお気になさらず。」
ヨル=ウノアージンのことは、併合したペル=トリートリアの高官から聞いていた。列強国に序列第1位であるだけに、下手に出るわけにはいかず、川村も開戦を辞さない覚悟で望む。
「ありがとうございます。まずはこちらを収めください。」
「これは一体?」
手渡されたのは手紙のようなものであったが、全く読めない。
「総統閣下からの戦勝祝辞です。」
「・・・。それはご丁寧に。して、ここに来た本当の目的は、開戦ですか?国交ですか?」
「言いますねぇ。・・・そのどちらでも有りません。我々は貴国をよく知らない、故に貴方方も聖皇国のことをよく知らない。
そこで、貴国を4月に我が国で開催される世界会議に招き入れたいと考えております。」
「世界会議・・・?」
いきなり宣戦布告されれば、転移後の兵力補充もままらわない状態で闘わなければならなかったが、そんな事は起きないどころか、世界の国々に顔を売るチャンスが舞い込んできた。
「ご都合が悪いのですか?」
「いえ、好都合です。」
「では、楽しみにしております。」
デトランを浦賀に停泊する駆逐艦『キャトル』まで送り届けた後、緊急国会を開催し世界会議に派遣する人員を選抜する事になった。
「外務大臣を送る事は確定として、問題はどのようにして派遣するかだが・・・。」
「海軍が艦艇を出しましょう。どうやらこの世界では砲艦外交は当たり前のようですので。」
ヨル=ウノアージンは他国に外交を行う際は軍艦を派遣していた。戦列艦を持たないペル=トリートリアなら恐れおののいたであろうが、かつての世界で海軍力第3位に上り詰めた日本には全く無意味であり、砲艦外交は非礼な事でないという認識を与えた。
「大和を派遣して奴等の度肝を抜いてやろう。」
「重巡で事足りるであろう。」
ヨル=ウノアージンで開催される世界会議には、ジョージ6世戴冠記念観艦式に招待された妙高型重巡洋艦3番艦『足柄』に、白羽の矢がたった。