世界を救うために旅立ったら出会う人全てが世界を滅ぼしにかかってくるのですが
(前略)というわけで異世界転生した俺は勇者となり、世界を救う為に旅立つのであった。
一人ニヤついた顔で街道を歩く俺。きっとそろそろヒロイン(一人目)と出会うイベントが発生するに
「キャー!」
内心ガッツポーズを取りながら、冷静に声のする方を確かめる。声はこの道の先から聞こえてきた。ならば助けるしかあるまい。仕方ないなー、俺勇者だからなー。
走っていくとそこは馬車が倒れており、一人の少女を囲むように、乞食崩れどもが詰め寄っている光景に出くわした。
「やめないか!そこのお嬢さん、私が来たからにはもう大丈夫ですよ」
「お前らを地獄の底で永遠に呪って死ぬわ!」
いきなりヒロイン(未定)がナイフで自決しようとするのを止める。
「あれ?聞こえなかったのかな。勇者ですよ?周りのゴロツキは(行間で)ブチのめしましたから安心して下さい」
「は、何?誰アンタ?私は死んでこの世の全ての人を呪い殺すの。私の大切な人を見殺しにしたこの世界をね!」
「オーケーお嬢さん、落ち着いて。刃物をしまって話し合おう。きっと分かり合えるはずさ」
「五月蝿いわね!死にたいの!いいわ、私の前にまずお前から死になさい!」
いい感じにハイライトの消えた目の美人さんと会話のドッジボールをする。が、女性の細腕で勇者パワーに抗えるはずもなく、ヤンデレ風味のお嬢様ヒロイン(仮)からナイフを奪い勇者CQCで拘束する。
「くっ……殺しなさい」
憧れのヒロインのくっ殺シーン。相手が俺でなかったらな!
「近接格闘からの勇者の眠り的なサムシング(物理)で、近くの村の宿まで連れてきたのはいいんだけど…」
魅了とか洗脳とかそういうパワーは魔王的だからいらないって断ったんだよな……、惜しいことをした。
「だが、俺の善行を見ていくうちにきっといつか心を開くに違いない」
股も開いてもいいのよ。
起きるたびに自害しようとするから仕方なく縛っているけど別にやましいことなんてないんだからね!!
名前も知らないヒロイン(?)は深い眠りにつかせたし、酒場にでも行ってみるかな。
「あによ、あたしはまろーつかいなんだから!おーがこわくてさけがのめるかー」
酒臭い店内でことさらアルコール臭が濃いテーブルには、床まで足がついていない少女と大量の酒瓶が積まれていた。
「ヘイ、酒好きなお嬢さん、オレと一緒に世直ししないかい?」
「あ?てめ素面だお!酒場にきたらまずボトルあけるのがしごとあろー!のめ!」
臭いだけで酔っ払いそうな酒を無理やり一口すすると、頭が揺れる。流石の勇者でも酒には弱かっ……
「あーあ、もう王都の魔術院どもり嗅ぎつかれたら。せっかくらし、禁呪使ってからつから、つまか、つかまらー」
「リセマラ10連ガチャメテオストライク!勇者SSRが出るまで!」
この後滅茶苦茶世界崩壊した。
続きません