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超人クラウダー(β版)

作者: 山田助兵衛

 クラウダーは正義の超人である。最強無敵、それが超人クラウダーなのだ!!


「キャーッ!」

 悲鳴が響き渡る。

「おーっほっほっほ!恐れ(おのの)きなさい愚民ども!!」

 巨体ロボットと共に手下を従えて街を荒らすのは『クイーンマリー』。黒覆面を被った悪の女幹部である。が……良く聞くと悲鳴に混じって明らかに歓声のような声も響いているようだ。

 それもその筈。クイーンマリーのコスチュームというのが胸元が大きく開き、角度も鋭く切れ込むハイレグにピンヒールのブーツを履き、さらに彼女自身が抜群のプロポーションを誇るぶっちゃけかなり『えっちい』お姿なのである。よってサラリーマンのオジサマ方には実は絶大な人気をほこり、一部のアブナイ女性からは『お姉さま』と密かに呼ばれているほどだった。

 そんな訳でミサイルを乱射するロボットがいるにも関わらずに彼女のお姿を一目見ようとする連中(おバカ)が後を絶たなかった。

「離して、離してください!」

「ああっ!見ろ、少女が捕まった!」

「ホホホ!これで手出しは出来ないでしょう?……あら、あなたは━━」

「離してください!わたしはお仕事で疲れて帰ってくるママのご飯を作らなきゃならないんです!」

「ううっ、何て良い子なの!」

 思わず口許を押さえるクイーンマリーだったが、そこは悪の幹部。心を鬼にして高らかに宣言する!

「さあ、道を開けなさい!私を止める事など誰にも出来ないのだから!」

 あえて言うが、完全に敗北フラグである。

『そこまでだ悪党ども!!』

「何!?」

 案の定辺りに凛々しい声が響いた。そして上空に黒雲が渦を巻いて集まり、稲光が閃いた!

「キャーッ!私カミナリは苦手なのよ!」

 それでもアンタ悪の幹部か。

『とぉっ!』

 気合いの声と同時に何者かが跳び、華麗に崖の上に着地する。もちろんその腕の中には少女が抱かれている。

「何者!?っていうか、何でこんな街中に崖があるのよ!」

 その男はフッと笑った。

「それがヒーローだからだ!」

「くっ……悔しいけど納得したわ。一体お前は何者!」

「2回も聞いたからには答えてやろう。俺は正義の味方、超人クラウダー!!正義の超人だ!!」

 果たして自分も2回「超人」とか言った事に気付いているのか。

「おのれクラウダー!手下(お前)たち、やっておしまい!」

「イーッ!(絶対やられ役だな俺たち)」

「いくぞ!」

 わざわざ自分から飛び降りる律儀なクラウダーであった。そして手下も律儀に素手で戦い、全員ぶっ倒された。

「おのれクラウダー!こうなったら行け!メガトンロボット!」

 なぜ最初から使わないのか。手下無駄死にである。

「ぬうっ?ならば━━変身!!」

 そしてこいつもなぜとっとと変身しないのか。疑問は尽きない。

 男の体が光輝き、一瞬にしても(きら)めく銀と赤のバトルスーツに身を包み、真っ赤なマフラーを首に巻いたヒーローが誕生した。

『参上!超人クラウダー!!』

「……アンタさっき名乗らなかった?」

「あ」

「最初に人間として名乗ればよかったんじゃないかしら?」

「……細かい事は気にするな。行くぞ!」

「あ、誤魔化した(ーー;)。まあいいわ。メガトンロボット!全砲門開け!ミサイル全弾発射しろ!」

「そうはいくか!チェーンジ!!」

「二段変身?ド○クエか!」

 説明しよう!超人クラウダーはありとあらゆる物に変身する能力を持つのだ!正直バトルスーツは意味が無い!

 ドォンッ!

「って、戦艦!?ちょっと!チートにも程があるでしょ!?」

「ヒーローに不可能は無い!」

「じゃ、モ○ルスーツにもなれる?」

「いや、版権モノはちょっと……」

 ヒーローにも弱気になる時はあるのだ。

「くっ……おのれ、ちょこざいな!」

 何でだ。

「ええい、もういい!メガトンロボット!今度こそミサイル全弾発射!!」

『ウォーッ!!(やっと出番かよ)』

 空からミサイルが雨あられと降り注いだ!

「パ○スレーザー発射!」

「ごるぁ!版権はどうした!」

 へんじがない。ただの宇宙戦艦のようだ。

『ウォ?(どーすんの幹部サマ?ミサイル全部落とされたよ?)』

「こうなりゃ自棄(やけ)よ!突撃━━ん?でも宇宙戦艦って事は……」

 ギュイイイイン……。

「エネルギー充填120%」

「やっぱそれかよ!っていうかチャージ早っ!!」

「対ショック、対閃光防御」

「はーい」

 崖の上に置いてかれたままだった少女はなぜか持っていたおもちゃのサングラスをきちんとかけた。

「え、ちょっと?まぢでそれ撃つの?嘘でしょ!?」

「発射」

 カキョン。

『ウォー……(死んだなこれは……)』

 ちゅどぉぉぉん。

「あ~~れ~~~~っ!」

 お約束の通りにクイーンマリーはコスチュームをボロボロにしたあられもない姿で大事なところを隠しながら(いや顔ですよ?)キラリと光る星となって消えた。

「悪は滅びた」

 まだ生きてるがな。だがまあ、正義の勝利である。

「えっとぉ、わたし……どうやって下りたらいいのかなぁ」

 あいかわらず崖の上に残されたままの少女はサングラスをいじりなから途方にくれていた。


「さあ、これでもう大丈夫だ」

「ありがとうクラウダー」

 わりと扱いが雑だった気もするが、それでも少女はとても良い子だった。ようやく崖から下ろしてもらい、夕日をバックに向かい合う。

「あっ……」

 そこに一陣の風が吹き、少女は一瞬目を伏せた。そして再び目を開けた時には彼の姿はそこに無かった。

「あれ?クラウダー?━━あの、オジサン。クラウダーは?」

「……彼は去ったよ。風と共に」

 通りすがりのサラリーマンはそう答えるしかなかった。ちなみにその手には後で堪能しようとしっかりカメラで捉えたクイーンマリーの最後の(あられもない)お姿が保存されていた。

「そっかぁ……。あ!わたし早く帰ってママのご飯を作らなきゃ!それじゃオジサン、さようなら!」

「あ、ああ……さようなら」

 少女は瓦礫と化した街を元気に駆けていった。その背を見ながらサラリーマンは思う。━━言えるわけねぇ、と。

 そう。強めの風が吹いた瞬間、クラウダーの体が真ん中からボッキリと折れてバラバラになって飛んでいったなどと、無垢(むく)な少女に言えるわけがなかった。


 ━━一方その頃。

「しまったぁ!今日は午後から風が強くなるって予報だった!」

 クラウダーはなおも風に流される自分の上半身と下半身を何とか繋げようと必死にもがいていた。

 説明しよう!クラウダーは雲の超人である。雲なので何にでも変身可能だが、強風が吹くとその形を保てなくなってしまうのである!

 だが心配ない。単に姿がぼやけるだけなので中身がびろーんとかは無い。子供にも安心の内容だ!

「俺って無敵じゃなかったのかよ!」

 風は自然現象なので敵ではありません。あしからず。

「そういうオチか━━━━っ!!」

 さらばクラウダー。負けるなクラウダー。晩メシまでには帰ってこい。

 こうして今日も平和は守られた。



                  つづく(かもしれない)

酷い。クドイ。これも最後のオチが書きたかったので、この1/3の文章でまとめられなかったものか……(TT)。はっちゃけ過ぎたでしょうか。

ただ、この話ホントに続きを考えてあったりしますので、割りと伏線張ってます。

……読みたいですか(*_*;??

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