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豚のしっぽ 弥勒の決死圏シリーズ#05  作者: 柿ノ木コジロー
ソーダのおいしい喫茶店
7/42

03

「そうか」

 クリームソーダのストローを止めて、彼女が少し上をみて言った。

「外国人とか? ならほとんど周りには」

「外国人でもありません。コーダ、というのは本名ではないんです」

「あら……」


 トシエの視線が、はじめて泳いだ。


 サンライズ、身をかたくして、一挙手一投足を見守る。


 何かを、思い出そうとしている。

 意識の混沌に何か、別のものがちらっとみえた。

 しかしその目はすぐにサンライズの方に戻る。


「Eメールでも、そんな名前の方はいないし、たぶん」

「Eメールも、やってらっしゃるんですか?」

「ええ」

 はにかんだように、上目づかいにこちらをみた。

「これもついこの頃、ニフター、でしたっけ? でもほんの数件だけ……主人のパソコンでいっしょに」


 キサラギのヤロー! 新事実続々じゃねえかよ!!


 内心の怒りをつゆとも見せず、サンライズは淡々と

「いいですねえ」

 と笑ってみせる。


「アオキさんも、パソコンを?」

「カイシャではね……仕事がらみで少しは」

「あれ、面白いですよねぇ」

 お手紙みたいにお話できるんですもんね、でも電話の回線を使うからあんまり使ってもいられませんよねえ、と笑っている。電話の方が便利かも。すぐかけられるし、話せば済むから早くて楽なんですもの。


 サンライズは笑顔を崩さず、さりげなくもう一歩踏み込む。

「どんな方々メールのやりとりをされるんです? 知らない人もいるのでは?」

「いえいえいえ」

 あわててぽっちゃりした手をふるしぐさも可愛い。

「それほど多くないんです、四人か五人、それにお知り合いの方ばかり……だって、会ったこともない人なんて、なんだか怖くて」


 そう言いつつ、彼の顔をみて笑った。

「あら、私、会ったこともない方とこうしてお茶してますよねえ」

「そうですね」

 同じようにサンライズも笑う。

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