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甘い飲み物
そろそろ、ココア飲もうかと
ポシェットが声をかけた。
「ごめん。
わたし、読み聞かせに夢中で、
寝てるのに気づかなかったよ」
そう言うと、
彼は少しだけ困ったように笑った。
ベッドの端で、
寝息を立てる小さな頭の髪を、そっと撫でた。
カップを二つ、テーブルに置く。
湯気が立ちのぼり、
部屋に甘い香りが広がる。
小さな寝息が、隣の部屋から聞こえた。
特別な話はしなかった。
今日の天気のこと、
少し冷えた夜のこと。
それで、十分だった。
ふたりで飲むココアは、少しだけ甘かった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この物語では、
愛を語る言葉も、
結ばれる瞬間も描いていません。
それでも、
時間が続いたことだけを、
そっと残して終わります。




